総務省の統計局は2013/4に2011/10現在での人口統計に併せて将来人口推計を発表している。この推計は、この先避けられない人口急減をかなり大胆に織り込んでいる。2010年までの4年間は日本の人口はかろうじて1億2800万人を維持していたが、2011年は東日本大震災の犠牲者が多く出たことで、1億2800万人を割り込んだ。
これは特殊要因によるものだから異常値として推計基礎からは除外してもおかしくないのに、逆にこれを奇貨として死亡率の見込みを引き上げ、出生数の見込みを引き下げているように見える。このような場合、グラフなどに表示すると不連続な箇所が出てくるものなのにそれがない。

総人口で70歳以上の者は、2011/10/1現在で21,890千人、60歳以上では4千万人もいるからあと3年も経てば年を追って亡くなる方が増えてくる。だからこの先10年、20年のスパンでは死亡数が大きく膨らむことは議論の余地がない。

だが、もう一方で出生数も急減する見込みとなっていて、こちらは少子化対策の担当もいて政策努力の余地が大きいと見られるのに、すでに努力を放棄しているように見える。

私が推計対象期間としてきた2013年から2026年の13年間(あしかけ14年間)で見ると政府の推計では約720万人の人口減となっていて、私的な見通しを300万人ほど下回る。
次の表が今回の私の推計の基礎データを示す。チェルノブイリ事故から3年目以降の15年目までの13年間と福島第一原発事故から3年目からとを比較している。私の推計では、冒頭に書いた数値となっており、当局の出生数の推計は私の推計と比較して当初は差がないが年を追って差が拡大し、期間の終わりには年25万人程度の差が生じている。死亡数についてはそれほど大きな差はない。

ここでウクライナの人口の出生数と死亡数の推移を見ると、出生数の減少が早く始まり、しかも傾向として安定して低下していることが分かる。チェルノブイリ事故前はほぼ横ばいだったから、この低下はもっぱらチェルノブイリ事故の影響によるものと見るべきだ。
一方死亡数については、チェルノブイリ事故前から増加傾向にあり、1993年頃には10万人ほど多い水準に達していることからチェルノブイリ事故による上乗せ分は、5、6年後から年間10万人程度になったと見ることが出来る。日本の人口はウクライナの約2.5倍だから上の私的推計が当局推計とあまり差がないことを考慮すれば、この上乗せ分を考慮する必要がある。最初の6年間で年間10万人、後半の8年間で年間25万人の上乗せとなれば260万人だ。

かくして私の推計値は、2013年から2026年までのあしかけ14年間で1360万人の人口減となった。死亡数2410万人、出生数1060万人。
もともと、放射能による健康被害は識別することが困難だから、放射能禍による死者増加の度合いも把握することが難しい。あくまで結果論として、事後的に推計するしかないが、どの程度の脅威かと想像がつけば、防御にも力が入るだろう。
放射能禍による死者は数千万人にも上ると言う論者もおられてそれもありうることだと思う。計測期間を長く取れば取るほど放射能禍による死者は増えていく。
ただ、死亡は究極の健康被害であり、亡くなられる方の10倍、20倍の方が深刻な病に苦しむことになることだけは、福島第一原発事故後これまでの経験ではっきりしている。私は、痛い思いや、苦しさに耐えられないから、食べ物や水に気をつけている。ただ、それだけだ。