精密な尿検査もその結果の評価も難しい: ずくなしの冷や水

2014年01月20日

精密な尿検査もその結果の評価も難しい

尿のセシウム検査結果を収集しようとしているが、どうもおかしい。低すぎるのだ。0.16Bq/Lとか0.35Bq/Lがざらにある。バックグラウンドの数値が高い関東でどうやってこんなに高精度な測定ができるのだろう。

と思っていたら、東海アマ氏が次のようにツイート。
「1ベクレル以下、コンマの数値の精度があると主張する放射能測定ラボが多いのですが、これが可能なのは@鉛10センチ以上の遮蔽A2度以内の定温管理B2インチ相当のシンチかゲルマ C1000Ch以上のMCA D分解能7%以下 E1ベクレル検出10時間以上の測定が必要です これ以外はウソ」

そこまではっきりと言わなくても、というのが年寄りの思いだが、1件2万円とかの料金を払って測定に出しても精度に疑問があるものも多いということは知っておいたほうが良い。

そして、測定結果の評価というか、その結果の使い方も大変難しい。通常は、尿のkg当り濃度を100倍から150倍すれば体内蓄積総量になるとされるが、生物学的半減期は年齢によって異なるし、カラダの部位によってもセシウムの取り込みやすさは違うから、このように単純にはいかない。

東海アマ氏に負けずにはっきり言えば、尿測定しても、その結果の使い方は、開発されていない。

とは言いながらも、内部被曝の度合いを他に推定する方法は見当たらないから、いろいろデータを集めて評価方法を模索するしかない。

茨城大学の有志の会が「尿中セシウム検査結果の活用法」という資料を公開している。作成を担ったのは中川尚子氏。この資料には内部被曝量の計算方法まで書かれていて、当初御用サイドの安全プロパガンダ資料かと思ったが、貴重な情報も多い。

尿中 セシウム検査結果 の活用法 - 茨城大学

例えば、セシウムの排出は尿が8割、便が2割とされており、これは私には新しい知見だった。それに生物学的半減期は新陳代謝の活発さに応じ、つまり年齢に応じて変わるが、この資料では体内蓄積量を計算する際に年齢別の係数を乗ずるように簡便化されており、計算がとても楽だ。

次は、既存の測定結果をいくつか取り上げ、茨城大学の資料に準拠して計算した体内蓄積量などを示す。簡単に説明すると最初の太枠内は設例、2番目の太枠内は計算過程、3番目は経口摂取量と体内取込量はカリとの競合によってセシウムのすべてが体内に取り込まれるのではないとの私の考えから、体内取込率7割として逆算した経口摂取量と飲食料品の平均セシウム濃度。



最下欄は、体内蓄積総量を体内蓄積(K)に体重(B)を乗じて得た場合と簡単に尿中濃度(D)を150倍した数値を掲げている。年齢によってこれだけの推定値の差が生ずる。

ここにあげた設例では、kg当たり20Bq以上の蓄積例は出てこなかった。検体提供者は、一応内部被曝に留意しているということの表れかもしれないが、一般にこの程度の内部蓄積なら多くの人が各種の深刻な疾病を発症するような事態にはならないはずで、信頼できるデータが決定的に不足している。

とりあえず今の段階で私が言えることは、すでに汚染飲食料品の排除に留意している人が尿検査を受けても、あまり意味がない。体調不良の方が、尿検査を受ければ、結果によっては飲食料品に原因があると推定される場合もあるだろう。

ただし、検査依頼は信頼が出来て費用の安いところを選ばなければならない。常総生協のサービスエリアなら同生協に相談するのがいいだろうし、そうでなければ東海アマ氏に頼んではどうだろう。


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posted by ZUKUNASHI at 13:54| Comment(0) | 原発事故健康被害
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