2011/3のプルーム襲来とそれへの曝露状況推定の参考に: ずくなしの冷や水

2012年10月21日

2011/3のプルーム襲来とそれへの曝露状況推定の参考に

東京周辺で被曝に起因すると見られる児童の体調不良の例が引き続き報じられている。ほとんどの場合、親は事故後の水や食べ物の汚染に注意したとしている。

であれば、やはり事故直後に各地を襲ったプルームによる内外の被曝を疑うしかないと私は思う。

気象庁気象研究所のシミュレーションは、沈着を考慮していないから時間経過とともにプルームがどの範囲を覆っていたかを見るにはむしろ都合がいい。オリジナルのシミュレーションを見ていただくのが一番良いが、動画の動きが速く、かつ思い通りの時点で止めるのが難しい。
気象庁気象研究所によるヨウ素131を仮定した大気拡散シミュレーション
気象研究所のサイトにこのシミュレーションが見当たらなくなっている。ユーチューブに掲載されたもの

じっくり検討、検証できるよう、手動スライドショーのような形で掲載できないか調べたが、私には難しいので、以下に3/15 午前0時から3/24 午後7時まで毎正時の図を取り出した。すべてのリンクは、別画面に表示される。3/15の各地の空間線量率、降雨の状況を知るには、末尾のチャートとグラフを参照できる。

なお、このシミュレーションでは、福島第一原発から放出されたヨウ素の量は毎時一定とされており、特に放射能の強いプルームが何時にどこに到達したかは把握できない。

さいたま市は福島第一原発から直線距離で210km程度だが、3/15の10時台に最初のピーク線量を記録しており、北茨城市の線量率が上がり始めた約7時間後、いわき市の線量率が上がり始めた約8時間後になる。いわき市から福島第一原発まで約50kmあり、これに2時間を要すると見れば、約10時間で福島第一原発から到達しうると見られる。

これらの図を眺めていくつかの疑問が解けた。たとえば、静岡県を襲ったプルームの状況を見ると、地元プロサッカーチームのコーチの急死も放射能のためではないかとの説が流れたことも、一概に否定できないように思ったりする。

