米国防総省による被ばく線量推定値: ずくなしの冷や水

2014年06月20日

米国防総省による被ばく線量推定値

米国は、福島第一原発事故時に日本にいた米国人向けに被ばく線量の推定値を公表している。このデータについては、2013/12/28に記事にしている。

米国防総省による被ばく線量推定値で健康被害を占う

今回、♛nori♛ (VINTAGE) ‏@n0ri_tiki 氏の2012/12/30のツイートを見かけて、米国防総省による被ばく線量推定値のサイトを見たら、前の記事のデータよりも詳しく示されているようだ。

Operation Tomodachi Registry

このサイトから、データを取り出し別表にまとめた。表が大きいので別画面に表示される。

まず、大人について主要地点の被曝量を見る。全身と甲状腺の二つが推計されている。甲状腺の被曝量は左軸、全身は右軸で、左軸の目盛りは右軸の10倍になっている。

図1




別表にある年齢階層別の数値を見ると分かるように、大人のほかに17歳未満の子どもの年齢階層別の推定値が掲載されている。次のグラフは、単位mSv。

図2


甲状腺の被曝量については、1〜2歳、0〜1歳、2〜7歳、7〜12歳、12〜17歳の順に小さくなっていて、大人は12〜17歳とほぼ同じだが、場所によって大人が少し多かったり少なかったりする。

全身の被曝量もほぼ同じ傾向だ。

この推計値は、2011年3月12日から2011年5月11日までの60日間、24時間外で過ごし、常に高い身体運動量とそれに応じた呼吸量を伴いつつ、放射線が計測された水、土壌などにさらされて生活したとの仮定での最大被曝推計値とされている。

最初のグラフで東京、横田、厚木、横須賀がほぼ同じ水準だが、横須賀では米軍関係者の住宅で目張りが行われたり、厚木から家族が緊急帰国したり、空母ジョージワシントンが緊急出港したりしている。横須賀の水準でも、それほど危険だったということにほかならない。

百里、小山、仙台は東京近辺の都市より被曝量水準が高く、中でも仙台が最も高い。石巻、仙台、山形、小山については大人の被曝量しか示されておらず、子どもも含めた被曝量は、百里基地の1〜2歳の27mSvが最高となっている。

そもそもSv単位で表された被曝量がどれほどの意味を持つのか個人的には疑問がある。Svは基本的に放射線を浴びたときに、その物体がエネルギーを受け取ってどれだけ温度が上がるかという観点からの指標であり、人体のDNAや細胞、組織がどれだけ損傷するかという観点からのものではない。

例えば、ストロンチウム、セシウム、ヨウ素が体内に入った場合に、それぞれが人体組織に及ぼす影響は大きく異なるはずであるのに、単にSv単位でしか表示されないのであれば、リスクの大きさは測りようがない。

臓器別の影響度合いは一応加味されているとは言うがそれはエネルギーの受け取りによる温度上昇だけだ。

そのように考えると、この国防総省の推計値から各地の健康被害の発生見込みを読み取ることは難しい。

だが、甲状腺障害については、被曝量に応じた非確率的事象だとの専門家の見解があり、この推計でも甲状腺被曝量が重視されている。

大変辛いことだが、百里基地周辺の幼児の被曝量が大きいことから、健康被害も大きいのではないかと懸念される。1〜2歳の甲状腺被曝量で比較すると、東京で14、横須賀で12、座間で12となっており、百里の半分以下だ。

私がこれまでに調べた空間線量率のピーク水準などと照らし合わせると、仙台の値が特に高く見えるし、百里や小山が東京近辺の2倍程度で留まったのか疑問なしとしない。

なお、仙台については、仙台空港(名取市と岩沼市)で放射能汚染の測定業務に従事していた米兵が深刻な健康被害を訴えており、仙台市内での空間線量率測定値として数少ない東北大学での測定値は低いことから、これと整合しない面がある。

少し詳しく見ると、主要地点の甲状腺被曝量推定値は、年齢階層別に次のようになっている。百里の高さが突出し、三沢は低い。



地方では情報発信が少なく、健康被害の最新状況がつかみがたいが、大人の推定値から見て、小山、仙台でも、東京近辺の都市と同等以上の健康被害が出ることは避けられないだろう。

