米連邦準備制度理事会による量的緩和で株式をはじめ金融資産が一方的な上昇を続けてきており、新興国などにも資金が流入して相場を押し上げていたのだから、追加的な資金供給が細れば当然、相場に影響が出る。
多くのリスク資産がバブル水準に達したとの見方もあり、FRBはバブルの破裂による混乱を恐れてまずは警告を発したところだろうが、この薬の効き目は強かった。
為替は、前日からのドル高が進んだが、NY市場終盤には調整反転している。日本株先物は、円安進行で6/20の相場が引けてからも強含んでいたが、6/21はどうなるか。
6/21の日本株は、下落後に反転上昇。日経平均は215円の上昇。米国株価先物が回復基調にあったが、ドル円は横ばいなのにこんなに上げるのは、先物ないしインデックス買いが入っているということだ。欧州時間はギリシャの連立政権が崩壊の危機と伝えられユーロが下落、欧州株式も下落しているが、米国株式は上昇で引けている。そしてシカゴ日経平均先物も夕刻の下落を回復している。
政府は、年金資金の株式への運用配分を増やすよう強い影響力を行使しているようだ。本当にハイパーインフレーションが来るかもしれないと迫られれば、年金運用責任者も拒絶しきれないだろう。今は、日銀がいろいろな手を使って下支えしているが、それでは下落を食い止めるのが精一杯。別の買い主体がいなければ相場は上がらない。新興国市場から資金流出が続いており、円のキャリートレードが増えるとも思えない。
参議院選を控えて、政府日銀は踏ん張るのだろうが、欧州危機の再燃に中国など新興国の経済減速もあり、環境は良くない。
次は2013/5/23前の5日間と直近5日間の業種別平均価格変化率。全市場だ。下落率の大きいほうから証券・商品先物取引業、その他金融業、不動産業、銀行業、医薬品、保険業、輸送用機器、情報・通信業となっており、市場は金利上昇を見込んでいる。バイオのバブルは終わり、情報・通信も粉飾決算摘発事例も出てリスクが高くなっている。

2013/6/24の日本株は高く始まったが下落、前引けはほぼ前日並み。国債先物が下落、ドル円は円安推移。上海株が日本の正午現在で2.6%の下落となっている。ここ1週間下落の勢いが増している。上海株価指数は5.3%の下落だ。これは厳しい。
欧州株式はフランスが1.71%の下落など大幅下落。米国株式は中盤に少し戻したが1%前後の下落となった。為替は方向性が定まらず上下動が激しかった。実需が錯綜しているのではなかろうか。不思議なことに欧米の株価が大幅下落しても日経平均先物はあまり下落しない。6/25は中国市場が落ち着くのか。6/25、午前に3.8%下落していた上海指数は午後の開始直後に4.27%の下落を記録している。これはきつい。為替は動きが取れないようだ。
上海指数は後場の中盤に持ち直し、日経平均の下げ幅は100円を切って引けた。参議院選挙までは日銀の露骨な市場価格支持が続くのだろうか。
中国は、6/24、人民銀行がウェブサイトに「現在、中国金融システムの流動性は合理的なレベル」との声明を掲載し、流動性の供給に動かない意向を明らかにしたが、株価指数が5.3%下落、6/25も午後の早い時点で4%超の下落となり、中国人民銀行上海支店次長が上海で会見し、同行が市場金利を「妥当な範囲」に誘導すると修正、流動性ひっ迫の事態を終息させる可能性を示したことにより株価指数は戻した。中国金融当局の慌てぶりが分かる。
だが、中国の不動産などのバブルは明白、短期金利が落ち着くまで資金を供給すればバブルの抑制はできない。構造問題の解決には時間がかかる。中国の金融危機は、この後も続くだろう。
6/26の朝になって為替が動意を見せ、ドル円が少し上昇。ユーロドルは動きが少ない。投機筋は何かが動き出すのを警戒して様子を見ていたが、こわごわ動き出したというところだろうか。
6/25の米国市場が上げ、円安傾向と来て日本株は上がるのか、それとも中国リスクを警戒して小動きか。・・・小高く始まったが米国株式先物が弱含み、中国株式も不安定な動きを示して前引けは100円強の下落。為替は円高、ユーロ安傾向。中国の金融問題は深刻なようだ。
日本株は引けにかけて円高進行で安値圏に落ち、前日比135円の下落。新興市場の下落が大きく、マザーズ指数は11.6%、JASDAQ市場はJQ-TOP20が17%の下落。上海株価指数は1.35%の下落。ピーク時の半値まで落ちた銘柄も多くなっている。
6/27の日本株は、前日の欧米株式が上昇したため日経平均はは下落を免れているが、新興市場、特にマザーズは大幅下落し、一時指数が5%以上の下落。創薬ベンチャーなどは上げ相場開始前の水準まで下げたものが多い。新興市場の相場回復は難しいのではないか。値動きのよさにつられて参戦した個人投資家のダメージは大きいだろう。さて、今日の中国市場はどうだろう。
6/27の上海株式は、前日並みで引けた。米国株式は続伸だったから中国発の金融危機連鎖は当面ないと言うことのようだ。
6/28の日本株は、前日に続いて新興製薬ベンチャーなどが崩れている。JASDAQの緑内障の薬を開発している会社はピーク時株価3千7百円程度が700円を切ってしまった。円安進行、日経平均大幅上昇。中国株式はどうなるだろう。
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2013年7月10日1時19分朝日新聞
国際通貨基金のブランシャール調査局長は2013/7/9、安倍政権の「アベノミクス」が世界経済の「新たなリスクだ」と指摘した。一方、IMFは同日、最新の世界経済見通しで、日本の2013年の実質成長率予想を前年比2・0%増に上方修正した。ブランシャール氏は同日の会見で、世界経済の新たな懸念材料として「中国の金融システム不安や成長の鈍化」「アベノミクス」「米国の量的緩和の縮小による世界金融の不安定化」の順で、言及した。IMFはこれまでアベノミクスを支持してきた。リスクだと指摘するのは初めてだ。