被曝が蓄積した体調悪化者は20mSvの追加医療被曝に耐えられるか: ずくなしの冷や水

2013年12月16日

被曝が蓄積した体調悪化者は20mSvの追加医療被曝に耐えられるか

2013/12/14、知人から聞いた突然死の事例情報が私の心の中に尾を引いている。

同様な事例情報としては3件目だ。時間的に新しいものからあげると、今日聞いた事例の前に次の事例があった。

「柏在住の63歳男性。元気だったのに、脳幹梗塞であっという間に死亡。初期症状は吐き気、めまい。病院に行くも異常なしで帰されていた。東大キャンパス近く。onodekita氏の2013/10/26のツイート」

その前のものは、発生時点は福島第一原発事故から1ヵ月半程度後。

「福島市の40代女性、2011/4月に突然具合が悪くなり、数日間風邪のような症状。その後突然倒れ、病院で様々な検査したが、結果は異常なし。その日は病院で点滴を受けて自宅へ帰ってきたが、翌日急逝。検死の結果は「急性心筋梗塞」。木下黄太のブログ2013/11/28の記事から」

探したらもう1件あった。

「私の祖母は頭痛がすると脳の専門病院でMRIを撮りましたが異常なし。その一ヵ月後で脳梗塞で急死。おまけに急性白血病とも。叔父一人脳梗塞で一命とりとめ、親戚複数心関係悪化、放射能を疑っているは私だけ。医者は皆ありえないと断言。ちなみに埼玉及び都内の話です。 武政 ‏@baiarnnms氏の2012/12/24のツイート」

典型的なパターンは、大人が家で倒れたり、体調悪化を感じて病院で検査を受けるが異常なし、そして帰宅後に急逝、だ。

脳幹梗塞で亡くなった方は、頭部のCTを受けているだろうし、急性心筋梗塞でなくなった方は、さまざまな検査とあるからCTも受けているだろう。私が12/14に聞いた事例ではどんな症状だったのかは不明だが、やはりいろいろな検査を受けただろう。

私の友人は、大動脈解離でカテーテルを入れており、年2回大学病院でCTを受けている。1回の被曝量が20mSvに達するという。「胸部CT:6.9mSv/1回」などと新聞が報じているが、これは骨の少ない胸部をしかも最新鋭の機械を使用して行った場合だという。

福島第一原発事故から2年半以上経過し、東京周辺でも外部被曝が蓄積している。内部被曝もある。以前なら耐えられた医療被曝でも、今は被曝の蓄積が進み、被曝に耐える余力が少なくなっているということはないのだろうか。

私は、被爆はもうたくさんと考え、年1回の定期健康診断でも胃レントゲン検査(バリウム検査)は3年間受けていない。先日、体調を崩したときは、頭部のCTは避けられまいと覚悟していたのだが、めまいが風邪の治りかけの頃から始まって次第に強まったこと、どこにも痺れや麻痺がなかったことから、診察してくれた若い女医は、三半規管の異常とすぐに判断したようだ。

売り上げを上げるために、「念のため頭部CTをとっておきましょう」などと言う病院もあるのだろうが、それはなかった。付き添いが、耳鼻科を受診すべきか問うたのに対して、一言「同じ薬を出すと思います」との答えを聞いたときは、本当に安堵した。

月曜まで待って評判の良い病院に行ったのが良かったのか、担当してくれた医師が良かったのか、分からないが今回はよい選択をし、ありがたい結果となった。

病院は多いが、大学の名がついた病院でも交通事故の患者の骨折を見つけられなかったなどの例をしばしば聞く。さんざん、レントゲン写真を撮られたその結果がそういうことではたまらない。

今日の突然死の事例情報を聞いて、病院での検査それ自体が、患者の肉体的な負担となり、突然死を早める結果となっていることもあるのではないかとの疑いを持つ。

放射線照射でがん細胞が死ぬのだから、弱ってぼろぼろになりつつある器官が20mSvの追加医療被曝で寿命を縮めることはありそうに思う。

だが、それではレントゲンを使用しないでどうやって診断ができるというのかという反論もすぐに沸いてくる。

とにかく、普段から極力被曝回避に努めていないと、追加的な医療被曝によって器官の寿命が尽きてしまうことがありうるのだと、警戒しておかなければならないのではなかろうか。

