相場ウォッチ: ずくなしの冷や水

2016年10月08日

ポンド急落 原因調査なんてやる気あるの?

海外の読者の中には、10/7のポンド急落に驚いた方もおられるようです。

2016/10/7の朝8時頃、ポンドが瞬間的に急落、1.26ドル近辺から1.2ドル近辺まで下落しました。

ロンドンは夜の11時頃、NYは夕方です。何件かニュースが流れるほど注目されているようですが、為替の動きにはこのようなことは良くあります。

[ワシントン 7日 ロイター] - 米国のルー財務長官は7日、この日の外国為替市場で英ポンドが急落したことについて、英当局が何が背景にあったのか結論を出すには時間が必要になるとの考えを示した。



欧州は深夜、米国は金融機関の時間外、日本の金融機関が仕事を始めたころで取引参加者が少なくなる時間帯です。

こういう時間帯を狙って、集中的に大きな売りを出せば、買い手がおらず価格はストンと落ちます。それに仮需の為替取引ではストップロスと言って、損失方向に価格が動いたときに損失を限定するための注文を出しておくのが通常です。

仮需の最たるものであるFX取引では、通貨1万単位が取引単位ですからポンドを対ドルで1万ポンド買っていれば、時価評価12,600ドルが12,000ドルに低下することになります。600ドル6万円の損が出ます。

通常、ロスカットの余裕幅はこんなに大きくは取らず、1.25ドルとか1.24ドルとかに設定してあるでしょう。そこまで下がるとそれらのストップロスの注文が執行されて売り注文が膨らみますが、買いが入らなければどこまでも下がります。

最初に売り仕掛けをした向きはここで買い戻すわけですが、底で買い戻すなど出来るわけがなく、売りが減ったら買い上がらなければなりません。

かくして、1.2ドルまで急落後1.24ドルまですぐに戻したわけです。

ヘッジファンドか銀行かどこか知りませんが、このような仕掛けの機会を狙っている者がいることは、周知の事実です。

当局者は原因の見当がついていても、口にすることはできません、口にした途端、このような投機的な動きをどう思うか、規制すべきではないかとの質問が続きます。

FX取引では、損が膨らみ保証金が目減りすると強制ロスカットという清算の仕組みがあります。これが働くとその直後に価格が戻しても、ポジションは消えたまま、損が確定したままとなります。

こんなことがMSMで取り上げられるということは、この相場変動で大きな損を出したところがあったということなのでしょう。
posted by ZUKUNASHI at 11:25| Comment(0) | 相場ウォッチ

2008年06月22日

1株利益の計算は難しい 2

1の結果から見ると、データベースに自己株式数も入れないといけませんし、中断中の純資産額の入力も再開しないといけませんが、あまり厳密な計算をしてもどれほど意味があるのか? という気もします。厳密さを追求し始めると、まさに際限がないのです。

○ 簡便な予想PER=株価÷当期予想純利益×発行済株式数

の式に着目すると、
@ 自己株式の増加は、発行済株式数の減となり、予想PERを下げる。
A 株式分割は、予想PERに中立

B 優先株式の増加は、当期純利益の減となり、予想PERを上げる。
C 第三者割り当て増資は予想PERを上げる。
D ストックオプション、新株予約権の発行は潜在的に予想PERを上げる。
ことになります。

そこで、簡便な予想PERに使う単純な予想1株利益と会社発表の予想1株利益とを比較すれば、会社ごとのいろいろな事情が厳密な予想PERをどの程度上下させているか分かります。

下のグラフは、Yahoo Finace掲載の1株当たり利益を、別途調べた前期実績純利益と2008/3/31現在のYahoo Finace掲載の発行済株式数から計算した単純計算の1株当たり利益で割り、その比を低いものの順に並べたものです。



前期最終損益赤字企業と株式分割があってYahoo Finaceの1株当たり利益がブランクになっているものは除きましたから集計企業数3,141。

@ まず、多くの企業で厳密単純比が1より大きいことが分かります。3604川本産業は1.00で完全一致。

前の記事で例に取った日新製鋼は、2008/3期末の自己株式が発行済株式数の8.91%で自己株式を控除した株式数の発行済株式数に対する割合は0.9109、その逆数は1.0978、厳密単純比が1.0927ですから大体見合っています。残余の差は、自己株式を控除した株式数が期中平均になっているためです。

