東京電力は2014/1/17、福島第一原発の海側にある観測用井戸で1/16に採取した水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が、1リットル当たり270万ベクレル検出されたと発表した。
この値は日を追って上昇しており、270万ベクレルはこれまでの最高値。
溶融燃料が地面にもぐりこんでいるなら地下水が溶融燃料に接して流れるから、β線核種の濃度が上昇し続けても当然だ。汚染水はベータ線が1リットル当り8000万ベクレルとも言われている。
建屋の地下などに溜っていた汚染水が漏れ出てくるのであれば、時間の経過とともに濃度は下がるはずだ。
もう一つは、3号機原子炉建屋5階中央部から出ている湯気。次は、「めげ猫「タマ」の日記」2014/1/17の記事から拝借した月別湯気発生回数。2013年の夏以降、湯気の発生回数(と言うより確認回数)が増えており、これは地下水の多い地層まで溶融燃料が沈下したためではないかとの見方が出ている。

仮にその見方が正しければ、少なくとも一回は恐れられていた水蒸気爆発は起きずに済んだということになり幸運だったということになる。
もっとも、小出裕章氏はそういう水蒸気爆発の危険には言及していなかったと記憶するから、危険性としては大きくなかったのだろう。地下水は、土砂、粘土が水分で飽和した状態になっているだけで、川の水のように流れているわけではない。
小出裕章氏はかなり前から、水冷を止めて別の方法、例えば金属を溶融燃料に近いところに送り込んで冷却する方法を考えるべきと発言していた。
他の専門家にも空冷を検討すべきとの意見が見られるから、今のように原子炉内に大量の水を注入する必要は薄れているというのが、専門家の見方のようだ。
原子炉内に注入する水の量を減らせば、発生する汚染水の量も減って東電は大助かりのはずなのにそのような動きがないのはなぜだろう。
溶融燃料がどこにあるか分からないのに、仮に効果が薄いとしても安全のために注水は止められないという考え方はもちろんある。
だが、注水を止める、あるいは大幅に絞り込むこととしたら、その理由を説明しなければならず、メルトスルーを認めることになるという点が、注水継続の最大の理由ではなかろうか。
メルトスルーを認めれば、「冷温停止状態」も「アンダーコントロール」も大嘘だったと認めることになる。
かくして、今の政権が続く限り大量注水が続き、汚染水は限りなく増大していく。ALPSとかいう浄化装置も稼動のメド立たず、急こしらえのタンクは原液のままの高濃度の汚染水で満たされる。
私は、関係者の中には地震が来てタンクが倒壊したり、破裂したりして何万トンもの汚染水が一気に海に流れ込むのを待っているのではないかと邪推してみたりしているが、そんなに都合よく地震が作用してくれるかは疑問だ。
東電の汚染水処理経費は、その多くを国が負担するわけだから敷地に収容しきれないほどにタンクが増えても、東電は痛くもかゆくもないのかもしれない。作業員の被曝問題についても対応は鈍い。
大地震が来て、原子炉建屋が傾いたり、倒壊したりした場合に、今の政権に対処能力があるとは思えない。少しの放射能はカラダに良いどころではなくて、短期間の100mSvの被曝でも、「ノープロブレム」と繰り返すだけではないか。
とにかく、現政権には一日も早く消えてもらわないと地獄に向かう道が日々整えられるだけなのではないか。