震災復興: ずくなしの冷や水

2011年07月01日

2010年代半ばまでに消費税は10%に

政府は7/1、消費増税を掲げた社会保障と税の一体改革案を閣議了解の予定。政府・与党は、6/30、社会保障と税の一体改革について、2010年代半ばまでに消費税を段階的に10%まで引き上げることを盛り込んだ成案を決定した。当初案に盛り込まれていた「2015年度まで」の消費税10%引き上げの文言は、「2010年代半ばまで」に変更され、より曖昧な表現となった。 (2011/7/1、各紙)
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2011年05月15日

被害額と復興 2

宮城県知事は、壊滅的な被害を受けた水産業の施設や漁船などを民間資金で復興するのは困難と判断し、国費で整備する「国有化」を進め、再生を目指す構想をまとめたという。将来的には施設を民間が買い取り、運営母体を株式会社化する計画とのこと。

気持ちはわからないでもないが、次々と国費負担に依存する構想や要望が出ていて、財政当局は警戒を強めているだろう。

財務省は、震災前には、OBを使って財政再建キャンペーンを張っていたが、震災復興で津波の引き潮のように国庫支出が増えていく事態に国際機関も動員し始めた。OECDが、日本は最終的に消費税率20%にならざるを得ないとの見解を示したのもそんな動きの一つだろう。

3/22閣議決定された2011年度第1次補正予算案の財政支出額は4兆0153億円、2次補正はさらに巨額に達すると菅総理が述べている。


23日に開かれた政府の復興構想会議の2回目の会合では、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県の知事や委員たちの間での復興財源を巡る意見の相違が浮かび上がった。一方、東京電力福島第1原発事故を抱える福島県は事故収束を最優先とするなど温度差も表面化した。

復興財源を巡っては、宮城県の村井嘉浩知事が「災害対策税」の導入を国に提言し、「今回、災害にあった地域以外の、今後の大きな災害にも使っていく」と提案。災害向けの「基金」で国民の共有財とする考え方だ。

しかし、岩手県の達増拓也知事は「財源論争」に反対の立場を表明。復興税は消費を低迷させると指摘し、終了後、記者団に「増税という話なら被災地にとっては非常に困る。被災地支援の動きにも悪影響だ」と断じた。

財源の担保を優先させるか、まず財政出動で復興を急ぐか−−。議論の対立は会合2回目にして早くも表面化し、「どのような復興を考えるかが先で、財源論は後ではないか」(他の委員)との意見が強まった。

一方、福島県の佐藤雄平知事は「(福島第1原発による)原子力災害が進行中で、まず10万人(の避難住民)が(家に)戻ることができていない。(工程表の)ステップ1と2を一日も早く実現してもらいたい」と語った。(2011年4月23日 21時10分毎日)

財源論や権限委譲論が先に来るというのは、やはり話の順序としてはおかしいし、岩手県知事の言うように被災地支援の動きにも悪影響は必至だ。宮城県知事の水産業等の「国有化」論は、災害復旧を全額国庫負担で行わせようという狙いだろう。

担い手が高齢化して新規の借金ができないというのはそのとおりだが、次の担い手もいない産業に国庫資金をふんだんに投じるほど今の日本には余裕がない。遠洋・沖合い漁業はすでに多額の負債を抱えていたはずだ。将来的な漁業の産業構造をどうするのか、業界は考えをもっているのだろうか。今回の被災地以外の将来的な被災地も対象とした災害対策税というのも論外だ。今は、日々の暮らしを賄うのに苦労している人が増えている。


日本大学の糸長浩司教授は、5/13、福岡市内で開催された「響みどりの会」などの主催による報告会で、飯舘村が原発から30キロ圏外ながら非常に強い放射線が観測された点に関し「政府は原発からの距離で対応を線引きしていたが、実際の計測データに基づいていればもっと有効な手を打てたはず。マスコミも『同情』『共感』を求める記事ばかりでなく世の中を動かす提言、情報を伝えるべきだ」と訴えた。

