尿検査はどんな意味があるか: ずくなしの冷や水

2013年12月21日

尿検査はどんな意味があるか

外部被曝も怖いが、内部被爆はもっと怖い。内部被曝の度合いを測るためにホールボディカウンターが使われたりするが、ガンマ線しか測れないし、線源が広がっているわけだから測定精度を上げることは難しいだろう。

尿検査は、カラダの中から排出されたものだから、それが重要な情報をもたらしてくれそうに思う。尿検査で検出されたセシウムの100倍から150倍が体内にあるとされるが、どういう根拠なのだろう。

体内に入った放射性物質については、物理的な崩壊のほかに体外排出があることから「生物学的半減期」なるものがあり、75日とか100日とか言われている。

もし、私たちが毎日一定量のセシウムを摂取し、それがすべて体内に吸収されたらどうなるだろう。

次のグラフは、ある時点から毎日3ベクレルずつカラダが吸収した場合に、時間の経過とともに体内の蓄積量がどうなるかを見たものだ。



生物学的半減期は、50日、70日、100日の場合を想定し、体内の蓄積分がこれらの半減期で減っていくという想定だ。体内に入ったセシウムは、物理的に崩壊、減衰していくが、50日から100日という短い期間では、崩壊よりも排出のほうがはるかに大きいため、物理的な減衰分は考慮していない。

生物学的半減期、50日、70日、100日の三つのケースごとに、一日の体内吸収量3ベクレルと9ベクレルの場合の定常状態(入るものと出るものが等しくなった状態)になるまでの日数、定常状態の体内蓄積量、その体重1kg当りの量(体重30kg〜80kg)を示してある。



定常状態だから、排出量は摂取量と同じ。そして、排出量と体内蓄積量の比も示した。

よく、尿のセシウム濃度の100倍から150倍が体内にあると言われるが、これはこの比を念頭に置いたものだ。

そして、子どもは大人よりも排出が早いとも言われるが、そうであれば生物学的半減期は大人よりも短いこととなり、同じ量を毎日摂取しても、体内蓄積量は大人よりも少なくなる。

体重30kgの子どもが毎日9ベクレル摂取した場合、生物学的半減期50日なら約500日後には定常状態に到達し、排出量9ベクレル、体内蓄積量645ベクレルだから体重1kg当りでは21.5ベクレルとなる。

始末が悪いことに、セシウムは筋肉により多く溜るとされている。バンダジェフスキーの「人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響」には、体内放射能レベルが50Bq/kg 以上の子供は器官や系にかなりの病理変化を持っていた。平均40-60Bq/kg のセシウムは、心筋の微細な構造変化をもたらすことができ、心筋における代謝不調は20Bq/kgで記録された​、とある。

2012/3ころの情報に「いわきで、放射能を全く気にしない生活をしていた人が尿検査をしたら500Bq/kgもでた」との話があった。これは驚異的な数値で、今なおご存命なら奇跡だ。

尿検査のデータは少ないし、何よりも精度が疑問だ。1ベクレル/kg程度をきちんと測れる機械で時間をかけて測定しなければならないから、検査機関の中にはろくに測定もせずにそこそこ軽めの値を使いまわしているところもあるらしい。

ある読者書き込み方式のサイトに掲載された尿中濃度は全般的に低い。122件ほどの書き込みがあって全体の平均が0.185ベクレル/kg前後。これが事実なら喜ばしいことだが、東海アマ氏の測定結果などとも水準が違う。

0.185ベクレル/kgを測れる測定器は多くないだろうし、そういう精密な測定を依頼したら、費用は1万円では到底足りないだろう。

前に書いたが、飲食料品1kg当りのセシウム濃度が1.1ベクレルを超えると健康被害が出てくるというのは、どうも確からしい。飲食料品平均1.1ベクレル/kgなら上の試算で1日2.2ベクレルに相当し、定常状態の体内蓄積量158ベクレル。体重40kgで約4ベクレル/kgだ。

東海アマ氏の尿測定で、弥彦村5歳、セシウム計1.2Bq/Kg、弥彦村8歳、セシウム計4Bq/Kg、弥彦村11歳、セシウム計4.8Bq/Kgなどのデータが示されている。

子どもの一日の尿の量は1Lよりは少ないのではないかと思うが、仮に1Lとして一日の排出量が4ベクレルとか4.8ベクレルであれば、すでに福島第一原発事故から1000日、定常状態に入っていると見られるから毎日それだけ体内に取り込んでいるわけで、飲食料品平均1.1ベクレル/kgの観点からもかなり危険度が高いといえるだろう。

関連記事
千葉県成田市在住家族の尿中セシウムから考える 

追記
週刊朝日 2013年10月04日号に次の記述がある。
「琉球大学名誉教授の矢ケ崎克馬氏は、・・・体に入ったセシウムは大人約80日、子ども約40日の半減期で排出されるという」
「2011年9月には岩手県一関市在住の4歳の女児の尿から4・64ベクレルという高い数字が出た」
「常総生活協同組合が、千葉、茨城の15市町に住む0歳から18歳までの子どもを対象に実施した尿検査の結果で予備検査を含めた最高値は1リットル当たり1・683ベクレル。参考までに調べた大人は2・5ベクレルという高い数値でした。」
posted by ZUKUNASHI at 20:46| Comment(0) | 原発事故健康被害
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。