2006年04月12日

転ばぬ先の杖 4

IBMとゆかりのある企業の変調が目立っています。

(1) アドテックス(6739)
ストレージ(記憶装置)中堅のアドテックスは、2005/8月以降業績予想の下方修正が相次ぎ、株価下落によってスイス・フラン建て転換社債の繰上償還を請求されましたが、その資金を用意できないため12/28社債権者と交渉を始めると発表しました(1/6の記事ご参照)。

同社はバーテックス・リンク社(9816)の子会社VLIに資金調達業務を委託し、1/27 エスポアール投資事業組合が新株予約権付社債を14億5千万円で取得しています。ここまではまずまず速やかに運んだようですが、次のステップで早くもつまづいています。

エスポアール投資事業組合が第二弾として3/16に引き受けることになっていた新株予約権及び新株予約権付社債については、その発行条件が2/14変更されて有利発行となったため所要の議案を臨時総会に付議することになりましたが、なぜか関係議案2件は3/10の臨時株主総会当日、執行部によって撤回されています。

アドテックス社は、VLI社を通じた追加的な資金調達が見込めなくなり、3/20スイスにおいて開催予定だった社債権者集会を延期しています。

また臨時株主総会では前田大作氏((株)日本スポーツ出版社代表取締役、(株)ゆびとま代表取締役)が取締役に選任され同氏は即日社長に就任し、前社長の黒瀬克也氏は代表権を持たない取締役に異動しています。

3/14同社は2005/12期決算について監査報告書が入手できていないため同日予定された決算発表が行えず、3月末に予定していた株主総会も延期すると発表しました。遅延理由は、新事業のための特注品である「デジタルコンテンツ自動端末」の在庫評価と引当金計上のための売掛残高の確認に時間を要しているというものです。

3/31、同社は有価証券報告書を証券取引法の期限である3/31までに提出できないと発表し、ヘラクレスは4/7有価証券報告書提出遅延に該当するおそれがあることから同社の会計監査人に照会したところ、4月末までに開催予定の定時株主総会の招集通知発送の日までに監査報告書を提出できないとの回答を得たとして、開示注意銘柄に指定しています。

3/31発表の決算短信によれば、2005/12期の売上高は前期比半減以下の58億円、営業損失16億円、当期純損失48億円となっています。同社の最新のプレスリリースは4/11付けで、そこではVLIとの資金調達業務委託契約を解除したとあります。

同社は日本IBMのストレージ部門がスピンオフの形で独立したもので、2004/12期の有価証券報告書によれば、取締役6名中5名、監査役1人が日本IBMに在籍した経歴を有し、7年間出向の身分を有していた方も2人おられました。

今後の事業展開などについての説明は、同社のサイトを覗いても見当たりません。新しい役員の手腕に期待する声もあるようですが、決算短信によれば1株当り株主資本は−8,540円です。それでいて4/12の終値は3,180円、28,755株も出来ています。

もはや理外の理もここに極まるというべきでしょうか。

(2) エー・アンド・アイシステム (4773)
システム開発、ネット構築・運用受託を主力とするエー・アンド・アイシステムは、13.7%を保有する筆頭株主である日本IBMへの依存度が3割強となっています。

同社は3/20、大型プロジェクトの中止が見込まれることから2006/3期に棚卸資産の評価減によって最大で31億91百万円の特別損失が発生する可能性があると発表し、3/22、23とストップ安が続きました。

同社の年間売上は2005/3期で143億45百万円、営業利益、経常利益ともに6億円前後ですから年間の仕掛品や製品の4分の1近くがオシャカになったことになります。同社は3/31、2006/3期の業績予想を4.35億円の黒字から26.31億円の赤字に修正しています。

当社はシステム開発ですからシステムが思うように仕上がらず、技術変化などもあってもはや全部使えないということになったのでしょうか。そう言えば、東京ガスでも同じような話がありましたね。

日本IBM以外の大株主では、富士ソフトエービーシー(9749)が9.7%、ラック(4359)が4.9%、クレスコ(4674)が4.7%、フジスタッフ(4721)が4.2%となっており、システム関係の会社も多いのに大型のプロジェクトが中止になりしかもその損害を同社がもろにかぶって巨額損失を計上という事態はすんなりと理解しがたいものがあります。

巨額損失のゆえでしょうか、2006/4/24付けで社長交代です。辞任する岡 良貴氏と新たに就任する牧野敏夫氏(現副社長)は日本IBMから当社に派遣された経歴を有し、二人三脚で経営に当たってきたとされていますので、経営の刷新につながるのか疑問視する声もあります。

4/11、同社はラックの創業者であり今なお43%強の議決権を有する三柴 元氏を取締役会長として迎えると発表しました。同氏は第三者割当によりエー・アンド・アイシステム社の株式約190万株を引き受けるとされています。発行価額は10億円強になりますから債務超過を解消することはできそうです。

ラック社の保有株37万株と三柴氏が取得する190万株を合わせれば227万株となり、発行済み株式総数の24%となりますから、103万株の日本IBMに代わってダントツの筆頭株主の出現です。たしか、ドンキホーテも東秀オリジンの株を個人と会社とで買い集めていました。

ラック社はネットセキュリティを専門とする会社ですが、この1年間株価は下がり続けています。個人の立場での投資とはいえ、三柴氏がラック社に加え、エー・アンド・アイシステム社の筆頭株主になることをどう評価すべきか頭を捻ってしまいます。

というのも、エー・アンド・アイシステム社は身内に甘い体質があるようで、2006/1/25発表の第3四半期財務・業務の概況によると、特別損失に1億5百万円強の役員退職慰労金を計上しています。役員退職金制度を廃止し、それまで積んだ引当金を山分けしたとの見方がありますが、どうなのでしょう。

その頃に既に大型プロジェクトの先行きに暗雲が立ち込めていたとすれば、いかがなものかと思わされます。
 
今日の結果

主力市場は下落しましたが、新興市場は人気銘柄がいくつか値上りしました。基準価額 11,115円、特撰ポート指数 120.6になりました。
posted by ZUKUNASHI at 18:23| 株式