[私見]初期被曝の度合いの推定: ずくなしの冷や水

2014年03月30日

[私見]初期被曝の度合いの推定

初期吸気被曝の大きかった地域では、より早い段階で死亡数が増えたというのが、私のこれまでの検討結果だ。

初期被曝の時期については、初期被曝の時期の推定で少し書いたが、度合いが分からなければ、対処のしようがない。

月別死亡数を用いて、3月以降の死亡数がどれだけ早い時期に集まっているか、早い時期のウエイトが高まっているか調べれば、被曝度合いの推定のよすがになるだろう。

試算1
上の考えから、2011/3から2012/2までの月別死亡数に早い時期に厚く、遅い時期に薄くウエイトをかけてウエイトがない場合との比で地域区分したものが次の図だ。



極端におかしいところはないと思うが、秋田県が高すぎるし、長野県の浅間山南側も同じ。浅間山の周りについては、飲食物経由の内部被曝があったと見られるが少々高すぎのように見える。それに茨城県内の中央部の被曝が過小評価だ。

試算2
2011/3から2011/10までの月別日別死亡数を用いて8ヶ月間の死亡数合計のうち3、4、5月の計が占める割合で区分した。対象期間はいくつか試したが、これが一番当てはまりがよいように見える。



秋田、新潟北部、長野東部が下がっている。静岡県が全般的に高いが、地元の発電所の影響もあるのではなかろうか。

東京都とその周辺について見ると、東京都特別区は、葛飾区、墨田区、足立区、荒川区、北区、板橋区、練馬区、品川区などに濃淡の差はあれ色が付いている。



千葉県の東葛飾地域とその茨城県側、埼玉県側にも相応の被曝を推定している。茨城県は、南部が下から3つ目の階層で少し低い気もするが、東部海岸沿いとの比較ではこのくらいの差が出たかもしれない。

新潟県の北部が高くなっているが、会津から阿賀町に抜けたプルームが北に回ったのだろう。日本原子力研究開発機構のシミュレーションでは新潟、山形の海沿い県境辺りの汚染が推定されている。

次の地図は既出。4月以降じわりと死亡数が増えたり、高水準で推移したところが少なくないことが分かる。



次は、日本原子力研究開発機構による「福島第一原子力発電所事故に伴うCs137の大気降下状況の試算 - 世界版SPEEDI(WSPEEDI)を用いたシミュレーション-」から2011/3/12から4/1までの累積値。



上の緑色の図と、このシミュレーションや空中測定マップと比較すると、濃厚汚染地帯で特に初期被曝が大きくなったとの推計結果にはなっていない。これは、濃厚汚染地帯のほとんどが、降雨による湿式沈着で生じており、降雨が強ければ、霧雨でも長い時間続けば、放射性物質が空中から洗い落とされるために、降雨がない場合に比して吸気内部被曝が軽減されることによるものと見られる。

しかし、濃厚汚染地帯では、放射性物質が多量沈着しており、乾燥、風などによって再浮遊したり、農作物を通じて摂取され内部被曝の増大を招くことになる。

私見では、吸気被曝が最も即効性があり、次いで飲食物の摂取による内部被曝だと考える。外部被曝も即、死を招くことがあるし、恒常的な外部被曝は低線量でも危険だとする専門家の見解がある。

このため、濃厚汚染地帯では健康被害の出方が時間の経過とともに強くなるのではあるまいか。

参考
posted by ZUKUNASHI at 12:37| Comment(0) | 原発事故健康被害
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