A 厳密単純比が低いほうでは3111オーミケンシの-0.00484。当社は純利益が134百万円でしたが、1株当たり利益は−0.01円。自己株式はごくわずかで、優先株式の配当が135百万円もあり、これを控除した普通株式にかかる当期純利益がマイナスとなっています。

千葉興業銀行の厳密単純比は0.864。当社も自己株式はわずかで、当期純利益10,399百万円のうち普通株式に属しない金額が1,419百万円、13.64%あります。

みずほフィナンシャルグループの厳密単純比は0.929、原因は推定がつきます。JFE商事HDの厳密単純比は0.984、自己株式は0.23%、優先株式配当金が純利益の1.8%。

B 全部には当たっていませんが、厳密単純比が低いものはほとんどが優先株式の配当によって普通株式帰属利益が目減りしているものと言えそうです。優先株式を出しているような企業は自己株式を買い増す余力は少ないという見方もできましょう。

C 逆に厳密単純比が高いのは、おおむね自己株式の取得が原因になっていると見てよいでしょう。8015豊田通商は自己株式比率0.87%、7203トヨタ自動車の自己株式比率8.66%、5407日新製鋼は前出のとおり自己株式比率8.91%でほぼ自己株式比率が高くなるのに応じて厳密単純比が高くなっています。

変わっているのは8303新生銀行、厳密単純比1.161ですが、自己株式割合4.68%、普通株式に帰属しない金額は純利益の1%未満です。厳密単純比が大きくなっているのは、普通株式の期中平均が1,529,530千株で期末株式2,060,346千株の74%になっているためです。

当社の発行済株式数は、2008/3/31と4/1のYahoo Finaceの画面では1,791,218,003株となっていましたから2,060,346千株を用いて1株利益を算定すれば厳密単純比はさらに拡大します。

Yahoo Finaceに掲載される発行済株式数は、証券取引所の把握している株数と同じなのでしょうし、多くの企業がきちんと報告しているのに、なめられているのでしょうか。

D 厳密単純比が特に高い企業は、特別の事情のあるものが多くなっています。

厳密単純比1.212の6592マブチモーターの自己株式比率は18.76%で自己株式をため込むとしてもこの辺が限界ではないでしょうか。なぜ消却しないのかとの声が出てきそうです。

厳密単純比1.385の3034クオールは、合併による株式交換で期末株式数がほぼ倍増していますが期中平均株数が期末株式の73%

6752松下電器の自己株式割合14.3%で厳密単純比が1.156ですから、厳密単純比が1.15を超えたら特殊事情がありうると見てよいでしょう。

この「厳密単純比」意外に使える指標かもしれません。

Yahoo Finaceの基本情報→連結決算の画面で「当期利益」を参照し、詳細情報の画面に戻って「発行済株式数」で割って得た単純1株利益(松下の場合114.91円)でもって同じ画面の厳密「1株利益」(132.90円)を割れば「厳密単純比」です。
posted by ZUKUNASHI at 22:21| Comment(0) | 相場ウォッチ

1株利益の計算は難しい 1

データベースが整ってきたので毎土曜日のデータの整備に時間がかからなくなりましたが、入力ミスが絶えません。それに「PER」の計算の基礎となる1株当たり利益なども結構複雑な計算方法で算出されているので、簡便法を少し見直して改善の余地を探っています。

現在、会計実務では次のような算式が使われています。

○ 1株当たり利益=(当期純利益−普通株式に帰属しない金額)/(普通株式の期中平均株式数−普通株式の期中平均自己株式数)

この式では、普通株式が対象で優先株式は分母には入ってこず、分子では「普通株式に帰属しない金額」で優先株式に分配される純利益部分は控除されています。また期中平均株式数は期首と期末の単純な平均ではなく、日数をウエイトとする加重平均値です。

さらに、ストックオプションや転換社債型新株予約権付社債などの権利が行使されて生ずる株式は潜在株式と呼ばれ、希薄化が生じうるために潜在株式がすべて権利行使された場合の普通株式の増加分を含めた1株当たり利益も表示することとされています。

