福島第一4号機燃料プールの危機に心構えを新たに: ずくなしの冷や水

2012年07月02日

福島第一4号機燃料プールの危機に心構えを新たに

2012年6月最後の週末は、福島第一原発4号機燃料プールの危機情報に振り回された。

自分なりに、それなりの心構えを整えていたはずだったが、もし、6/30の午後、福島県下の空間線量率が上げ続けた場合に、適切に行動できたかというと、大いに疑問が残る。デマないしはデマまがいの情報ということで終わったが、これからもこの種の情報に振り回されることもありうると思っていたら、7/2の朝も危機情報で緊張した。

反省すべきところは大きい。そもそも、4号機燃料プールの非常事態の際にどうなるのか、私が追加的に収集・整理した情報を踏まえて整理してみる。

4号機燃料プールの水が抜けて崩壊熱で燃料棒の温度が上昇し、くすぶり始めると、大量の放射性物質が大気中に放出される。4号機燃料プールが倒壊し、中の燃料棒が地上に投げ出された場合も同じだ。

@ 4号機燃料プールには、原子炉に一回に装填される数量の2倍以上の燃料棒が格納されているから、1〜3号機の爆発等で放出された放射性物質の数量と同等ないしはそれ以上の放射性物質がなんらの閉じ込めの手段もなく置かれている。

A 4号機燃料プールの使用済み燃料棒は、水で冷やされなくなれば、くすぶり、そして燃えるとされているが、爆発的な事象がありうるのかは不明で、燃焼に伴って大気中に出た放射性物質は、これを運ぶ空気の温度も低く、低空を漂うのではないかと見られる。
(2011/8/5)

B 2011/3は、暦の上では春とは言え、西からの季節風が強く、大気中に放出された放射性物質は、大半が太平洋上に飛んだ。しかし、夏季に4号機燃料プールの非常事態が生じた場合、同様に放射性物質が海上に飛ぶと期待はできない。

C 2011/3よりもより濃厚で強力なプルームが低空を流れると想定した場合、外部被ばく線量は前回の何倍、あるいは何十倍にもなる恐れがある。

前回の各地のピーク時線量率と福島第一原発からの距離は次のとおりだ。横須賀、茅ヶ崎で270kmを少し超える。

距離とピーク時線量率の分布

プロットした点の近似曲線をアプリケーションに描かせる。

福島第一原発から約30km離れた浪江町津島地区では2011/3/16の測定で毎時58.5マイクロシーベルトの放射線量が計測されている。(福島民報 2011/12/11 12:17
浪江町の住民が自分で測定したデータではピーク時毎時150マイクロシーベルトだったとの情報もある。

2011/3/15、福島第一原発の正門では、午前9時に毎時1万1,930マイクロシーベルトを記録しており(プロメテウスの罠)、福島第一原発に近づくほど空間線量率はスカイロケットのように上昇するから、近似曲線としては、累乗近似の黒いラインが最も当てはまりが良いと考える。

上のグラフで作成した累乗近似曲線を用いて、距離別の線量率の理論値を計算すると次のグラフになる。

福島第一原発から5kmの地点で4,457マイクロシーベルト毎時となる。福島第一原発の正門は3号機から約900mの距離にある。

2011/3よりもより濃厚で強力なプルームが低空を流れると想定すると、風向きも前回と異なり、しかも継続的に放射性物質が放出され続けるわけだから、空間線量率は前回よりも高く、しかも長時間継続する恐れがある。

あくまでも机上の計算だが、空間線量率50マイクロシーベルト毎時の環境下に10日間滞在すれば、12ミリシーベルト。150マイクロシーベルトなら、36ミリシーベルトになる。

日本人の多くはすでに少なからず内外から被爆している。世界保健機関(WHO)は、福島第1原発事故による国内外の被曝線量の推計値を発表し、内部被曝と外部被曝を合わせた全身の被曝線量が最も高かったのは福島県の浪江町と飯舘村で、事故後4カ月で10〜50ミリシーベルトに達したと見ている。

濃厚で強力なプルームが身を包むことになれば、チェルノブイリで生じたように眼に放射性物質が付着し、失明する恐れもある。

被爆量と健康被害の関係に閾値はない。原発周辺の市町村に帰還する動きがあるが、私はとんでもなくリスクが高いことだと考える。

少なくとも福島第一原発4号機燃料プールの危険が減じるまでは、できるだけ遠くに逃げておくことが必要だ。一時、250km以遠に逃げろという声もあったが、上のデータからすると十分ではないが、一理ある。


私は、南相馬市といわき市に住む人のことを特に心配している。南相馬市は福島第一原発から25km、いわき市は43kmしか離れていない。25kmの理論値は97マイクロシーベルト毎時、43kmでは27マイクロシーベルト毎時となり、いわき市では現に24マイクロシーベルト毎時を記録している。

2011/3/12 21時ころに南相馬で20マイクロシーベルト毎時を記録したプルームは、3/13の午前1時には女川町に到達し、ここでもで20マイクロシーベルト毎時を記録している。南相馬市と女川町の距離は約90km。秒速6.25mの風があれば時速22.5kmとなり、4時間で到達する。

時速22.5kmは、道路条件が良ければママチャリでも定速走行できる速さだ。非常時にプルームの到来が驚くほど早いこともありうることを肝に銘じておこう。
posted by ZUKUNASHI at 15:14| Comment(0) | 福島原発事故
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