おやじたちの思想と生活に関する正しい理解を推進し、彼らの福祉の向上に寄与すべく、ウォーキングなどの際に出会ったおやじたちの生態の一端を紹介していこう。
まず、最近、電車で見かけた男性。50歳台後半だろうか。私の眼から見るとなかなかのおしゃれだ。メッシュのハンチングにリストバンド、バッグ、ズボン、靴、ベスト。スポーティな感じでまとめている。そして少し伸ばしたあごひげ。金はかけていないようだが、自己主張がはっきり伝わる。
中年以上の男性も、最近はこのような方をときどき見かけるようになった。
日曜の昼頃で夜勤帰りだろうか。私が連れをからかっていたらそれを見て笑っていたという。

この後は、画像の掲載は予定していない。プライバシーの侵害は意図していない。既出記事からも引用する。
2014/3/31、千葉市の外れまで遠出をした。帰路、駅まで歩くのがしんどいので時間を見計らってバス停に行くと珍しく先客。文庫本とペットボトルを手にしたおじさん、私より少し若そうだ。
バス停のある辺りの景観が良いとすっかり気に入った様子だ。住むのも良いと言うので、同意しつつも放射能が高いことを告げる。無視されるかと思いきや、するどく反応。放射能問題の新聞記事をスクラップしているそうで、汚染地帯のコロステン市がどうこうとも言っていた。
その方の住まいを聞き、最近、がんなどの発症が多いようだと話すと、そうだろう、やはり出始めたなとの感想だった。
どんな仕事をされてきたのかは分からない。服装はブレザーにズボン、革靴。カバン、ザックなどはなし。ぶらりと散歩に来たようにも見えたが、かなりの時間歩いたようだ。たまたま出会って放射能の話をした人の中で、この方ほど反応が強かった人は始めてだ。
2014/6/15、ウォーキングに疲れて畑の中の道をとぼとぼ歩いていたら、畑の草刈作業中のおやじが道端で休んでいる。声をかけるとすぐ立ち上がり、こちらの服装を眺めすぐウォーキングと気づいたはずなのに、「いいご身分ですね」と。日曜に、リュックサックを担いでTシャツに汗をにじませながら歩いているのに!
年齢を聞かれて正直に答えると、その方は私より1歳年上だったが、会社や団体の顧問をしており、時間があると農事組合法人でアルバイトをしているという。時給800円、やってみないかと誘われたが、交通費が1時間の労働ではまかなえない。
そして、農作業が健康に良いという話から私の腹を見ながら内臓脂肪だねと警告してくれる。自分はこうだとシャツをまくって見せてくれた。私ほどではないが、やはり出ている。お返しに私もめくって見せてやればよかっただろうか。
健康診断結果では、いろいろ懸念もあるらしい。私らの年齢になって何もないと言う人はまずいないが、この先輩氏は家でじっとしていると、人生の残り少ない時間を浪費しているとでも感じるのだろうか。
じゃがいもの茎と葉を取り去り、周りの草も刈って幼稚園児の芋ほりの準備が終わりに近づいていた。
この先輩氏は、あちこちの顧問に就任しているから、いろいろ実社会の知識やコネをお持ちなのだろう。市役所のそれなりの管理職を勤め上げた方だろうと思えた。
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私は、正規就業を辞めてから、時間もできたし、勤め先のしがらみもなくなり、あちこちで自分が今まで知らなかった世界の人と努めて接するようになった。
そんな体験が多かったのは、まだ体力もあり自転車であちこち走り回っていた6年ほど前の頃だ。中でも道路工事の警備をやっていた方と仕事中にもかかわらず、話し込んでいろいろ聞いた話は興味深かったし、とても勉強になった。
そのときに伺った話は、大型トラック運転40年に記録してある。
世の中に、こんなに地道に、まじめに勤め上げて自分の経歴に誇りをもっておられる方もおられることは、私には大きな発見だった。
もちろん、高度経済成長の時代が始まるころにきちんとした運送会社に勤め始め、経済成長とともに仕事も拡大し、安定した職業生活を続けられたという時代的な背景はある。
この方は見るからに、そして話の中身も誠実そのものなのだが、かといって世間知らずというわけではない。私が、なぜ私にいろいろ話して聞かせてくれたのかと問うたのに対して、顔を見ればどんな人かは一目で分かると答えた。
この体験に気をよくして、その後は機会があればおやじに声をかけることが多くなっていった。
しかし、世の中は、そんなにハッピーな人だけではない。むしろ苦労している人が多いのも、この体験の少し前に思い知らされていた。
日本もワーキングプアが定着に書いた内容がそれで、今読み返しても、当時の状況は継続し、さらに悪化していると痛感する。
(続く)