2011/3の関東地方プルーム往来推定チャートから その2: ずくなしの冷や水

2012年07月10日

2011/3の関東地方プルーム往来推定チャートから その2

「2011/3の関東地方プルーム往来推定チャートから その1」に掲げた「2011/3/15午前10時ヨウ素の地上濃度分布」の図や「福島第一原発から放出された放射性物質の茨城県内の2011/3月中の拡散状況」の資料にある3/15、午前8時のものと見られる次の空間線量率のグラフを参考にすると、都内では、3/15午前の段階では、23区の東側がプルームの通り道から外れたようだ。

次の図は、東京都の中心部について、上の二つの参考図から放射性物質が拡散したと見られる区域を表したものだが、限界ラインがよく分からないし、参考図はあくまでもシミュレーションなので境界をぼかしてある。

実測値によると、3/15、午前8時台につくばの北で1.1を記録し、10時台にさいたま市で1.22を記録している。新宿での測定値は10時台で0.5にとどまる。

他に公的機関の測定数値が得られないが、YouTubeに3/15、台東区の自宅ベランダで空間線量率を測定した方の画像が掲載されており、9時48分に1.024マイクロシーベルト毎時を記録し、11時14分に0.239まで低下している。

また、民間会社にお勤めの方の測定では、3/15の夕刻(時刻不詳)に墨田区で1.0が測定されている。

二番目の墨田区での測定事例は、3/15、3番目のプルームによるものと見られるが、いずれも新宿区における都の測定値に比較すると倍以上となっており、都の公表値は時間平均値と見られる。さいたま市の公表値も時間平均値だから、さいたま市の空間線量率のピークは相当高い。

さて、上から2番目の図について言うと、台東区は、1番めの地図のほとんど東側の外縁に当たり、ここで空間線量率のピークが1.024マイクロシーベルト毎時だったということは、プルームの中心の通り道、すなわち23区の西側や多摩地域には、これより空間線量率が高いところがあったということになる。

3/15は、電車が間引き運転となり、ホームで電車を待-った人も多いだろう。好天で公園で子供を遊ばせた人も多いかもしれない。被爆量はどの程度だろう。

3/15に小出裕章氏が上京し、台東区内で11:14から12:14までの1時間、大気中の放射性物質の測定を行っている(上の個人の測定結果からするとピークを過ぎた時間帯になる)。測定結果は、同氏の講演会資料に掲載されており国会の参考人質疑でも提示された。

このデータについては、「Stop ザ もんじゅ」に考察があり、次のように述べられている。

「小出分析は210マイクロシーベルト。ただし、吸引できるのは粒子状の放射能に限られ、ガス状の放射能は補足できない。小出さんの話では、それがヨウ素の場合、「6〜7 倍」あるのだという。それを加味すると「およそ1000 マイクロシーベルトと考えられる」という。

1000 マイクロシーベルトといえば即ち1ミリシーベルト。一般人の年間「許容値」に等しい。私たちが一年間に浴びてもよいとされる値を、わずか1日で、それも吸い込んだことになる。決して「健康には何ら影響の無いレベル」ではない。」

つまり、大変言いにくいことだが、上のプルームが通過した地域にお住まいの方は、3/15一日だけで、一般人が年間で浴びることもやむをえないとされる値を浴びた恐れが濃厚であり、その後も内外からの被爆を追加的に受けていることも勘案すれば、これらによる発症がありうることは当然想定しなければならないこととなる。

人口自然増変化指数0.1以上の市町村マップを見ていただけば、私が、人口自然増変化指数が、放射能による健康被害とのつながりを否定できないというのは、荒唐無稽なことではないとご理解いただけるだろう。

人口自然増変化指数0.1以上の市町村

小出氏のデータについては、2011/3/18、大阪府熊取町にある京大原子炉実験所内で、原子炉安全研究グループが主催する「安全ゼミ」で始めて公開された。その際に、参加者が「15日の(放射能の)滞留は3 時間だった」と24 時間換算にクレームをつけたが、小出氏は「それは知りませんでした」と受け流したという。上に見たように、3/15から3/16の朝まで東京は波状的なプルームの来襲を受けており、3時間でゼロになったわけではない。

私は、小出裕章氏の分析値を信頼するが、他の見方もある。地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター平成23年12月26日の発表

どちらを信頼するかは、もちろん読者の判断だ。なお、都立産業技術研究センターは世田谷区に所在しており、台東区とはプルームの流れが違うこともありうる点にご留意願いたい。
posted by ZUKUNASHI at 17:17| Comment(0) | 原発事故健康被害
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