前の記事2011年3月茨城県で被曝が契機となって300人前後が死亡した可能性で、強く被曝した地域では、年間を通してみた死亡者数のピークが崩れてくることが分かった。
この知見を生かして、どの県で被曝が多かったか推定できないだろうか。
次の図は、秋田県、山形県、宮城県、福島県と茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、それに山梨県、新潟県、長野県、静岡県、愛知県、徳島県、大分県の18都県について、市町村ごとに、2011/1以降2012/5までの期間で死亡数が最も多かった月を拾い出し、都県別に割合を算出、都県別、月別にその割合を掲げたものだ。
少し分かりにくいが、この17ヶ月間で市町村の死亡数がピークをつけた月が都県別にどんな分布になっているかを見たものだ。
通常、死亡者数のピークは、1月ころに来る。寒さも強まり、一方で酒を飲んだり普段出かけない人も外出したりするからだ。だから、毎年1月にピークが来て、他の月は死亡数のピークが来ない、他の月にピークが来る市町村は、何らかの大きな災害や事故、地域的な伝染病の流行などがあったと推定されることとなる。
ただ、初めて知ったが、群馬県と長野県は例年2月にピークがあるらしい。旧正月の伝統が残っているのだろうか。
この図で、2011/3のところを見ると、宮城県のピーク市町村の集中率が飛びぬけている。これは、津波等での犠牲者が多数おられたことによるものだ。ついで、福島県の集中率が高い。ただ、福島県の場合、宮城県のようにストンと落ちずに、2011/4、2011/5も死亡数ピーク市町村の割合が高く、津波以外の原因による死亡者が多かったことを示唆する。
福島県に次ぐのは、茨城県だが、同県の実情については前の記事で検討した。その次は、栃木県だが、もう一つ下のグラフを見ると、山形県の集中率の方が高くなっている。これは、福島県から避難した方が多かったことと山形県自体強い被曝を受けていることを示すものと考える。
栃木県は、2012/1については神奈川県と重なるところにあり、今のところそれほどパターンが崩れているわけではない。
気になるのは神奈川県で、2012/3の集中率が2012/1よりも高くなっている。健康被害は、被曝後1年程度経過してから発現してくるとも言われるが、そういう現象ではないことを祈る。
福島県は、2012/1の集中度合いが低く、その前後に比較的集中率の高い月が見られる。じわじわと継続しなければ良いが。
次のグラフは、上のグラフ9都県以外の9県を取り上げている。山梨県で2011/8に集中が見られるが原因は不明だ。徳島県は、集中月が2012/1と12012/2にまたがっている。
新潟県は、2012/1のほかに2012/3にも集中が見られる。秋田県と長野県は2012/1の集中が少なく、2012/5に集中が見られる。両県ともにセシウムの降下沈着量は関東各県に比べて低いとされているのに、何か別の原因があるのだろうか。
上で見たところによれば、福島県、宮城県を別として、神奈川県、秋田県、山形県、新潟県、長野県、山梨県で若干の心音異常が聞き取れるというところだろうか。おそらくは、地域的な被曝度合いの格差がこのような変化となって現れているのかもしれない。
千葉、東京、埼玉は、2012/1の集中度合いが特に高くなっている。全般的に汚染されているために、これまでのパターンを維持しつつ、死亡数が増えているということではないかと思う。
グラフが込み入って読み取りつらいために、主要月の都県別ピーク市町村割合による順位を示す。
2012年07月12日
被曝量が多いと死亡数の季節変動パターンが崩れてくる
posted by ZUKUNASHI at 20:15| Comment(0)
| 原発事故健康被害
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