
これが何を表しているか。し尿収集エリアの住民の食は、福島第一原発事故直後からほとんど何も変わっていないということを示す。汚染が疑われる食材を避けるという回避行動は、ほとんど取られていないのだろう。
食材のセシウム134が減衰した分だけし尿中のセシウムが減っているが、現段階ではすでに体内蓄積量も多いだろう。そして、セシウム以外の放射性物質も各種取り込んでいる恐れがある。
上田市のし尿汚泥焼却灰に含まれるセシウム濃度は、2011年の初夏に急上昇し、その年の冬には半分程度にまで低下した。これは初夏に消費の増えるなんらかの食品の影響と考えざるをえない。
長野県のこの地域だけでなく、群馬県でもし尿のセシウム濃度を測定すればこれと同様な動きを示したところがあるはずだ。厚生労働省が2012/6/25に公表した資料によると長野県の検査で群馬県産の牛乳からセシウム計3.6ベクレル/kgが検出されている。

川口市の肥料原料汚泥のセシウム濃度は、2年連続で8月〜10月に高くなっている。この地域は家庭農園を営む人も多く、地域産の野菜の消費増によるものだろう。6月ころから家庭菜園の収穫最盛期になる。

佐倉市のし尿を処理する印旛沼衛生施設管理組合の製造した汚泥肥料のセシウム濃度のピークは、8月になっている。川口市に比べてピークが少し早いが、川口市の搬入し尿の多くは浄化槽汚泥とのことだから、タイムラグがありうる。

まったく残念なことに多くの人は、放射能の防護に努めていないのだろう。すでに2年間放射能汚染食を食べ続けた人も多いとなれば、内部被爆による健康被害多発は、時間の問題だ。
放射能防護を怠った人、中でも食べて応援していた人の体内では時限爆弾が時を刻み始めている。もちろんこの爆弾は、物理的に爆発することはないし、爆発しても周りの人に伝染することもない。ただ、大事な人を失い、稼ぎ手を失い、同僚が減り、時によっては一緒に交通事故にあう危険性は高まる。