チェルノブイリと福島の比較検討: ずくなしの冷や水

2013年01月07日

チェルノブイリと福島の比較検討

2013/1/5に「日本はベラルーシー、ウクライナの轍を踏むことになるだろう 将来人口の粗い試算」書いたが、どうも甘い数字だとの思いがぬぐえない。

少し資料を探してみた。次の表は二つともに、今中哲二氏「チェルノブイリ原発事故から11年」から引用。原資料は汚染レベルがキュリーで表示されているのでベクレルに変換した。避難区分は、同論文の本文にあるもの。


ウクライナの人口推移について、哲野イサク氏の地方見聞録に詳しい分析があった。そこに掲載されていた年次人口統計から作成。出生率は、チェルノブイリ事故の翌年から、死亡率は事故の4年後から、それぞれ低下、上昇方向に動いている。

このデータで人口自然増変化指数を計算すると、1987年から2001年までウクライナ全体で指数がプラスとなっている。最高値が0.14だから、死亡数が前年比7%増え、出生数が7%減るのに相当する人口減の年があったわけだ。

冒頭の表に戻ると、ウクライナでセシウム137汚染レベルが37kBq/平方m以上の汚染地域に住む人は、158万5千人とされている。1990年の数値だからプリピャチ市の旧住民などは入っていないだろう。

次のグラフは、死亡数と出生数の実数の推移だ。1994年辺りから2008年辺りまで死亡数が17万人から18万人多くなっている。15年間従来より17万人死亡者が多ければ、合計は255万人を超え、37kBq/平方m以上の汚染地域に住む人の数を100万人ほど上回る。


このことは、汚染地域居住者の数が過小評価となっている可能性もあるが、汚染の程度が37kBq/平方m以下の地域でも従来ベースを越える多くの死者が出ていることを示していると解する。

次のグラフは、個人や民間団体が行った土壌調査結果からセシウム134と137の計に65を乗じて平方メートル当りのベクレル数を計算し、高いほうから並べたもの。37kBq/平方mの水準には、かすみがうら市、仙台市青葉区、下仁田町、阿見町の調査結果に該当するものがある。


上でみたところからすれば、37kBq/平方mの地域も危険度は相当高いと見なければならない。外部被曝に加えて内部被曝があり、後者の健康に対する悪影響が極めて大きい。

2012/3/21の記事で関東・南東北のセシウム沈着量階層別人口を計算したことがある。以下はその一部を再掲。

1 文部科学省空中測定結果のセシウム沈着量階層区分
 T 10kBq/m^2以下
 U 10k超、30k以下
 V 30k超、60k以下
 W 60k超、100k以下
 X 100k超、300k以下
 Y 300k超、600k以下
 Z 600k超、1000k以下
 [ 1000k超、3000k以下
 \ 3000k超

2 文部科学省放射線量等分布マップの平成23年11月5日換算値の地図により、原則として、市町村役場の所在地のセシウム134とセシウム137の合計沈着量をその市町村の沈着量とした。なお、福島県については、沈着量の地図が複雑に入り組んでおり、の方法では市町村の沈着量の代表性に疑問のあるものもあるが、これよりも細かいメッシュ方式にすると人口が把握できない。

3 人口は、2005年現在。

4 セシウム沈着量階層区分別人口(単位千人)と割合



「37kBq/平方m」は、セシウム137のみを対象にしたもののようだ。日本の文部科学省の測定では134と137が対象となっているから、134と137の比では、134が少し下回るから、60kBq/平方m程度に相当するだろうか。VとWの境目になる。

W以上の階層の合計では254万8千人、V以上の階層の合計では437万9千人となる。死亡数増加の主因が内部被曝だとすれば、UやTの階層もリスクがある。

前回の試算では20年間の上乗せ死亡数を約568万人と見込んだが、日本の人口はウクライナの2.55倍あるから、少なくとも過少ではない。それに、フクシマとチェルノブイリの汚染地図を同じ縮小率で、同じ色分けで比べると、「フクシマの汚染面積は年間1ミリシーベルト以上ではチェルノブイリよりずっと広い」と判断せざるをえない状況であるとの説も出てきている。

とても言いにくいことだが、東京五輪招致の2020年頃は、ウクライナの例にかんがみれば、死亡者の増加がピークを迎えるころになる。
posted by ZUKUNASHI at 22:47| Comment(0) | 原発事故健康被害
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