福島第一原発の状況悪化を警戒する 5 政府当局の対応で緊急度を推し量る: ずくなしの冷や水

2013年08月03日

福島第一原発の状況悪化を警戒する 5 政府当局の対応で緊急度を推し量る

経過

@ 平成25年2月8日 原子力災害対策本部決定 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉推進体制の強化について

政府及び東京電力に加え、研究開発に携わる主要な関係機関の長を構成員とする「東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議」を新たに設置し 「東京電力(株)福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置に向けた中長期ロードマップ」の進捗管理を行うとともに、重要事項を審議、決定する体制を構築する。なお、政府・東京電力中長期対策会議は廃止する。

(1)議長:経済産業大臣
(2)副議長:経済産業副大臣
(3)委員:文部科学副大臣
     東京電力(株)代表執行役社長
     (独)日本原子力研究開発機構理事長
     (株)東芝代表執行役社長
     (株)日立製作所代表執行役・執行役社長

     その他議長が指名する者
(4)オブザーバー:原子力規制委員会原子力規制庁

A 平成25年3月7日 東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議(第1回)資料3-3
2013年3月7日 研究開発運営組織設立準備について
報告者
東京電力(株)
(株)東芝
日立GEニュークリア・エナジー(株)
(独)日本原子力研究開発機構


福島第一原子力発電所における中長期措置に関して、燃料デブリ取り出しや放射性廃棄物処理・処分に向けた研究開発を効率的、効果的に実施するための研究開発運営組織の設立に向けた準備作業を加速するため、構成員候補とともに設立準備チームを設けることといたしました。

B 平成25年6月27日 東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議(第5回)資料8
2013年6月27日 研究開発運営組織設立準備の進捗について
報告者
(独)日本原子力研究開発機構
(株)東芝
日立GEニュークリア・エナジー(株)
東京電力(株)

理事長候補 山名元(はじむ)教授(京都大学原子炉実験所
運営・組織面等での助言をいただくため、海外の廃炉機関、TMI事故を経験した規制機関、国際機関関係者等から国際的な顧問(3名程度)を登用することを検討

研究開発運営組織は、総会、理事会の下、「研究企画部」、「研究推進部」、「国際・連携協力部」を中心に研究開発を推進する計画です。「研究企画部」は研究開発の全体戦略策定、予算措置、研究成果の評価などを、「研究推進部」は研究開発計画の立案、進捗管理、関係者間の連携強化などを、「国際・連携協力部」は海外機関との情報交換、技術調査、研究成果などの発信を行うことを想定しています。
また、技術的知見・経験に基づき助言を行う海外の各分野の専門家からなる国際廃炉エキスパートグループの設置を検討しています。
7月中旬頃(目途)技術研究組合法に基づいて設立認可申請を提出

(研究開発運営組織の構成員候補)
(独)日本原子力研究開発機構
(独)産業技術総合研究所
(株)東芝
日立GEニュークリア・エナジー(株)
三菱重工業(株)
北海道電力(株)
東北電力(株)
東京電力(株)
中部電力(株)
北陸電力(株)
関西電力(株)
中国電力(株)
四国電力(株)
九州電力(株)
日本原燃(株)
日本原子力発電(株)
電源開発(株)

NHK2013年8月1日 14時46分
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、研究機関や電力会社など17の機関が一体となって研究開発を進めるための新たな組織が設立され、1日、茂木経済産業大臣から認可書が交付されました。新たに設立されるのは「国際廃炉研究開発機構」で、原発の製造メーカーや電力会社など17の企業や政府系の研究機関から500人以上が参加します。山名理事長は「オールジャパンで技術を結集し、海外からも積極的にアイデアを募って、できるかぎり早く廃炉技術を育てたい」と話しています。

汚染水対策ワーキンググループ(正式名:第1回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ)の2013/8/2の会合の模様がネットに載っている。7/31の原子力規制委員会の会合で決まり、8/2夜の開催となっている。2時間の長丁場だ。会議資料

この会合の議論のポイントは、「福島第一原発の状況悪化を警戒する 2 データ」におしどりマコ氏のブログなどから引用している。

私は動画を見て、東電が資料説明で「データをご紹介する」と言ったり、調べてもいない、計算もしていないと見られることについて「手元にない」と言ったりしていることが気になった。一言一句が公開されるからそこを意識しているのかもしれないが。