さらに「古里を離れたくないという気持ちは分かるが、そこでとどまってはいつまでも前向きになれない。避難を前提に生活を再建する方向に考え方を変えなければいけない」と強調。避難後の課題として「村が分散しても相互のネットワークを維持することが大切だ。避難先で集団農場を経営するなどして村民が集い、働き、コミュニケーションが取れる環境を作るべきだ」と提言した。(2011年5月15日 毎日地方版)

高濃度汚染地帯では、何十年も高い放射能が続くのだから「避難を前提に生活を再建する方向に考え方を変えるべき」との指摘は正しいと思う。高い放射能は、生活のすべての面で考慮されなければならず、何をするにも障害となる。政府は、財政負担の増加懸念や、地元自治体や住民のセンチメントに引きずられて、前向きな生活再建を後押しできていないと思う。
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2011年04月22日

被害額と復興 1

政府は3/23、東日本大震災で損壊した道路や港湾、住宅、生産設備などの直接的な被害額が16兆〜25兆円にのぼるとの試算をまとめた。1995年の阪神大震災の9.6兆円(政府試算)を上回る。今回の政府試算は住宅や社会資本をはじめとする構造物が対象で、企業が倉庫などで保管している製品在庫や個人の家財道具などは含んでいない。また、東京電力福島第一原子力発電所から放出された放射性物質による汚染や、計画停電に伴う経済活動の損失といった間接的な被害額は入っていない。(011年3月23日10時26分朝日)

リスク分析モデル開発会社の米リスク・マネジメント・ソリューションズは、東日本大震災による経済的損失は合計2000億−3000億ドル(約16兆 2500億−24兆3700億円)に上るとの試算を示した。損害額には津波による被害と避難の費用、電力供給の乱れと企業の事業中断によるコストを含むという。(2011/03/22 00:11 ブルームバーグ)

ロンドンの世界エネルギー研究所は3/21、東京電力福島第1原発など東日本各地の原発が停止した影響で、日本の石油消費量が少なくとも約6.8%増加するとの試算を発表した。不足する電力を石油を原料とする火力発電で補うと、日量30万バレルの石油が追加で必要になるとした。国際エネルギー機関によると、2010年の日本の石油消費量は全体で日量442万バレル。IEAは日量約20万バレルの石油が追加で必要になると試算している。(2011.3.21 23:41 共同)

政府・与党は子ども手当などマニフェスト施策の一部撤回に踏み切る方針だが、それだけでは「10兆円規模」(民主党幹部)ともされる必要額に遠く及ばない。新規国債の大量発行による財政の一段の悪化を避けるため、所得増税など時限的な特別増税案も浮上している。(2011/03/23-20:37時事)

菅首相は、2011年度第1次補正予算編成に向け、財政支出2兆〜3兆円規模を軸に調整する。4月中の編成、早期成立を目指、民主党マニフェストを大胆に見直す方針を打ち出す。財源については2011年度予算の予備費1兆1600億円を活用するほか、主要政策の削減などで極力捻出する構えだが、最終的に赤字国債発行に頼らざるを得ないとの見方が大勢。

第1次補正は、被災者の仮設住宅建設やがれきの除去作業が中心。被災自治体の財政支援も課題となる。政府、与党は6月ごろにも第2次補正予算を編成する方針。(2011/03/29 19:11共同)

民主党が東日本大震災の復興財源を確保するために行う新年度予算の歳出見直し案が明らかになった。子ども手当増額のとりやめや国家公務員の給与削減などで計5千億円を捻出し、4月中の編成を目指す第1次補正予算案の財源にあてる。

見直すのは、3歳未満の子ども手当の7千円増額分(2100億円)▽高速道路無料化の社会実験(1200億円)▽国家公務員の給与(1500億円)▽原子力発電所新設のための周辺地域整備(500億円)▽国会議員歳費(25億円)の計5300億円。法人税5%引き下げの撤回をはじめ、税制改革の修正でも4千億円強の増収を見込んでおり、最終的に計1兆円を確保したい考えだ。 (2011年3月30日7時42分朝日)