2011/3/12 5時
2011/3/12 8時
2011/3/12 9時
2011/3/12 14時3/12の15時に双葉町上羽鳥MPで1.59mSv/hを記録。
・・・・・
2011/3/15 0時3/15、0時台に福島第二で95.7μSv/hを記録。
2011/3/15 1時鹿島灘沿海部から内陸部にプルームが到達
2011/3/15 2時2時台に福島第二で0.155mSv/h、夜の森MPで0.186mSv/hを記録。千葉県北西部にプルーム到来
2011/3/15 3時栃木、埼玉、東京の県境にプルームが到達
2011/3/15 4時4時台に福島第二で145μSv/hを記録。東京の東半分をプルームが覆う
2011/3/15 5時栃木県東南部に濃いプルーム、埼玉、東京、神奈川の半分程度がプルームに覆われる
2011/3/15 6時東京都、神奈川県の全域、埼玉県の8割方をプルームが覆う。栃木県東南部に濃いプルームが滞留
2011/3/15 7時通学通勤時間帯
2011/3/15 8時通学通勤時間帯
2011/3/15 9時
2011/3/15 10時さいたま市、新宿区で空間線量率のピークを記録。
2011/3/15 11時大熊町大野MPで0.9mSv/hを記録。
2011/3/15 12時昼食時。この時間帯には千葉県北西部はプルームに覆われていない。
2011/3/15 13時プルームが全体的に北西方向に移動
2011/3/15 14時プルームが全体的に北西方向に移動
2011/3/15 15時下校時間帯
2011/3/15 16時茨城県東南部はプルームから外れる
2011/3/15 17時通勤帰宅時間帯
2011/3/15 18時通勤帰宅時間帯
2011/3/15 19時
2011/3/15 20時福島県の内陸へプルーム流れる。
2011/3/15 21時福島県の内陸へプルーム流れる。
2011/3/15 22時福島県の内陸へプルーム流れる。
2011/3/15 23時福島県内陸からプルームの一部が関東へ。山形県南部、新潟県山形、福島、群馬、長野に沿った地域、長野県北部がプルームに覆われる。
・・・・・
2012/3/16 0時関東にプルームが滞留。
2012/3/16 1時千葉県は8時頃までプルームの流出ルートとなる。
2012/3/16 2時
2012/3/16 3時
2012/3/16 4時
2012/3/16 5時
2012/3/16 6時
2012/3/16 7時
2012/3/16 8時プルームの大半が南東海上へ流出
2012/3/16 9時
2012/3/16 10時
2012/3/16 11時
・・・・・
2012/3/20 10時この時点で福島第一原発からのプルームが北西方向に向かうが、プルームの尾が海岸沿いに南下し始める。
2012/3/20 11時
2012/3/20 12時当初北西に出たプルームが北から押し流され、内陸に広がり、茨城県のほぼ全域がプルームに覆われる。
2012/3/20 13時
2012/3/20 14時栃木県の3分の2がプルームに覆われる。3/20は関東は降雨がないが、前橋など北関東で若干の降雨があった。
2012/3/20 15時
2012/3/20 16時プルームが全体として西に動く。
2012/3/20 17時茨城、栃木、群馬は比較的濃度の低いプルームに覆われているが、山形、宮城、秋田方面に濃度の高いプルームが延びる。
2012/3/20 18時プルームが全体として膨らむ。
2012/3/20 19時プルームがさらに膨らむ。
2012/3/20 20時埼玉県の3分の2、群馬県のほとんど、栃木県全域、福島県全域、新潟県北部、山形県全域、宮城県南部、秋田県南部がプルームに覆われる。福島第一原発から放出されたプルームは東海上に向かう。
2012/3/20 21時東北関東にプルームが停滞。新潟県の新潟市以北をプルームが覆う。
2012/3/20 22時
2012/3/20 23時ブルームが東に移動しつつ薄まる。
・・・・・
2012/3/21 0時
2012/3/21 1時
2012/3/21 2時
2012/3/21 3時全体として東方向に移動。
2012/3/21 4時
2012/3/21 5時
2012/3/21 6時新潟県はプルームから外れるが、南関東にはプルームが残る。
2012/3/21 7時福島第一原発からのプルームの吹き出しが南に向く。午前7時20分頃から我孫子市で降雨。途中小降りになったり止んだりしながら一日降雨が続く。
2012/3/21 8時
2012/3/21 9時鉾田市近辺からプルームが内陸に入り始める。
2012/3/21 10時千葉県東葛飾地域と房総半島の北を濃度の高いプルームが覆う。
2012/3/21 11時千葉県柏市で測定した空間線量率がピークをつける。
2012/3/21 12時茨城県と南関東がプルームに覆われる。
2012/3/21 13時
2012/3/21 14時プルームが南西方向に流れる。
2012/3/21 15時プルームが西に押され、埼玉県、東京西部、神奈川県西部、山梨県、静岡県に濃度の高いプルームが流入、愛知県に及ぶ。
2012/3/21 16時
2012/3/21 17時プルームの南西方向への流れが続く。
2012/3/21 18時福島第一原発正門の空間線量率が1.757mSv/hに上がる。
2012/3/21 19時
2012/3/21 20時プルームかが西に流され、千葉県はほぼプルームから外れる。
2012/3/21 21時
2012/3/21 22時プルームが膨らみ始める。
2012/3/21 23時
・・・・・
2012/3/22 0時プルームが横に広がり、千葉を除く関東と静岡、長野県中信地域がプルームに覆われる。
2012/3/22 1時
2012/3/22 2時関東、甲信、静岡にプルーム滞留。
2012/3/22 3時
2012/3/22 4時プルームのエリアが膨らむ。
2012/3/22 5時
2012/3/22 6時長野県のほぼ全域がプルームに覆われる。
2012/3/22 7時鹿島灘辺りから関東内陸へのプルームの流入が続く。
2012/3/22 8時
2012/3/22 9時千葉県に再びプルームが流入、長野県全域がプルームに覆われ、新潟県魚沼地域と津川地域にプルームが流入。
2012/3/22 10時
2012/3/22 11時
2012/3/22 12時千葉県房総半島にプルームが流入。プルームが膨らむ。
2012/3/22 13時
2012/3/22 14時
2012/3/22 15時プルームが縮まる。
2012/3/22 16時
2012/3/22 17時プルームのエリアが縮まり始める。
2012/3/22 18時
2012/3/22 19時プルームのエリアが縮まる。
2012/3/22 20時
2012/3/22 21時プルームが全体として東に移動。
2012/3/22 22時
2012/3/22 23時
・・・・・
2012/3/23 0時福島からのプルームは南下、内陸には流入しなかった。
2012/3/23 1時
2012/3/23 2時プルームが東南方向に移動。
2012/3/23 3時
2012/3/23 4時
2012/3/23 5時
2012/3/23 6時
2012/3/23 7時千葉県の東側をプルームが流れる。
2012/3/23 8時
2012/3/23 9時プルームがほぼ南方海上に抜ける。
2012/3/23 10時
2012/3/23 11時
2012/3/23 12時
2012/3/23 13時千葉県の東海岸沿いを流れていたプルームが次第に内陸よりに経路を移す。
2012/3/23 14時
2012/3/23 15時茨城南部、千葉がプルームに覆われる。
2012/3/23 16時
2012/3/23 17時
2012/3/23 18時
2012/3/23 19時
2012/3/23 20時茨城南部、千葉を覆っていたプルームが南に抜けていく。
2012/3/23 21時
2012/3/23 22時
2012/3/23 23時
・・・・・
2012/3/24 0時
・・・・・
2012/3/24 12時茨城の東海上を通り南下したプルームが千葉、神奈川を覆う。
2012/3/24 13時南方海上に抜けよえとしたプルームが北上。神奈川、東京、千葉の一部を通る。
2012/3/24 14時
2012/3/24 15時プルームが全体として北上。
2012/3/24 16時
2012/3/24 17時
2012/3/24 18時千葉県のみにプルームが残る。
2012/3/24 19時プルームが関東からほぼ消える。

