日本は「大変だけどそのうち終わる」か? 質問にお答えします: ずくなしの冷や水

2014年06月01日

日本は「大変だけどそのうち終わる」か? 質問にお答えします

Q1 チェルノブイリの土壌汚染による避難区域分類が、日本の土壌汚染計測値と比較されて「東京も40,000Bq/kg以上で避難区域だ」といった言い方が良くされます。
ただ日本のそれらは、植込みや側溝・屋上の苔・樋の出口といった「いかにも高そうな場所」が多いように思われます。一方おおやけの数値は*km^2メッシュで平均した・・・等と注意書きのある数値のようです。
ではチェルノブイリで要避難の基準が決められた時に果たしてどういう測り方だったのか?
それによって評価は随分変わると思うのです。
海外の、例えばガンダーセン博士なども、・・・東京に来られた時に「そこらにある土壌を区別せず」採取したサンプルが「側溝や屋上・砂場」だったと書いてあります。
危機を訴えたい人が数値の高そうな(危険そうな)サンプルを選ぶことは内外ともに自然な振る舞いだと思います。
ただ傍目の者にとって普遍的ものさしを何にするかということは大きな迷いです。

A 放射能による汚染、危険度合いは、高いところを把握するのが基本です。低いところだけ拾っていたら、高いところから飛んでくる放射線を見逃してしまいかねませんし、そこから浮遊してくる放射性物質を体内に取り込んでしまいかねません。

それに放射線には、中性子線からアルファ、ベータ、ガンマ線といろいろあり、測定は大変困難なのです。私の一連の「フィールドワークの記録」を読んでいただけば、ベータ線込みで1万CPM超の放射能を測定するために、私がどれだけ警戒しながら測定しているか、分かっていただけるでしょう。

米国は、福島第一原発事故から比較的時間が経過しないうちに、東日本の各地で土壌を採取し、α線からγ線の強さと核種を調べています。

基本は、空間線量率よりも、物の核種別の汚染濃度であり、表面の汚染密度だと考えます。放射能からの防御を考える場合、地域平均値は全体状況を知る上では有効ですが、そのエリアの中には高いところも低いところもあり、高いところに住んでいる人はリスクは何倍にもなります。

放射能による健康被害を防ぐという観点からは、放射能が高いところを探知し、そこから逃げる以外にはありません。

「側溝や屋上・砂場」が常に相対的に高い値を示すわけではありません。側溝は堆積物がなければ高い値は出ませんし、屋上もそうです。東京のようなビルの多いところでは屋上や道路の雨水が速やかに排出されるため、上空から空間線量率を測っても低く出ます。水元公園の南の住宅密集地の空間線量率が上空から測定して公園よりも格段に低いのはそのためです。

砂場は、雨水が流出せずに浸透しますから、降下した放射性物質がとどまっています。濃度を測定する上では、標本として適しているのです。

ウクライナの汚染地図は、セシウム137の土壌汚染密度で表示されています。チェルノブイリとキエフ
汚染密度が分かれば、空間線量率は容易に推定することが出来ます。汚染状況の物差し
米国も上述のように土壌調査を重視しています。日本は、当局による土壌調査は極めて乏しい状況で、やむを得ず個人が費用を負担して測定しています。

Q2 バンダジェフスキー博士の内部被曝についての主張を受け入れるかどうかで被害の評価が全く変わってしまいます。
私はこれまでは京大の小出・今中先生等の意見を信頼してきたのですが、専門分野の違いによるものなのか、内部被曝に対する評価は、天と地ほども違うと言っていいように思います。
仙台の岡山博先生はバンダジェフスキー氏の論文に「同意しない」と仰っていましたが、文脈を読むと「誰も遺体の内臓別セシウム値を研究した者はいない」故の保留に近いのではないかと愚考します。
これは私にとっては、「一人の医学者が凄まじい体験の中で現に見てしまったもの」を信じるかどうかになってしまうのですがずくなしさんはどうやって判断されましたか?

