関東は福島県下に劣らない土壌汚染 健康被害も並ぶだろう: ずくなしの冷や水

2013年04月19日

関東は福島県下に劣らない土壌汚染 健康被害も並ぶだろう

(この記事は表を改訂して新しい記事を起こしたことに伴い書き直した)

私は、福島第一原発事故による健康被害は、初期のプルーム襲来による被曝とその後の飲食物、土ホコリなどによる被曝との二つの要因によって規定されると考えている。

初期のプルームの襲来状況については、各種データを集めて自分なりに整理がついたが、この先何十年にもわたる放射能との戦いでおぼろげにでも敵の所在をつかむ手がかりとなる土壌の汚染については、決定的にデータが不足している。

文部科学省の空中測定マップはあるが、汚染度の階層区分が大きすぎて現に生じている現象を説明する材料としては使えないし、そもそも民間が測定した密度水準との乖離も見られる。

やむを得ず、民間人や米軍などが実施した土壌調査結果を活用できないかと工夫してみた。市町村単位ではサンプル数が絶対的に不足だが、小選挙区ごとにとらえれば、かなりの小選挙区で一応、整合的な推計値を導くことができそうだ。

次の表は、市町村別の測定データを小選挙区ごとにまとめ、雨樋の出口や雨水がたまりやすい場所などで放射性物質が集積しやすい場所のデータ、逆に特殊な環境条件で放射性物質が検出されなかった場所のデータを排除するために、平均値ではなく、中央値をもってその小選挙区のセシウム密度の指標とした。

手元の土壌調査結果のデータは、関東、南東北を中心に3,000件弱が入力済みだが、小選挙区によっては不足が否めず、さらに収集が必要だ。松戸市などの千葉6区が4件しかないのに驚き、急遽、常総生協のデータを加えた。東京都豊島区はわずか1件だから他のデータが見つかるまで集計除外にしたが、地域的に土壌調査のデータを探しても見つけがたいところがある。

以下に掲げる集計結果は、標本数が8件あれば中央値を計算してその地域の指標としており、暫定的な試算値に過ぎない。

結果について少しコメントしよう。
@ 小選挙区ごとの格差は、私の予想をはるかに超える大きなものだった。文部科学省の空中測定マップでは、1万Bq以下は一括り、1万から3万、3万から6万と刻みが大きいために格差の実感が薄れる。
関東の濃厚汚染地帯は平米5万から10万ベクレルのセシウムのグラフご参照。

A 平米6万ベクレル超(文部科学省の空中測定マップで第四階層と第五階層に入る)に、福島1、東京17、福島2、東京16、福島5、栃木3、東京1、千葉7、千葉4、千葉6、千葉13、東京13、東京14、千葉9、千葉5の15の小選挙区が入った。福島が3、東京が5、千葉が6、栃木が1だ。

東京17区、葛飾区のサンプル22個の分布は次のようになっており、11番目と12番目の平均が19万5千Bqとなった。濃厚汚染地帯としては、水元公園が知られている。(個人的には、水元公園には立ち入りたくない)

東京16区は、上篠崎郵便局近くで極めて高い空間線量率が検出されており、江戸川の河川敷も軒並み濃度が高くなっているから標本数が16と少ないが、非現実的な数値ではない。

B 平米3万ベクレル超(文部科学省の空中測定マップで第三階層に入る)は、茨城、宮城が3、千葉が2、福島、群馬、埼玉、東京、静岡が1となり、ぐんとエリアが広がる。

ここで注目して欲しいのは、郡山市の南に位置し、須賀川市や白河市を擁する福島3区よりも高いところがいくつもあることだ。千葉県佐倉市や千葉県千葉市花見川区、江東区が福島県下よりも平均的に見て土壌セシウム密度が高いと想像できる方がどれだけおられるだろう。

C 平米1万ベクレル超(文部科学省の空中測定マップで第二階層に入る)になると、22小選挙区が該当し、この中には会津地方の福島4区が入る。

前橋市や東京都瑞穂町の属する小選挙区は平均的に見て会津並みの土壌汚染密度であると想像する人もまずいないだろう。

D 1つの小選挙区は、人口が30万人から50万人だから、人口密度の高い地域が強く汚染されれば、当然、高汚染地域としてカウントされる小選挙区は増える。そのことは、日本人の中での被曝総量が増えていることを示すものにほかならない。

E 関東に住む人は、福島に比べれば自分の住む地域の汚染度は低いと高をくくっていないだろうか。今回の分析は、必ずしもそうではないことを示す。

F 人口動態統計を用いて算出した「出生死亡比率の変化率」の悪化地域は、上の土壌セシウム密度の高さと正の相関を持つ。土壌汚染度が強いところは死亡数が増え出生数が減っているを見て欲しい。

G 神奈川や新潟、長野の小選挙区は、土壌調査のサンプル数が少ないことなどから現段階では集計除外としている。

H 千葉3区は土壌セシウム密度が千葉7区の7分の1以下だが、ここで農業に従事していた山川建夫氏は自給作物で健康を害している。統計処理された指標は、往々に落とし穴がある。

I 千葉3区は、文部科学省のマップでは第一階層だが、この結果からすると1万ベクレルを越えているから第二階層に入る。市川市などの千葉5区は6万ベクレル超だから第四階層の濃いブルーの色分けが適当なのに地図上では北側の一部だけが第三階層のモスグリーンとなっているだけだ。文部科学省の空中測定マップは、MPと同じく実態よりもかなり低く見積もられている。小選挙区別セシウム汚染密度推定値の検証ご参照。

私は、この1年ほど健康被害情報に注目してきたが、関東からの情報は時間を追って次第に増え、内容も深刻化してきているのに、福島からは南相馬市のぬまゆさんのブログ以外には、健康被害情報があまり聞こえてこないのを訝しく思っていた。情報発信力の格差、共同体規制などが要因だろうと考えていたが、違うようだ。

関東でも、福島に並ぶ土壌汚染があり、かつ初期のプルームによる内部被爆が大きかったわけだから、健康被害が多発、深刻化し、その情報が流れるのは当然なことだったのだ。

考えたくないことだが、関東では福島に負けず劣らず健康被害が出る。これは間違いないだろう。木下黄太氏が事故直後から、東京、関東からの避難の必要性を訴えていたのは、慧眼というしかない。

福島の子どもや若い女性の避難を何とか早くと願っていたが、上の事実が明らかになった今、関東の汚染地域の子どもにも早く転出して欲しいと切に願う。

大地震の接近を警告する声がある。関東が大きな被害を受ければ人口の流動化が進み、汚染地からの転出の機会になるだろう。事前に検討しておくことを勧めたい。・・・地震が来る前にと急いでデータを追加し分析した結果だ。不十分なところも多々あると思うがご容赦願いたい。
posted by ZUKUNASHI at 22:42| Comment(0) | 内部被曝防止
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