・・・・・・

cosmos ‏@cosmos115 氏の2013/12/10のツイート
驚いた! 日本の癌患者の10人に1人以上はCTの撮影で発癌しているという事実が。しかし医者は誰もそれには触れない。なぜなら、CT装置は・・・
るいネット「癌検診を受けてはいけない」

(初出 2013/12/14 21:57:05 追記 12/16)
posted by ZUKUNASHI at 08:57| Comment(2) | 原発事故健康被害
この記事へのコメント
今回のエントリは日頃の診療に深く関連していますので、コメントします。長くなりすみません。

医療被曝については、線量限度はありません。
メリットとデメリットを勘案して行っています。
以前、別のエントリでも記載しましたが、検査内容によっては、1000mGyを越える照射もありえます。心臓カテーテル治療や、CT透視下生検などでは、治療などの目的を達するためにその程度にはなってしまったりします。

一方、放射線治療は、癌組織のみならず、正常組織にも、あるいは治療量の照射がなされます。
ある程度はマージンをとるためと、照射方法によります。
具体的には、食道がんの治療をする場合、60-66Gyの照射が一般的ですが、前後対向2門照射で40Gy、以降は脊髄を避けて斜め対向2門といたします。1回線量は1.8-2Gyです。これを一日一回、週5回で行います。使用するX線は10MVもの高圧で加速されたものを使います。
癌組織と正常組織の双方に、当然に影響が出ます。影響は、DNAの損傷(鎖切断や塩基損傷)として説明されます。

セルサイクルの早い癌組織は、DNA修復が分裂に間に合わず、遺伝子破壊の影響が強く出て、細胞死に至ります。
正常組織では、DNA損傷は、分裂を起こす前に、補修されるため、障害が殆ど起こりにくい。
この差を繰り返していくことで、癌組織のみをやっつけることができる、というのが理屈です。

治療効果、生物学的効果を高くするために必要になるのは光子のエネルギーとフリーラジカルなどです。放射線治療に10MVX線など使うのはこの電離を起こすために必要なためです。フリーラジカルによる損傷を効率的に起こすために組織の酸素化を試みることもあります。

日常診療範囲で、大きな障害なく60Gyといった照射を受ける方が大半です。
そう考えると、検査程度の被曝は影響は現実的には少ないです。

これらの話は、病気の方、特にがん患者様については成立する話です。

病気でない方については、いかなる被曝もリスク、デメリットが、メリットを、上回ります。
その辺りが、健診で問われます。
記事最後のリンクはそういう話です。
あまり正しくない解釈ですが。


脳幹梗塞で不幸にして亡くなられた方のお話。
似たような経験があります。
脳幹梗塞は、診断が難しいものもあります。
画像診断専門にやっていても、紛らわしい方がいます。当院例では初診時のMRIで有意な異常なし、としました。しかし翌日のCT MRIで病気が明らかになりました。
放射線科医、神経内科医、脳外科医で初診時のMRIをレビューしましたが、翌日明らかになった病変に一致して淡い異常信号域があったのです。
私はこの手の病変は [明らかに異常とは言えないが、わずかなDWI高信号を疑う]と書きます。
レポート医とはほんのちょっと記載が違います
可能性あり、あとは臨床医の判断です。
みんな明らかな異常とは取れない、で一致しました。そういう病気もあるのです。

ちなみに当院例はリハビリは必要ですが、命に別条ありません。
Posted by 西京の放射線科医 at 2013年12月16日 12:27
先生 コメントありがとうございます。最後に付したリンク先に書かれたことは、私にはよく分からないところがありました。
異常なしで急死となると検死案件も出てくるでしょう。被曝が重なった人の基礎的健康悪化度を示す複合指標が必要なのかもしれませんね。
Posted by ずくなし at 2013年12月16日 12:52
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