自民党高市早苗政調会長の妄言「原発事故で死んだ人はいない」 2: ずくなしの冷や水

2013年06月23日

自民党高市早苗政調会長の妄言「原発事故で死んだ人はいない」 2

福島第一原発所在の自治体と至近距離にある自治体の人口動向については、住民がすべて避難したり、役場が機能を失っている疑いがあり、詳しく見てこなかった。あまりに痛ましいということもある。

だが、自民党高市早苗政調会長がいまだに「原発事故で死んだ人はいない」などと発言し、自民党が原発再稼動を強行しようとしているのを見て怒りがふつふつと沸いてくる。

この記事は、「『原発事故で死んだ人はいない』自民党高市早苗政調会長の妄言 1」に続いて福島第一原発事故による犠牲者がおられることを示そうとするものだ。

福島第一原発から至近距離にある自治体の人口と震災による直接死、関連死などの数を整理した。集計したのは、双葉町、大熊町、富岡町、浪江町、川内村の5町村。



次の表のデータの出典は以下のとおり。

人口は福島県が発表した市町村別人口動態による。
直接死、関連死、行方不明などは福島県の公表資料「平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報(第971報)」2013/6/21更新によっている。
関連死については、復興庁「東日本大震災における震災関連死の死者数(平成 25 年3月 31 日現在調査結果)」の数値も併記した。

表の1行目は、人口動態統計による福島第一原発事故前1年間(2010/3〜2011/2)の死亡数を2倍にしたもの。次の行との比較の便宜のためだ。

2行目は、福島第一原発事故後2年間(2011/3〜2013/2)の死亡数。3行目は、1行目と2行目の差。これを見ると震災前の死亡数の水準より死亡数が少なくなっている町村があるが、これは多くの住民が避難し、住民登録を移してしまった者もいることが影響していると見られる。

4行目からは福島県の資料によるが、「直接死」は警察調べ、関連死は復興庁がまとめている。死亡届等、行方不明は、自治体と警察調べだ。


福島県の定義では、
死亡届:明確に死亡が確認できる遺体が見つかっていないが、死亡届等が出されている者。
行方不明:明確に死亡が確認できる遺体が見つかっておらず、死亡届等も出ていない者。
とされている。

復興庁によると「震災関連死の死者」とは、「東日本大震災による負傷の悪化等により亡くなられた方で、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、当該災害弔慰金の支給対象となった方」と定義。(実際には支給されていない方も含む。)

この表で注目されるのは、海に面していない川内村では直接死がゼロだが、関連死が49人(復興庁データでは55人)もおられる。川内村は、福島第一原発事故で村の約4割にあたる地域が原発から20キロ圏内の警戒区域に指定され、立ち入り禁止となり、全村避難した。

津波の被害もないのに、なぜこんなに関連死が出たか? 地震で怪我をされて、それが悪化して亡くなった方もおられるかもしれないが、それだけで55人にも上ることはないはずだ。避難して環境が激変したことが原因で持病が悪化したりして亡くなった方もおられると思う。

そのようにして亡くなった方は、避難前に川内村で強く被曝している。被曝により循環器障害や糖尿病などが悪化することは臨床医学的に明らかになっている。これらの関連死が、福島第一原発事故に起因することを否定することはできない。

大熊町の鈴木建築前で発見された超高濃度に放射能汚染された遺体は、警察は溺死とは言っていない。この方は、急性障害で亡くなったことが確実だと私は考える。

そして、「おやじが次々死んでいく怖すぎる現実」に掲げた「2012/1/9、福島第一原発の放射性廃棄物を貯蔵する施設で生コンクリートの流し込み作業をしていた60代の男性作業員が、急に体調不良を訴え、午後5時過ぎに亡くなった。死因は急性心筋梗塞。」、「2012/1/17 福島県広野町周辺で日本原子力研究開発機構が実施している除染モデル事業で働いていた男性(59)が作業中に死亡。」などの例は、呼吸により放射性物質を吸い込み、それが心筋などに作用して突然死を招いたことも疑いがないところだと考える。

民主党政権時の閣僚等も高市政調会長と同じようなことを言っていたが、前回の衆議院選挙で自民党に投票した人は、彼らの失敗や隠蔽を新しい政権が正してくれるとの期待を持って票を入れたのではないか。

残念ながら、そんな期待はまったく外れていた。自民党は、民主党と同等またはそれ以上に隠蔽、欺瞞体質だということが露呈されたと私は考える。

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posted by ZUKUNASHI at 10:03| Comment(0) | 福島原発事故
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