○ 潜在株式調整後の1株当たり当期純利益=(当期純利益−普通株式に帰属しない金額+当期純利益調整額)/(普通株式の期中平均株式数−普通株式の期中平均自己株式数+潜在株式数)

○ 1株当たり純資産=期末の普通株式に係る純資産/(普通株式の期末発行済株式数−普通株式の期末自己株式数)

○ 期末の普通株式に係る純資産=純資産の部の合計額−純資産の部の合計額から控除する金額

1株当たり利益はフローを計る意味もあって期中平均株式数ですが、ストックを計る意味合いの強い1株当たり純資産は期末の発行済普通株式数が使われています。

なお、Yahoo Financeの詳細情報で参照できる発行済株式数はもともと普通株式のみで、こちらは最新時点の株数です。

以上は実績値ですが、予想値については上のような細かい計算は無理ですから、少し簡便化されています。

○ 1株当たり予想利益=(当期予想純利益−普通株式に帰属しない予想金額)/(普通株式の期末発行済株式数−普通株式の期末自己株式数)

当期中に1対2の株式分割が予定されている場合には、予想純利益が前期と同じでも1株当たり予想利益は半減することになりますが、株式分割や第三者割り当て増資、自己株式取得は、取締役会で決定されるまで公表されませんから、実態上は直近の発行済株式数、自己株式数、既存の優先株等に対応する配当などを使うしかありませんし、会社側の計算も同様でしょう。

○ 予想PER=株価/1株当たり予想利益

これまでは、下の簡便な予想PERを使ってきましたが、自己株式が増加してくると、厳密な計算をしたものとの誤差が大きくなってきます。
○ 簡便な予想PER=株価/(当期予想純利益/発行済株式数)

日新製鋼を例に取ります。
2009/3期 予想純利益26,000百万円、1株当たり当期純利益28.70円、6/20の株価360円、直近の発行済株式数994,500,174株、前期末自己株式数88,640,050株、優先株式の発行はなし

簡便な予想PER 13.76倍
厳密な予想PER 12.54倍 となり、自己株式を考慮するか否かで1倍以上の差が生じてしまうのです。
posted by ZUKUNASHI at 17:12| Comment(0) | 相場ウォッチ

2008年05月30日

マジかよ?これ

見出しはアイレックスの掲示板から。ポジティブサプライズの現代的表現のようですが・・・

1 アイレックス (産業用プリント配線板の大手)
5/30、2008/3期決算開示、株価91円
2008/3期実績 経常利益695百万円 純損失1,621百万円
2009/3期予想 経常利益600百万円 純利益1,150百万円 1株利益39.10円
不動産売却益が見込まれている。

2 GDH (アニメの企画・制作、版権など権利の取得・使用許諾)
5/30、2008/3期決算開示、株価43,500円
2008/3期従来予想 経常利益100百万円 純利益5百万円
2008/3期実績 経常損失3,492百万円 純損失3,752百万円 1株損失42,671円
2008/3期営業損失3,337,021千円、期末純資産167,291千円
2009/3期予想 経常利益20百万円 純利益10百万円 1株利益113.75円

3 グッドマン (カテーテルなどディスポーザブル医療用具類の輸入・製造)
5/30、2008/6期業績予想修正、株価1,468円
2008/6期従来予想 経常利益2,650百万円 純利益60百万円
2008/6期今回修正 経常利益900百万円 純利益60百万円 1株損失7.80円
特別損失が多額。純利益が少ないため剰余金処分による優先株式配当金をこれから控除すると普通株式の1株利益は損失に。

4 グッドウィル 
5/30、2008/6期業績予想修正、株価11,490円
2006/6期実績 経常利益6,704百万円 純利益3,429百万円
2007/6期実績 経常利益6,794百万円 純損失40,708百万円
2008/6期今回修正 経常損失15,000百万円 純損失9,000百万円 1株損失2,978円
もうガタガタ。派遣業は派遣する人がいなければ日銭はマイナスです。

5 ニューディール 
5/30、2008/6期業績予想修正、株価7円
2007/6期実績 経常損失2,714百万円 純損失5,418百万円
2008/6期今回修正 経常損失222百万円 純損失545百万円

ご関心があれば、原資料でご確認を。
posted by ZUKUNASHI at 20:24| Comment(0) | 相場ウォッチ