柏市から九州に避難した52歳男性によると、元小学校同級生46人ほどのうち、2012年に8人が死亡したとのこと。
2人ががんを患い、もともと余命が短いとみられていたようだが、それよりも早く亡くなった。
別の2人は持病もあったが、余命が短いなんて状態ではなかった。
残りの4人のうち、男3人女1人が突然死だったと聞いた。自分と近しい1人は心臓発作による突然死。
同級生46人ほどのうち、半分が柏市に在住。23人在住として、8人は35%に当る。
昨年末の忘年会でこの状況が判明し、参加者は動揺、「脱出せんといかん、出たい」、「孫や子供が心配で避難させた」、「避難したいけど、今すぐできない」、「整い次第、九州でも行きたい」との声が出たという。


出生死亡比率の推移
小選挙区 主要都市 事故前1年 事故後1年目 事故後2年目 2年目/1年目
千葉8 柏市 1.23 1.13 1.08 0.96
人口統計上ではすでに明らかになっていたことが、このように人々の消息情報として姿を現し始めた。時を追って、さらに状況が顕著になっていく。
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この情報でいろいろ考えることがある。
@ 「小学校の同級生の忘年会」とのことだから、少なくとも年に一回程度の頻度で顔を合わせていたのだろう。そして、酒も出ているだろう。
同級生の訃報の多さに「その場は『うわーっ』という状態になった」とあるが、参加者が意気消沈して早々に解散したとは書かれていない。
福島第一原発事故前から行われていたであろう小学校の同級生の忘年会が事故後もこれまでと同様に続いているのだとすれば、社交面での習慣は変化していないことになる。
52歳前後なら、社会経済活動で責任のある立場についているはずなのに、柏市のその年代の方々は、放射能問題に対する認識が極めて乏しいといわざるをえない。
A 50歳を過ぎると、人間は円熟の段階を迎えるが、一方で肉体的には限界が見えてきて、高血圧症なども増えてくる。「おやじが次々死んでいく怖すぎる現実」の記事を綴っていて、50代の突然死が多いと感じる。
突然死の統計はないし、年齢別死亡者の統計もないからあくまても印象にとどまるが、放射能被曝による突然死は、家庭的にも社会的にも重荷を背負う40代、50代、60代前半に多く、親族を初めとする関係者への打撃も大きい。
心臓関係の突然死は、男性に多いとされるが、事例情報からしてもそのようだ。
B 上に掲げた「出生死亡比率の推移」では、柏市、我孫子市での出生数減と死亡数増が出生死亡比率を押し下げており、人口動態としては好ましくない傾向が出ていることが分かるが、死亡数の変化だけを見ているとそうは感じられない。
次のグラフは、柏市の死亡数の月別の動きを示し、青い線は2008年から2010年までの平均値だ。右端に年平均を置いたが、1ヶ月当たり40人弱、40万人の人口だから1万人に一人弱の増加でしかない。それでも、年代によって集中的に死亡が増えると、この事例のようなことになるようだ。

一方、出生数に関しては、はっきりと悪化が認められる。移動平均値で見ると最近の水準は、4年前の水準まで低下だ。必ずしも妊娠適期の女性が大量に流出したということでもなさそうなのだが。

バンダジェフスキーは、被曝により死亡が増え、出生が減ると断言したし、ウクライナの人口統計でもまず出生数が減り、それに続いて死亡数か急増した。柏市に関しては、今は先駆的に出生数が減っているところだとすれば、次に起きるのは死亡数の増大だ。
柏市は、除染を市民にやらせる方針と聞く。柏市の放射能問題に関する市民グループは、避難する人が避難してしまい解散したという。柏市では放射能問題で住宅が売れないというが、柏の葉キャンパス駅の周辺では建設ブームだ。
柏市内では、この先あちこちで「『うわーっ』という状態になる」だろうし、その後には市民の多くが重苦しい表情を浮かべて言葉少なになるだろう。