A 私は、ウクライナ人と接したこともありますし、ソ連体制下で人々が公私でどのように振る舞いを変えたかも知っています。一言で言えば、バンダジェフスキーの顔と発言を聞いて、彼は人間として信頼できると確信しました。

バンダジェフスキーの研究は、他に例がなく検証が困難であること、当時のベラルーシの測定機器や測定環境は劣悪でしたから、研究成果に対していくらでも疑問を呈することができるでしょう。

ですが、なぜ投獄されたか、ベラルーシの被災者を支援していた欧州の研究者などの働きかけで同氏が釈放されたこと、今はウクライナの研究機関にいることなどを考えれば、チェルノブイリ事故の被災国で同氏がどのように評価されているか分かります。ベラルーシ当局との関係もあり、公式には同氏を賞賛するような声は聞こえてきませんが。

ウクライナでチェルノブイリ事故当時の対策に当たった政府関係者は、日本の国会議員の調査団に対して自分たちの経験に学んで欲しいと繰り返しました。震災復興特別委のチェルノブイリ事故関連ウクライナ要人からのヒアリング
ウクライナ要人の姿勢から、同国でのバンダジェフスキーに対する評価が推定できます。

放射能による健康被害を研究した成果は増え続けています。それらを読んでも、バンダジェフスキーの研究が、時期的にも内容的にもいかにすごいかがわかります。
「チェルノブイリの長い影」から 個人的な注目点
衆議院チェルノブイリ原子力発電所事故等調査議員団報告書(2011/10)など

「京大の小出・今中先生等」は、医学や生物学が専門ではありません。小出氏は、医学的な研究成果、健康被害についても勉強しておられると見ていますが、健康被害について発言することは控えるでしょう。福島第一原発事故についての解説も政府や東電の発表事実を前提としたものです。

小出氏に対する圧力は、私らの推測を超えるすさまじいものがあるはずです。おそらく生命の危険を感じることもあったでしょう。彼に健康被害についての解説を求めるのは無理です。「木に縁りて魚を求む」だと思います。

Q3 人口変動について、もう色々な所で書かれていることでしょうが、原発事故による人的被害と、所謂「人口の波」(@藻谷浩介氏)が同時に日本を襲って両者が見分け難くなっているのではないかと思うのです。そして現時点では、後者の影響がゼロ三つほど大きいのではないかと考えます。

ずくなしさんは、すでに書かれましたがお知り合いの方が(上記のような理由であって)、「ほ」汚染のせいではないと言ったと嘆いておられましたが、実は私にもその違いが分かりません。

A 私も、人口動態の悪化が、もっぱら放射能によるものだとは考えていません。統計上明確に影響が出るのはこれからでしょう。

今は、その変化を把握するためにデータを集め、初期変動状況を分析しています。

団塊の世代の死亡率がこれから上がってきますから、死亡数が増えることは当然です。一方、出生数も所得が低下傾向にある中で増えないでしょう。

ですから、全国レベルや都道府県レベルで見ると、そんなに異様な数値にはなっていません。

ですが、これを細分して見ていくと、すでに影響は出ています。茨城と栃木、埼玉、千葉の県境ベルト地帯が先行指標に最新の人口動態を分析した結果を掲載していますが、4県にまたがるこのベルト地帯で出生数が減り、死亡数が増えている原因は何だと考えられますか。

すでに何ヶ月も小選挙区により濃淡の度を変えつつ悪化してきています。

「そのうち終わるか」ではなくて、「これから始まる」です。貴殿も目の障害が出られたとのこと、特に思い当たる原因がなければ、被曝症状の可能性を疑います。これまで以上に被曝回避を図られることをお勧めします。
posted by ZUKUNASHI at 10:46| Comment(1) | 原発事故健康被害
この記事へのコメント
早速の、丁寧なお答えに驚きまた感謝いたします。
若い頃、恩師に「意識して絶望せよ」という言葉を贈られたことがありますが、思いもよらない世界の暗転から私のような凡人にもそれが要請されることになったのだなと身に感じ始めています。もっと勉強しようと思います。
ありがとうございました。
Posted by I.A. at 2014年06月01日 18:12
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