プルームの通過状況推定チャート
2011/3中の各地の降雨状況
(8/24 画像追加)

(初出 2012/8/25 追記 10/21 10/22)
posted by ZUKUNASHI at 16:18| Comment(3) | 原発事故健康被害
この記事へのコメント
まだ時間がなく、21日半ばまでしか見れてませんが、
3/15は、北風と南風のぶつかる箇所は、神奈川ではなく千葉北部が中心のようで、
3/15だけをみると、横浜で格別濃厚なストロンチウム汚染が生じる理由は見つけられませんでした。むしろ、千葉県北東部でよりひどい状況があるのではないかと思われます。
あと、群馬と長野の境や山梨が、風がぶつかり山の強い風で叩きつけられてるように思いました。

3/15だけをかんがえれば、横浜の異常に突出した測定値はずくなしさんが先に指摘の単位間違えと思われます。

3/21以降も再度見てみますm(__)m
Posted by Calia at 2013年03月15日 14:32
ttp://www.youtube.com/watch?v=xpUQlw3C2Kc

火山灰の積算予想マップって、要は風向きの傾向ですよね。

富士山から宇都宮に吹く風の道があるのですが、実測の直後の空間線量のMAPと上記の火山灰の積算傾向MAP比較すると、宇都宮が薄い理由と東京湾で反転した理由が少し見えてくる気がします。

群馬方向にカーブする理由と、もっと南に逸れてから西日本に向う流れと分かれる理由なんじゃないかなと思います。

現在も毎日2億ベクレル垂れ流して冬将軍の度に流れてきています。
吹き溜まりになりやすいところにいるかいないかは、明暗分けると思うのですが、火山灰のMAPは、そのちょっとした材料になりそうです。

静岡で瓦礫焼きたい理由もそこかなと。
Posted by 柳 at 2013年04月28日 14:27
「富士山から宇都宮に吹く風の道がある」のは知りませんでした。「2011/3/15、3/16の降雨状況」に掲げた3/16の午前3時の雨は富士山から埼玉北部を通って宇都宮、茨城北部につながっていますね。東京湾の気流の流れも複雑なようですから、よく見る細長い楕円形の降灰予想図のようになるとは限りませんね。
Posted by ずくなし at 2013年04月28日 17:06
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