2013/7/31の規制委員会議事録から
規制庁事故対策室長:地中・海洋への汚染水の漏えい問題につきましては、拡散範囲の特定、拡散防止策を検討するためのワーキンググループといったものを先ほどの監視・評価検討会の下に設けたい。東京電力もしっかりとした責任を持って参画するよう、個人名をしっかりと示して参加させるといったことで体制を考えております。
海洋モニタリングにつきましては、現状をいろいろ踏まえまして、この在り方について検討を行う海洋モニタリングに関する検討会を新設する。2つの検討会につきましては原則公開で行いまして、必要に応じて面談等を行いまして、しっかりとした技術情報を得て、それをもとにエビデンスベースのしっかりとした議論が行えるようにやっていきたいと考えております。
規制庁審議官:先ほどの説明の中で、地下水位が上昇しているということがございました。月曜日の検討会の段階では地下水位が大体最高でも2.5メートルであるということで推計して、そういう前提で議論しておりましたが、東京電力はその月曜日の夕方に地下水位が上昇している、これは現在、止水工事を行っておりますので、当然のことながら海に出ていかない分だけ地下水位が上がっているということでございます。そういう重要な情報を月曜日の検討会の場では、その重要な情報を持っていたにもかかわらず提供がなかったというのは、極めて遺憾であると私は思っております。
委員長:汚染水の問題というのは相当切迫していますし、相当の危機感。そう簡単にネズミ、電気とか配管の問題と比べると非常に大変な問題です。それで、ある程度避けて通れないところがありまして・・・東京電力はその辺の危機感が全くないのではないのかというような、重要な情報が、データが遅れて出てくるというようなことがあるということなのです。そういうこともありまして、本来ならば東京電力とか他が主体的にやるべきことについて規制委員会、規制庁としてこういった対応をとるということを決めましたので、そういうことで相当、気持ち緊張感を持って企業は取り組む必要があると思っています。


私の個人的な推測

1.国内の原子力関係機関は、どこも廃炉、とりわけ福島第一原発の廃炉について知見を有していない。このため、「国際的」廃炉技術を研究するとしている。福島第一原発の運営者、原子炉メーカーも自力では廃炉技術の開発のメドすら立たないと見られる。

2.行政当局は、福島第一原発の運営者、原子炉メーカーに対して何とかしろと強く求めているのだろうが、相手はなんだかんだと逃げていて、行政当局は将来の道筋も見えないまま時間だけが経過することにあせっている印象。

3.結果、民間による技術研究組合を作り、海外(米、仏)の知恵も借りて廃炉技術の開発を進めさせることにしたようだ。しかし、技術者を多数集めれば、研究開発が進むという性格の問題ではなく、及び腰の関係機関も多いように見られる。なぜか理事長は東京大学ではなく京都大学。

4.国際廃炉研究開発機構が認可された同じタイミングで福島第一原発の汚染水問題が緊迫化、廃炉技術の開発より当面の危機回避策が焦眉の急に。こちらは時間もなく、行政当局は大慌てに慌てているはず。原子力規制委員会に対する風当たりも強くなっているのだろう。事業者との間で責任の押し付け合いが始まっている雰囲気もある。

5.福島第一原発事故がさらに深刻化した場合、日本製原子炉の海外売込みなどは吹き飛び、反核の機運が世界的に盛り上がることになるから、米国は神経を尖らせているだろう。日本の場合、ネットで情報が広まっており、英語などで情報を発信している人もいるから惨状はリアルタイムで世界に知られている。

6.最近、東電は隠蔽作戦は継続しているものの、もう隠し通せないと観念しはじめたのか、あるいは最悪の事態になった場合の社員の安全の確保のためか、驚愕の危険を示すデータも開示するようになった感がある。東電は、当事者能力を失いつつあるように見える。

7.福島第一原発事故がさらなる大惨事に発展する危険があるとすると、行政当局は、原発を推進してきた、核装備の意欲も垣間見える自民党に保険をかけているはず。原発売り込み行脚を続ける首相にも当然話は上がっている。自民党や官邸の要人から福島第一原発に関する言及が一切ないのも不気味だ。

8.福島第一原発でどんなことが起きようとも、情報は徹底的に隠蔽されるのだろう。突然、非常事態宣言がなされて私権が制限されることもあるかもしれない。そんな気がしている。

(初出 2013/8/2 追記8/3)
posted by ZUKUNASHI at 18:15| Comment(0) | 福島原発事故
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