被曝量の推定において、甲状腺については放射性ヨウ素の濃度に圧倒的なウエイトが置かれているだろう。セシウムも甲状腺異常の原因となるとされるが、国防総省はセシウムについては保守的に推計しただろう。一方、全身被曝量については、ヨウ素、セシウム以外の核種も含めたガンマ線の強さで推計されただろう。

このように考えれば、甲状腺被曝量の全身被曝量に対する比率を見ることにより、米軍がヨウ素の濃度とガンマ線の強さを地域別にどうとらえていたかが推測できる。



1〜2歳児で見ると、Hyakuri、Yokosuka、Tokyo、 Zama、Yokotaの順で高く、Misawaは2倍と格段に低い。

百里は濃厚汚染地帯で、近くの鉾田市では、3/15と3/21にプルームが通過している。



この百里の推定値の枠内には、Chosi Port、City of Ishioka、City of Mito、City of Tsukuba、Hyakuri Air Base、Naritaが含まれる。上の地図で水戸市から成田市までが含まれる。千葉県の濃厚汚染地帯の多くがこの程度の被曝量に相当すると見られる。

国防総省の推計は、特定のスポットについて推計し、それを近接の都市に適用しているようだ。木更津は横須賀と同じ、つがる市は三沢と同じだ。

そこで小選挙区ごとにその中に含まれる市町村に推計値があれば、それを小選挙区全体の推計値とみなしてマッピングしたのが次の地図だ。

全身被曝量についてはセシウム降下量の分布と少し異なっているように感じる。だが、全体としては、距離に応じた自然な形にまとめていることが分かる。





この国防総省のデータを検証できる資料が見つからないが、小出裕章氏が安全ゼミで発表した資料から、2011/3/15の東京台東区の住民の被曝量は1日で1mSvに達すると推定している方もおられる。

国防総省の推計では、2011/3/12からの60日間で東京都港区赤坂で全身で0.46mSv、甲状腺で5.2mSvだ。

この推計値について、日本の専門家がコメントした例にまだ接していない。私が知らないだけなのかもしれないが、邪推すると、甲状腺被曝量が大きくて、下手にコメントできないほどに恐い内容なのではないだろうか。

(初出 2014/4/18 4/19 4/20追記 6/20 大幅修正)
posted by ZUKUNASHI at 12:31| Comment(2) | 福島原発事故
この記事へのコメント
いつも貴重な情報をありがとうございます。
70代前半 両親が 座間在住です。昨年母は顔が急に皺だらけになり、蓄膿がなかなか治らず苦しみ 父は白内障の手術 。キャンプ座間近く在住の知人のお父さんがガンで亡くなり、ご主人 40代は今年雪が降った日に腕を骨折。他にも体調不良の方沢山聞いています。私も震災後健康診断で初めて再検査。白血球の異常です。この記事を読ませて頂いて放射能が原因かなと思いました。先日新聞にキャンプ座間の一部が日本へ返還されるとありました。それほど汚染が酷いということでしょうか?

毎日貴重な情報を本当に感謝しています。放射能汚染に関してテレビ新聞雑誌では恐ろしいほど何も教えてくれないので、ずくなし様のブログを頼りにしています。
Posted by 神奈川県央主婦 at 2014年06月20日 19:57
仙台は、最近話題になった11日12日付近のベントの時のが直撃してるから、核種比率が違う。
だから、【無かった事になってる】部分がCsマップの汚染地図にずれを生じさせている。

β全体測定してる米軍は、サブマージョン含めていろいろ知ってるから、降った仙台を高く出せるのだろうし、
東北大は御用だから、もちろんいかに誤魔化せるかでαβ関連除外しにかかっただろうから、
両者で差が出てるんだろうな。

日本が徹底的にβ無視してるところに真髄がある。健康被害は、もっと多岐にわたる核種の複合技の結果。
で、その共通項目が、主にβ。
Posted by KAT at 2014年06月20日 23:00
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