CTBT高崎観測所の捕集した放射性物質でプルームの組成・濃度と空間線量率を見る: ずくなしの冷や水

2013年03月12日

CTBT高崎観測所の捕集した放射性物質でプルームの組成・濃度と空間線量率を見る

高崎にあるCTBT放射性核種探知観測所は、福島第一原発事故後、データの一部を公開した。これは評価されて良いが、ただ、東電の計画停電のために3/14 15:55から3/15 15:55までは機能できず、一番大事な期間のデータが失われたと惜しむ声が強い。

次は、2011/3/13から3/31までの主要核種の24時間ごとの捕集データ。3/16の15:55までの値が突出している。


高崎は、3/15のプルームの到来が昼過ぎと夕刻の二回にわたっており、昼過ぎのプルームはCTBT高崎観測所では捕らえられなかったが、夕刻のプルーム、おそらくは栃木方面から襲来したプルーム、は捕らえられているはずだ。

次は、高崎市にある高崎量子応用研究所の空間線量率の測定値。3/15の13:00と18:00、3/16の2:00、3/20の18:00、3/22の7:00にピークがある。13時から18時までの間の空間線量率は、0.2前後であり、昼過ぎのプルームに含まれていた放射性物質も一部捕集されているものと見られる。

CTBT高崎観測所のデータに戻ると、3/16の15:55までの捕集核種の量は次のとおりだ。単位は、μBq/m^3。100万分の1にすればBqになる。


2011/3/15に小出裕章氏が東京都台頭区でエアーサンプラーを用いて大気中の放射性物質を捕捉し、分析している。両者を比較すると、1時間と24時間であるにもかかわらず、小出氏の測定値の方が約20倍から200倍と飛びぬけて高い。CTBT高崎観測所のデータは24時間だから、ピーク時の分が4分の3を占めると仮定し、18倍するとC欄になる。かなり近づいた。

ひとつの上の表にあるように、ヨウ素132の2.3時間だから東京から高崎に届くまで3時間かかったとすれば、ヨウ素132は半分に減衰していることになる。テルル129は半減期70分、エアーサンプラーで捕集できていても、小出氏が急いで大阪に帰っても4時間強経過していれば、16分の1になっていて検出が難しかったかもしれない。

台東区のマンションのベランダで空間線量率を測定した方の画像によると、3/15の午前9時48分に1.024マイクロシーベルト毎時のピーク線量を記録している。小出裕章氏の測定時間とずれているから場所が離れていると見られるが、他に測定値がない中では参考にできる。

高崎市でのピーク線量は0.6前後が2回あるが、CTBT高崎観測所が捕らえたのは後のほうの0.63前後のピークだ。その頃の空気中の放射性物質組成と濃度が上の表のC欄だと仮定する。

台東区のマンションのベランダで測定された空間線量率1.024は、瞬間最大値のようだから、C欄より0.9倍から2.7倍とかなり値が上回るA欄の空気中の放射性物質組成と濃度にほぼ見合うと見ていいだろう。

他の都市はどうだろう。次の表は関東の主要地点のピーク線量を掲げてある。

3/15の10時台にさいたま市で1.22、和光市で1.62を記録している。少なくともA欄よりは濃度が高かったはずだ。同じく10時台に新宿区で0.809を記録。これは1時間平均値のはずだから、瞬間的には1.0を超えていると見られる。他には世田谷区で10時台に0.59、日野市で12時台に0.75、茅ヶ崎市で12時台、13時台に0.182を記録している。

高崎市の空間線量率と比較すれば、世田谷区の空気中の放射性物質濃度は、組成は異なるとしてもC欄並みに届いただろうし、日野市ではC欄を上回っただろう。

そして、プルームが南下するにつれて拡散、希薄化もあり、半減期の短い核種の減衰もあり、測定される空間線量率は低くなっていく。

逆に福島第一原発に近いほど、拡散・希薄化が進んでおらず、半減期がごく短い核種が猛烈な放射線を発することから空間線量率は著しく高くなっている。鉾田市は、3/15の午前7時台に5.34マイクロシーベルトを記録している。


私は、「2011年3月15日のプルームはストロンチウムなどの核種も撒いた 被害地域は深刻な健康被害が避けられないだろう (付録)」にも少し書いたが、群馬県北部の汚染は、夕刻になって栃木県の方向から流れてきたプルームによるものではないかと見ている。高崎市の午後6時のピークはこちらのプルームによるものだ。それゆえ、埼玉県、東京都、神奈川県を襲ったプルームとは組成と濃度が異なるのではないかと見ているが、現在のところそれ以上の判断材料がない。

ただ、ひとつ言えるのは、東京都港区のマンションの換気用フィルターからウランが見つかったり、横浜でストロンチウムが検出されたりしていることから判断すると、ガンマ線放出核種を捕らえているCTBT高崎観測所のデータにはないアルファ線、ベータ線核種が3/15のプルームに含まれていたと見られることだ。

核種の特定、定量はできなくても、雑多な核種が含まれていたことは確実で、それがすでに健康被害を引き起こし、この先長きにわたって悪さをする。繰り返すが、3/15のプルームの来襲を受けた地域の住民は、いつかの時点で健康被害を認識するだろう。それがまだ来ていないなら幸いだが、免れることは難しい。とにかく、抵抗力、免疫力を高める努力、内部被曝の防止努力を強めるしかない。
posted by ZUKUNASHI at 20:58| Comment(0) | 原発事故健康被害
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