米国防総省による米軍施設などがある日本国内13カ所における被ばく線量の推計に思う : ずくなしの冷や水

2012年09月11日

米国防総省による米軍施設などがある日本国内13カ所における被ばく線量の推計に思う 

2011年3月12日から同年5月11日までの2カ月間を対象とした被ばく線量の推計。いずれも成人の場合。


専門知識がないので、米国防総省のこの推計をどう評価し、これらの被曝量の危険性をどう見るべきなのか分からないが、次の点は思いつく。

@ この被曝量の推計は、2012/3/12〜5/11の2ヶ月となっており、初期被曝を対象としている。降下沈着した放射性物質による被曝より、初期の放射性ヨウ素や希ガス、セシウムによる内部被曝が大きいと見ていることが分かる。

A グラフに掲げた9箇所の中では、仙台市の推定値が最も高い。宮城県は、地震後空間線量率などの測定機器の復旧が遅れ、データが乏しいが、米国防総省の推計でこのような結果が出たことは、注目される。

宮城県は、津波の被害が大きく、人口動態の把握にも時間がかかった。このため、人口動態の面から健康被害の状況を把握することが難しくなっている。

B 関東では、小山市の被曝量推定値が最も高い。小山市は、下野市、真岡市、益子町、茂木町などとともに栃木4区に属する。2011/3/15のプルームが茨城県から西に移動してさいたま市に向かう前にこの地域を覆っており、被曝量は大きかったと見られる。

C 「東京」とされているのは、赤坂周辺だと見られる。3/15のプルームの襲来状況を見ると、赤坂などの千代田区はそれより西に位置する区よりも地表のプルームの濃度も薄く、滞留時間も短かったと見られるため、都内でも相対的に被曝量が少ないと見られる。

東京都台東区で3/15に放射性物質を測定した研究者は、この日一日だけで被曝量は1mSvに達したとの試算を示している。1rem=10mSvだから全身被曝量1mSvなら0.1rem。

米国防総省のこの推計では甲状腺について1remを上回る推定値もあるが、全身被爆については仙台市の1.2mSvが最大であり、やはり控えめな見積もりになっているといえるだろう。WHOの推定では、宮城、茨城、栃木、群馬、千葉で年間0.1〜10mSvとされている。

D 横田基地は、瑞穂町などで東京都西部地域であり、赤坂近辺より格段に3/15のプルームの影響は大きかったと見られる。米国防総省の推計でも「東京」より横田基地の推定被曝量が大きくなっているが、赤坂との比較で考えれば、低めに出ている感がある。

E 山形は、東京を少し下回る水準と見られているが、3/15以降のプルームのかかり方から見て、特に違和感はない。横須賀よりも高いことに留意が必要。

F 石巻市は、データが不足で判断できない。

G 横須賀は、空間線量率の推移から見て、時間的にはプルームの滞留時間は長いものの、フレッシュなプルームがかからなかったために被曝量は他に比べて低位にあるようだ。

しかし、神奈川県の内陸は、横田基地近辺を通ったプルームが流入しており、推定被曝量はこれより高くなると見られる。

キャンプ富士は、他との相対関係ではこの程度なのかもしれない。

H 茨城県の百里基地は、小美玉市だけでなく県内何箇所かを代表するもののようだが、そうだとすれば、代表性には疑問がある。プルームの通過経路となった地域を中心に小山市や仙台市を上回る被曝量のところがあると考える。

たとえば筑西市は、小山市並みの被曝量と考えるべきだろう。また、鉾田市は3/21にプルームの内陸への上陸点となっており、フレッシュなプルームの襲来を受けている。県北の都市もプルーム南下時には繰り返しプルームに覆われている。

少なくとも、仙台市よりも推定被曝量の多い地域があると考えて警戒しておいたほうがよいのではないか。福島第一原発から南の方向に流れたプルームは、北に流れたものよりヨウ素が多かったとの推定を示している人もいる。
posted by ZUKUNASHI at 07:05| Comment(0) | 原発事故健康被害
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