きのこが教える汚染地図 (最新版): ずくなしの冷や水

2013年11月22日

きのこが教える汚染地図 (最新版)



(この地図の見方)
@ 100ベクレル/kg以上の区域は、野生きのこ、栽培きのこで放射性廃棄物並みに汚染の強いきのこが産出されることがある。きのこの出荷制限がかかった市町村が多い。

A 5ベクレル/kg・検出限界未満の区域は、検査データの見当たらない市町村を含む。周辺に汚染度の高い市町村がある場合は、同様な汚染度のものが産出される可能性が高い。

B 日本の特に野生きのこは、福島第一原発事故以前から4ベクレル/kg程度の汚染が見られるとの研究成果もあり、野生きのこを保存加工し、常食するとセシウムの体内蓄積が進む恐れがある。

C 行政機関の検査結果から、山菜、タケノコについてもきのこと同様な汚染度の分布が見られる。自然状態のものは、もはや安全安心ではない。きのこの汚染と土壌の汚染は高い相関がある。

(注)
1 国、都道府県、市町村の食品放射能検査結果から市町村別の野生きのこ、栽培きのこのセシウム合計濃度データを収集し、市町村ごとの最高値を地図上に階層区分で表示している。行政機関の測定値が見当たらない市町村については、一部民間の測定機関やグループのデータも採用。対象市町村数728。

2 野生きのこの最高値は、福島県南相馬市原町区馬場の山林で採取されたコムラサキシメジ434,000ベクレル/kg、2013/11/06公表。

栽培きのこの最高値は、千葉県我孫子市産露地栽培の原木しいたけ1,955ベクレル/kg。2011/09/27公表。栽培きのこの最低値は、山形県酒田市原木シイタケ0.66ベクレル/kg。2011/11/04公表。

3 測定の結果が検出限界値未満のものは、データとしては採用していない。行政機関、測定時期により検出限界値は大きく異なる。行政機関によって、検査に対する姿勢が異なり、低い検出限界で多数の試料を検査していると見られるのは、秋田県、新潟県、山梨県。検査件数が少ないと見られるのは山形県。

4 富山県、岐阜県、愛知県以西のきのこの検査件数は極めて少数なため、地図には表示しなかった。

5 次の市町村については、2013/11/22現在で検査データに接していないか、若しくは検出限界未満のみのデータしかないが、周辺市町村での検出状況から見て、相応の汚染があると推定される。

岩手県紫波町、九戸村
茨城県取手市、下妻市、鹿嶋市、神栖市、稲敷市
千葉県横芝光町、船橋市、市川市
埼玉県東部の市町村
東京都の東部市町村
神奈川県山北町、松田町、秦野市、箱根町、鎌倉市
静岡県川根本町、熱海市
山梨県道志村、笛吹市、西桂町、中央市、昭和町
新潟県小千谷市、新発田市
長野県東御市、長和町、飯山市、北部の市町村
山形県の市町村

6 化学と生物 Vol. 50, No. 10, 2012. 748. セミナー室. 放射性降下物の農畜水産物等への影響-菌類による放射性セシウムの吸収・蓄積によると、福島原発事故以前のわが国のキノコの 137Cs濃度は、新鮮重Bq/kgで測定幅<0.4 〜 1,250、 平均37、中央値 4 とされており、福島第一原発事故前から4ベクレル/kg程度のセシウムを含んでいたと見られる。

この地図作成のため収集したデータにも10ベクレル/kg未満のものは多く、約57の市町村で最高値が10ベクレル/kg未満となっている。

また、富山県、岐阜県、愛知県以西と北海道でも検査件数は少ないものの、微量のセシウムが検出される例も見られ、最高値が5ベクレル/kg未満の市町村と、データなし若しくは検出限界未満の市町村を5ベクレル/kg未満の階層に一括することにした。

7 個別の特異値などについては、次の調整を加えた。
乾燥しいたけについては、一律検出値を10分の1に引き下げ新鮮重に対応するものとみなした。

横浜市で検出された乾しいたけ公表日2011/11/02、セシウム計 2,770ベクレル/kgの事例については、新鮮重で277ベクレル/kgあるとみなした。横浜市南部の土壌汚染は激しいところがあり、新鮮重で75ベクレル/kgの検出例もある。

新潟県糸魚川市の施設栽培の菌床なめこ 142ベクレル/kg(2011/09/22公表)については、近隣市町村で類似する高い検出例がないこと、糸魚川市での他の検出例は、菌床しいたけで21.3ベクレル/kgであることから特異例と判断し除外した。

8 きのこ栽培用の原木とオガ粉加工用の原料木については、福島第一原発事故後も福島県から出荷が継続されており、特に菌を植えつけ済みの原木栽培品から高い値のセシウムが検出される例がある。菌床栽培にも、オガ粉加工用の原料木の汚染が疑われる事例がある。一方、栽培地地元で調達した原料木の汚染もありうるため、菌床栽培品の検出値については特に調整を加えていない。

9 2011年秋から2012年春にかけて、野生きのこと原木露地栽培のきのこで初期のフォールアウトの影響が強く出て検出値が高いものが続出した。山梨県の検出状況を見ると、なお強い汚染のものが見つかっており、この先もきのこの汚染は続くと見られる。山菜やきのこは放射能が高いとの認識を持って慎重に消費の判断をすべきと考えられる。

今後公表される検査データについても補充し、時機を見て改訂を予定している。

10 マッピングには、埼玉大学教育学部人文地理学 谷謙二研究室の作成提供によるソフト「MANDARA」を使用している。入力されたデータの緻密なチェック機能もあり、大変優れたソフトだ。ここに謝意を表する。
posted by ZUKUNASHI at 12:24| Comment(0) | 福島原発事故
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