2011/3の関東地方プルーム往来推定チャートから その1: ずくなしの冷や水

2012年07月10日

2011/3の関東地方プルーム往来推定チャートから その1

2011/3の関東地方プルーム往来推定チャートからいくつか分かったことがある。

1 プルームの移動は意外と早い。
福島第一4号機燃料プールの危機に心構えを新たに」で、2011/3/12 21時ころに南相馬で20マイクロシーベルト毎時を記録したプルームは、3/13の午前1時には女川町に到達し、ここでもで20マイクロシーベルト毎時を記録している。南相馬市と女川町の距離は約90km。秒速6.25mの風があれば時速22.5kmとなり、4時間で到達すると書いたが、海上だけでなく陸上でもプルームは時速20km以上で動く例がある。

3/15未明、つくば北で、早朝にさいまた市、川崎市、横須賀市で空間線量率の上昇が観測されており、このプルームのいわき市通過時間が不明だが、いわき市の空間線量率が上がり始めたのは3/15の午前1時ころだから、上昇直後のプルームが襲来したとしても、つくば市北まで2時間半、さいたま市へ4時間半、川崎市へ5時間半で到達している。

いわき市からつくば北まで123km、さいたま市まで173km、川崎市まで196kmだから、時速49.2km、38.4km、35.6kmの計算となる。

次いで、いわき市3/15午前2時のプルームは、つくば市北まで6時間、さいたま市へ8時間で到達しているから、時速20.5km、21.6km見当となる。

プルーム往来推定チャートで、矢印をつなげたラインの左下がりの度合いが大きければプルームの移動速度は遅く、3/15のプルームについては、時間が遅いものほどゆっくりとした流れになっている。

3/15夜に前橋から南魚沼市に流れ込んだプルームは、到達まで6時間を要しており、時速12.7km程度で三国峠を越えていったことになる。

このことから、緊急時のマイカーによる避難は、リスクが大きいと言わざるをえない。道路が渋滞すれば時速20kmも無理だろう。車の中ではγ線の遮蔽効果も少ないし、いつまでも外気を遮断しておくわけにもいかない。

福島県に近い地域から空間線量率が上がり始めたときは、東京周辺ではコンクリートでできた建物に避難し、換気をせずに様子を見た方が良いだろう。特に、子供は目に注意。寝ていればそのままにしておき、起きていたら目をつぶらせ顔に濡れタオルを当てる。

次に襲来するプルームが前回並みとの保証はない。とにかく失明はなんとしても避けないといけない。

電車による避難もリスクがある。3/15の午前5時台にさいたま市では上空で0.11マイクロシーベルト毎時、千葉市稲毛区では地表で0.2マイクロシーベルト毎時を記録している。10時台にはさいたま市で1.22、新宿で0.5マイクロシーベルト毎時を記録している。

普通電車の車内は屋外と同じ。慌てて逃げるのは考え物だ。次なる非常事態のとき、政府や自治体がモニタリングポストのデータ表示を止めてしまうことも考えておかなくてはいけない。

2 プルームの波状攻撃
さいたま市や東京新宿は、3/15、都合3回にわたってプルームの波が襲来している。さいたま市で見ると3/15の5時台、10時台、17時台。1回目と2回目はつくば市北部でもピークができているから、おそらくプルームが筑波山の北を回ってきたものだろうし、3回目は筑波山の南、土浦市に近いところを通ったと見られる。

2回目のプルームは、次の図の通り、茨城県西部から南下し、さいたま市、東京都西部、神奈川県内陸を通り、昼過ぎには茅ヶ崎市に到達している。次の10時時点の濃度分布で茅ヶ崎周辺がすでに色がついているのは、早朝第1回目のプルームの影響だろう。

2011/3/15午前10時ヨウ素の地上濃度分布。色が変わるごとに濃度が10倍になる。


3回目のプルームは、いわき市では強烈なものだったが、これが北茨城市、東海村と南下するに連れて拡散し濃度は低下、つくば南では1.5まで落ち、さいたま市では1.04となっている。

このプルームは、川崎市辺りまでは到達した模様だが、横須賀、茅ヶ崎では確認できないから、さいたま市か、あるいはそこに至る前に拡散し、北に押し上げられたものと見られる。

さいたま市は、この日3回にわたって空間線量率が上がっており、住民は朝晩の2回、内外から被爆した恐れがある。そして、2回目、3回目ともにプルームが前橋方向にも拡散移動しており、埼玉県内の全域で空間線量率が上がったと見られる。

埼玉県内で人口自然増変化指数が高い市町村があちこちに見られることは、3/15のプルームの通過・滞留状況と切り離しては考えられない。

3/15の深夜から3/16の未明にかけて那須方面から前橋に入ったプルームは、さいたま市の空間線量率を大きくは引き上げなかったが、山沿いに東京、神奈川に抜け、茅ヶ崎、横須賀にまで至った。

東京の西部は、このプルームの影響も受けたであろうし、神奈川県の内陸部も同様と見られ、その結果として内外の被爆が大きくなった恐れがある。

神奈川県は、臨海部には3/21のプルームの影響も認められ、文部科学省の空中モニタリングによる神奈川県内のセシウム沈着量は低いものの、数次にわたるプルームの到来が健康障害に結びついた可能性がある。
posted by ZUKUNASHI at 08:51| Comment(0) | 原発事故健康被害
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