放射性物質が降り続く関東は放射能が低下しない これから上がることもあるだろう: ずくなしの冷や水

2013年05月19日

放射性物質が降り続く関東は放射能が低下しない これから上がることもあるだろう

福島第一原発から放射性物質の放出が続き、関東に降り注いでいるとの疑念をずーっと抱いていたが、2013/5/16の空間線量率の変化で、それは疑いようがなくなった。

では、どれくらい降っているのだろう。定時降下物の調査でときどき放射性物質、特にセシウムが検出されているが、量はそんなに多くない。そもそも、かなだらいを地面に置いて溜まったものを測定するような方法で都道府県の面積に対してどれだけの代表性があるだろうか。

継続的な土壌調査もないからデータが不足だが、関東の某所で測定されている空間線量率の一つに、他の自治体が測定する空間線量率の動きとは別の傾向を示しているものがある。

次がその測定値だ。青線が実測値、赤線が当初の実測値を元に計算した減衰予想曲線だ。日平均。最初は、実測値がこの予想曲線の通りに推移して驚いたものだが、事故から1年を経過した頃から様子が異なってきた。低下せずにむしろ上がるときが出てきた。


次の図は、桃色の線が実測値、黒棒が前日と当日の測定値のうち低いほうと当日の測定値の差だ。0.002μSv/h以上のもののみを表示してある。そして青の線は、0.002μSv/h以上の差の累計値だ。

「前日と当日の測定値のうち低いほうと当日の測定値の差」に着目したのは、追加的な降下沈着がなければ、計測値は減衰予想曲線に沿って動くから日々最低値を更新していくはずだし、現に当初はそうなっていた。

ところが、2011年の秋頃から必ずしも日々の測定値が前日よりも低くならない例が増えてきている。これは、何を示すのか? 追加的なセシウムの降下があったため、空間線量率が上がっていることに他ならないだろう。

もちろん、この測定値は日平均だから。0.001程度のブレが出ることはあるだろう。四捨五入を考慮すれば、0.0001の動きで0.001結果が変わることもある。その点を考慮して0.002以上空間線量率が上がった場合を取り出した。

2012の秋から0.002μSv/h以上の差の出現頻度が増え、かつ差が大きくなっている。

0.002μSv/h以上の差の累積値と実測値と減衰後の理論値との差を示すと次のようになる。桃色の線が、実測値と減衰後の理論値との差を示し、2012/3頃から拡大し、2012年の秋にはいったん拡大が止まったが、2012年の冬になってまた乖離幅が大きくなっている。

放射性物質を含んだ大気が流れてきて空間線量率が上がる、そして大気中の放射性物質が降下沈着した分、空間線量率が底上げされるという仕組みを予想したのだが、上の図を見ると、「0.002μSv/h以上の差の累積値」と「実測値と減衰後の理論値との乖離幅」の動きにはタイムラグが見られる。ある日、空間線量率が大きく上がっても、それがすぐに空間線量率の底上げをもたらすわけではなく、短くて1ヶ月、長いときは2ヶ月から3ヶ月後に空間線量率のベースが上がっている。

これはなぜだろう。プルームの到来で大気からの放射線が増えて空間線量率が上がるが、大気中の放射性物質はすべてそこに降下、沈着するわけではないことがひとつ、上のデータの測定環境は林に囲まれており、プルームの運んできた放射性物質を樹木の枝葉が捉え、それが時間をかけて離散したり地面に降下することがもうひとつの要因として考えられる。

福島県内の除染では、除染後1ヶ月もすると数値が元に戻るとされており、それと同じような現象が生じているのだろう。

さらに、季節的な気象要因もあるのかもしれない。次の図で2012/10以降の0.002μSv/h以上の差の累積値が急激に増加しているが、その下の図で見ると、実測値と減衰後の理論値との乖離幅は広がっていない。プルームが到来しても何も残さずに通過してしまえば、その後の空間線量率のベースに影響を与えることはない。西風が強く、雨の少ない秋から冬にかけてはプルームが滞留しにくいとも考えられる。


いずれにしても、空間線量率の一時的な上昇と、実測値と減衰後理論値との乖離幅の拡大との間には、一義的とは言えないが、関係は認められる。

放射性物質の追加的降下沈着の見解を補強するため、空間線量率実測値と減衰後理論値との乖離幅と千葉市南部浄化センターの汚泥焼却灰のセシウム濃度との関係を見ておこう。ここでは、実測値と減衰後理論値との乖離幅の拡大と汚泥焼却灰セシウム濃度の上昇とがタイミング的に一致する。

そして、2012/9以降は、汚泥焼却灰のセシウム濃度は低下しているが、上昇前の水準とほぼ同じで推移しているから、追加的なセシウムの降下がなければ減衰によりもっと低下しているはずだから、量は少なくなっていても降下はあると推定される。同じ時期に、空間線量率実測値と減衰後理論値との乖離幅があまり広がらないことも降下量の減少によると考えれば整合性を持つ。


放射性物質の追加的降下について何を指標とすべきかは、いろいろな要因が複合的に作用して難しいが、空間線量率実測値と減衰後理論値との乖離幅の拡大や汚泥焼却灰のセシウム濃度の上昇は、追加的な放射性物質の降下沈着によって生じた結果であることは間違いない。現にプルームが到来して何も残さずに去るなどということは考えられない。

今なおプルームの襲来が続いていることにかんがみれば、関東の放射能がこの先上がることも大いにありうると考えるべきだ。そして、そんな環境で内部被曝を回避しつつ暮らし、子どもを育てていくのは、気の遠くなるような果てしない旅のように思えてくる。
posted by ZUKUNASHI at 21:21| Comment(0) | 福島原発事故
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