
成人の一日当り平均的尿の量は、1Lから1.5Lだとされているから、37歳の女性を例にとれば、1日当り1.4ベクレルから2.1ベクレル尿で排出していることになる。
このほかにも汗で排出するもの、毛や爪で排出するものがあるが、量的には少ないだろうから、尿だけに着目すると、この方は、毎日飲食物で少なくとも1.4〜2.1ベクレル体内に取り込んでいることになる。
2013/11にウクライナからタチアナ・アンドロシェンコ氏が来日し、低線量被曝に関する実証実験プロジェクトの成果を報告したが、この際に「食品と暮らしの安全基金」の小若順一代表は、1kgあたり1.1ベクレルという数値が、内部被曝による健康被害を及ぼす最低値であることを発見したと述べている。
この情報をもとにして書いたのが、摂取する食品の汚染を1.1ベクレル/kg以下にすることは難しいことではない。この記事に次の表を掲げた。
この表は、各品目ごとに掲げる汚染程度であれば、一日のセシウム摂取量が2.6ベクレル、kg当りでは1.3ベクレル程度に抑えられることを示す。

上の成田市の37歳女性の場合、毎日飲食物で少なくとも1.4〜2.1ベクレル体内に取り込んでいると推測されるから、見方によっては、ぎりぎり内部被曝による健康被害を抑制しうる水準とも言えるし、上の表のベクレル数は口に入った段階でのベクレル数であり、吸収されないものもありうることを考えると、この方の飲食物に含まれるセシウム量はこの表に示すよりももっと多いと見ることもできる。
成田市のこの女性は、自分の親と子ども計5人の測定を依頼しているから、普段からかなり注意を払っておられるのだろう。それでも飲食物1kg当り0.7〜1.05ベクレル以上セシウムをとっていることになる。
厚生労働省が、国立医薬品食品衛生研究所に委託して、平成24年2月から5月に、陰膳試料(一般家庭で調理された食事)を収集し、放射性ストロンチウム(Sr-90)などを測定した結果では、1kg当り1ベクレル以上のセシウムが検出された例は、見られない。
これなら食べ物の汚染では誰も病気にならないだろう
飲酒が影響している可能性のある男性2人の数値を除くと、成田市のこの家族の食事のセシウム汚染は、国立医薬品食品衛生研究所の調査結果の汚染度を大きく上回っていることとなり、改めてこの調査結果に疑問を感ぜざるをえない。
他の方の尿中セシウム測定結果と比較してもこの家族の測定結果が特に高いわけではない。
放射能に気をつけている人の尿測定結果がこのよう状況であることを見ると、「食べて応援」に励んでいる人がどうなのかは、容易に察しがつく。・・・早晩なんらかの疾病を発症して痛い苦しい思いをした上で寿命を縮める。
成田市については、し尿汚泥焼却灰セシウム濃度のデータがある。漸減しているが、下がり方は緩慢だ。

東海アマ氏が「千葉県の方は、セシウム内部汚染について、もう少し深刻に考えた方がいい」と指摘するのは、十分根拠のあることだし、私も同意見だ。
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