被曝回避しなければ6年経てばみな病人: ずくなしの冷や水

2013年03月03日

被曝回避しなければ6年経てばみな病人

人口統計では福島第一原発事故による放射能汚染地域の出生減、死亡増がはっきりしてきているし、子どもの甲状腺異常もすでに3割から4割と高率だ。私のこのブログでは、それなりの根拠を示して状況の悪化を記し、チェルノブイリの例を引いて危険を訴えているつもりだが、まだインパクトが足りないようだ。

さらに踏み込んで書いていくしかないのだろうか。

次は、「子どもの甲状腺がんは年を追って急増する 親御さんは覚悟が必要」にリンクを付したolivenews ver4の【やがて訪れるカタストロフの真相】から「北ウクライナ住民の精神身体疾患の患者数推移(1987年〜1992年)」のデータを使い、患者割合に置き換えてグラフ化したものだ。

もとのデータは、1990年から「チェルノブイリの医師」協会代表を務めるアンゲリーナ・ニャーグ医学博士によるものらしいが、原典は照会しないと分からない。ニャーグ医学博士は2012/12に来日しているが、olivenews ver4の記事は2012/04/24付けだ。

このグラフで、1987年以降北ウクライナの住民のうち何%が各種精神身体疾患を発症しているかが分かる。なんと6年後の1992年には、98.4%が循環器の疾患にかかり、73.4%が筋骨格系の疾患、消化器疾患と皮膚疾患では60%強が罹患していることが分かる。母集団は青少年と成人だから幼児を除くとして、住民のほぼすべてが循環器の疾患を発症している。そして住民の抱える病気は一種だけでなく、複数に及んでいる。


北ウクライナは、チェルノブイリ原発に近いところだから汚染が特に強い地域であり、日本に置き換えて考えた場合、同様な結果が生ずるのは限定的な地域だと考える方もおられるだろう。

北ウクライナと日本との比較は難しいが、日本ではすでに、出生減、死亡増が顕著になっている地域が東日本に広く散らばっており、死亡には至っていない疾病患者数は統計的に不明だが、健康被害は確実に増えている。甲状腺異常に関しては、こどもで3割、4割の発生率だ。

次のグラフは、人口動態統計から、小選挙区ごとに出生死亡比率の事故前1年間、事故後1年目、事故後2年目の出生死亡比率を見たもの。事故前の出生10人、死亡10人なら出生死亡比率は1.0、これが出生9人、死亡11人に変化すれば出生死亡比率は0.82となる。

福島市や郡山市に関しては出生死亡比率が大きく低下していることに驚きはないだろう。しかし、町田市や柏市がトップグループにあり、渋川市、大和市、佐倉市、横須賀市、横浜市保土ケ谷区、千葉市中央区、厚木市、取手市などがこれに続いているのを見れば、日本の福島第一原発事故による放射能汚染で強い健康被害が生じている地域が広範にわたっていることは疑いがない。


次は、121の小選挙区について、1年目と2年目の事故前と比較した変化率を並べたもの。上の例で事故前の出生死亡比率が1.0、事故後2年目の出生死亡比率が0.82なら変化率は0.82となる。福島市の2年目までの変化率が0.83だからこの程度の変化に相当する。赤い線が2年目、青い線が1年目だ。9割の小選挙区で変化率がマイナス方向にある。


次はウクライナの粗死亡率と粗出生率の推移。死亡率のこれだけの上昇の陰には数え切れないほどの重症の患者がいる。

この表のもととなった出生数と死亡数を用いて出生死亡比率を計算すると、1986年が 1.4、1991年が 0.90、2001年が 0.50だから、事故の5年後には出生死亡比率は36%低下、15年後には64%低下している。

日本は、事故後2年目に福島県外でも小選挙区単位で出生死亡比率が15%低下しているところが複数ある。5%、10%の低下はざらだ。日本のほうがむしろ悪化は早いようだ。

結論を書こう。日本でも5年目、6年目には、上の北ウクライナの例と同様に各種の疾病が蔓延し、それが事例情報としても統計としても、はっきりしてくるだろう。地域的には人口移動もあり薄まるかもしれないが、初期被爆が関東一円で強かったこと、当局が汚染飲食料品の規制をゆるくしていること、内部被曝防止に関する注意が広められていないこと、チェルノブイリ事故の際に避難が勧められた汚染水準の地域でも日本では避難を進めようとしていないことから、世の中は病人で溢れ、適切な医療も受けられず、亡くなっていく人も増えることは避けられない。


参考記事
脱原発の日のブログ12.12-16 「チェルノブイリ事故後のウクライナ:現場の医師は警告する」ほか
posted by ZUKUNASHI at 12:23| Comment(0) | 原発事故健康被害
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