政府が東日本大震災の復旧・復興に向けて検討している基本法案の素案が31日、明らかになった。5年間を「集中復旧復興期間」と位置付け、・・略・・復興財源を確保するため、復旧復興特別税の創設や震災国債の発行、日銀引き受けの検討を打ち出した。首相を本部長に全閣僚で構成する復旧復興戦略本部を設置。震災復興担当相の下に復興庁の新設も明記した。

被災者の生活再建の支援に向けては被災者生活再建支援法に基づく支援金の上限を現在の300万円から引き上げる。水没した被災土地の買い上げや、集落の集団移転による街づくりを検討する。 (2011/3/31 14:00日経)

民主の復興法案原案のポイント(2011年4月1日3時0分朝日から抜粋)
・震災の被害額を16兆〜25兆円と試算。
・法人特別税、特別消費税、社会連帯税(被災地以外の人の所得税に一定割合を上乗せ)の創設検討
・震災国債(被災世帯の住環境整備や生活再建支援、道路・河川・公園・下水道、農水施設、社会福祉施設などの復旧財源)の発行と日銀の引き受けを検討。
・水没した土地や原発事故で住めなくなった土地の買い上げの検討
・「復旧復興交付金」を創設し、市町村が設ける復旧復興基金に拠出金を出すことも検討。
・集団移転を後押しするとともに「移転が完了するまで被災世帯の『人々の絆』が保たれるよう努める」と強調。
・津波被害を受けた地域の土地所有権の内容や範囲、売買に特別な制限を課すことも検討。
・エネルギー政策では「原子力に依存しているエネルギー政策を見直す」と明記。
・復旧復興の第1弾として、4月中に2011年度の第1次補正予算案を編成、2兆〜3兆円規模とし、大部分を赤字国債で賄う方針だ。

菅直人首相は13日、松本健一内閣官房参与と官邸で会談した。松本氏は福島第1原発周辺の居住が長期間困難になった場合の移住先として、内陸部に5万〜10万人規模のエコタウンを建設する構想を提案。首相は賛同した上で「市の中心部は、ドイツの田園都市をモデルに考えたい」と述べた。

松本氏は会談後、首相が福島第1原発周辺の避難区域に関し「当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのか、ということになってくる」との認識を示したと記者団に紹介したが、その後「首相はそんなことを一言も言っていない」と修正した。(2011/04/13 19:42 共同)

福島第1原発周辺の避難区域の将来的な居住可能性について、首相発言の真偽に関し、そのような発言があれば問題とする声が強いが、20年、30年住めないのは間違いないだろうし、そういうところに住まわせるべきではない。マスコミの議論は、客観的な現実から目をそむけた感情論のように聞こえる。

福島県の佐藤雄平知事は同日夜の県災害対策本部会議で「私どもは(被災者に)一日も早くふるさとに戻ってもらいたいと思って苦労しているのに、信じられない」と不快感を表明したとのことだが、津波の被災地区と原発事故の被災地区とでは事情が違う。


川崎市が東日本大震災で出たがれきなどを受け入れる方針を表明したことが波紋を広げている。「放射能で汚染されたごみが持ち込まれる」などとする情報が一部で流れたため、市には14日までに合計3000件近い苦情や問い合わせが相次いだ。市環境局は「放射能を帯びた廃棄物は移動自体が禁止されており、市で処理することはない」と説明。市民らに冷静な対応を呼びかけている。(2011/4/15 3:00日経)

政府は22日、東日本大震災の被災地の復旧対策を中心とする2011年度第1次補正予算案を閣議決定した。財政支出額は4兆0153億円で、がれき撤去や仮設住宅整備、ライフライン復旧などの費用を盛り込んだ。財源には、基礎年金の国庫負担割合(2分の1)を維持するための2兆4897億円を流用するほか、民主党のマニフェスト(政権公約)施策を含む歳出見直しなどで確保。厳しい財政状況を踏まえ、国債発行は回避した。(2011/04/22-08:44 時事)
posted by ZUKUNASHI at 09:14| Comment(1) | 震災復興