その中で、検出限界を超える値が検出された例は多くない。
・干ししいたけ
・ミートソース缶(おとな向け)Cs134_1.93、Cs137_2.24
原料産地(豚)福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県(トマト)宮城県
・常温加工品ノヴァの有機ドライパイナップル Cs137_4.06 スリランカ産
・常温加工品メープルシロップ、カナダケベック州産 2011年3月中旬〜4月収穫 Cs137_2.91
などがあるだけだ。
大分県産の干ししいたけのセシウム汚染は以前から指摘されている。ミートソース缶は宮城県産トマトが原因だろう。意外なのは、スリランカ産パイナップルから製造された乾燥品の汚染。日本で加工する際に汚染されたのか、それとも原料が汚染されていたのかは分からない。
そしてカナダケベック州産メープルシロップの汚染。こちらは、福島第一原発事故によるプルームが飛んでおり、汚染がありうるとされていた。
グリーンコープの検査対象品は幅広く、多くの加工品を含むが、ほとんどが検出限界未満となっている。しかも検出限界は、Cs134、Cs137ともに1ベクレル/kg前後と低い。
率直に言って、西日本の食材の汚染はこんなに低いのかと衝撃を受けた。
東西日本の比較が出来ないか考えたが、数少ない実測値を比較しても意味がないので、「じんましんになった知人のセシウム摂取量を推定する」で用いた、山梨県と新潟県の検査結果をベースに、セシウム137の検出限界値を1.5倍してこれをセシウム計の推定値とする方法でグリーンコープの検査結果についても推定値を弾いた。
グリーンコープの検査結果から約1,100件を拾い出し、低いものから順に推定値を並べたのが次のグラフだ。1.7ベクレル/kg辺りを中心に低いほうが1ベクレル/kg、高いもので3.4ベクレル/kg程度だ。

一方、山梨県と新潟県の検査結果から導いた推定値の分布は、5ベクレル/kg程度を中心にして低いほうが1ベクレル/kg、高いもので20ベクレル/kg近い。なお、産地県ごと品目ごとの平均値を用いている。

二つのグラフを重ねれば、グリーンコープの分布曲線は山梨県と新潟県の検査結果による分布曲線の下にすっぽりと入ってしまう。しかも中心当りで3.3ベクレル/kgもの格差がつく。
食材kg当り1.1ベクレルを目標にセシウムの量を抑えようとしているときにこの差は大きい。
東日本では汚染の少ない食品選びに四苦八苦しなければならないのに、西日本では特に食材選びに気を使わなくても水以外の平均がおおむね1.7ベクレル/kg辺りとなり、水の汚染も低いから全体では1.1ベクレル/kgに落ちてしまう。

これでもぎりぎり健康被害の発生を防げるかという水準だが、特に意識しないでも達成できる意味は大きい。後は、産地偽装などに気をつければよいことになる。
ただ、グリーンコープの検査対象品は、汚染が軽くなる方向でのバイアスがかかっていることは確かだろう。グリーンコープは、自主基準を10ベクレル/kgとし、「10ベクレルを超えた場合でも、直ちに取り扱いを中止するのではなく、その事実と現実を受け止めた上で供給するかどうかを理事会検討することにしています」としている。
この方針は、供給業者側にも伝わっているはずで、高い放射能が検出されれば、取り扱い中止にならなくとも、需要は減るだろうから、供給業者側も放射能汚染が高くならないように気を使うだろう。
福島県産品は、会津地方産のコメしか見当たらない。宮城産のトマトを使ってミートソースを作った業者は痛い思いをしただろう。
若い方がこの先、10年、20年と日々の食に神経質なまでに気を使わなければ健康を維持できないという負担に耐えられるだろうか。そんなことよりも別にやることの多い若い人にとってどうすべきかは、議論の余地がないだろう。東日本は早晩寂れる。人が住めるところではないのだから。