関東の汚染地域では、昨年来、家庭から排出されるものがことごとく汚染され、そこに付着、内在していた放射性物質は、ごみ焼却、下水処理の過程で少なからざる部分がまた大気中に放出されたはずだ。
日本では、一人1日当たりの可燃性ゴミ排出量が平均1Kg。人口10万人の都市では日量100トンのゴミの焼却を要する。
我孫子市の調査によると、不燃ごみ(破砕処理後不燃物)の放射性セシウム測定結果は、7/6採取分が放射性セシウム合計60Bq/kg、8/11採取分が70Bq/kg、9/2採取分が126Bq/kg、10/4採取分が73Bq/kgと70Bq/kg前後で推移していた。可燃ごみの測定結果はないが、ほぼ同程度と考えていいだろう。
10万人都市では、日量10万kgのゴミの中に700万Bqの放射性セシウムが含まれていた可能性がある。これを毎日焼却して灰と排煙に含まれる放射性セシウムの90%が捕そくされたとしても、1日当たり70万Bqの放射性セシウムが環境中に出て行くこととなる。
この10万人都市の面積が10平方Kmだったとすると、1,000万平方メートルだから環境に放出された放射性セシウムが均等にその市内に降下沈着したとすると、1平方メートル当たり0.07Bqになる。これが365日繰り返されると平方メートル当たり25.55Bqになる。
福島第一原発事故後当初に沈着した放射性セシウムの量に比べればわずかであり、この程度の追加的な沈着があったとしても、特段、「ただちに健康に影響することはない」と言えるかもしれない。
ただ、日常的に空から追加的な放射性セシウムが舞い降りてきて、呼吸を通じて吸い込んでいるとしたら、そう楽観的に見るわけには行かないだろう。それに、環境に放出されているのは、放射性セシウムだけではない。
さらに、市内全域に均等に降下沈着するというのは、あまりにも非現実的だ。基本的に、焼却施設周辺への降下が多いだろうし、隣町の焼却場から排出されたものが降下してくることもある。
放射性物質の大気中への追加放出は、ゴミ焼却場だけでなく下水処理場の汚泥焼却によるものもある。東京都の東部スラッジプラント周辺のセシウム測定値は高いし、ここから南風に乗って北部の地帯に降下沈着したため荒川左岸の公園などの空間線量率が高くなっているとの推測もある。
放射性物質が濃縮されそしていずこへ消えていく
東北被災地のガレキ焼却以前に、すでに焼却場からは相当量の放射性物質が再拡散している。焼却場での放射性セシウム捕捉率は90%よりもさらに低いのではないかというのが私の推測だ。
このような大気中への放射性物質の恒常的な追加放出は、健康被害をもたらすだろう。
ゴミ焼却場は、忌避施設として町外れや海や川の傍に建てられるから、設置市町村とその市町村内の健康被害との関係を調べるのは難しいし、可燃ゴミに含まれる放射性物質の量も都市、地域より異なるはずだが、そこを割り切って、上の試算方法に従って茨城、千葉、東京、神奈川について面積1平方メートル当たりの放射性セシウム年間降下推定量を計算したのが次のグラフだ。
町村は郡単位とし、東京都の特別区は一括りとし、政令指定都市も区で分けていない。東京は、各区に焼却施設を設置する方針だが、江東区夢の島の焼却場の能力が大きい。
なお、この工場の煙は、遠く千葉県の内陸まで流れていることもあるから、都市別に見るのは限界があるが、時に東に時に西に流れると考えれば、都市間の収支差はある程度縮小するだろう。
都県別に上位の郡市を見ると、茨城県は、守谷市、ひたちなか市、取手市の順だが、他の県に比べた水準は格段に低い。これだけの差が出たのは、率直なところ意外だ。
神奈川県の上位は、川崎市、横浜市、大和市。横浜市からは、突然死の情報があった。
千葉県は、浦安市、市川市、松戸市と汚染の強い都市が並んだ。その次には、習志野市、船橋市、鎌ケ谷市、流山市の名が上がるが、千葉市の稲毛区と美浜区は船橋市より高く、花見川区は鎌ヶ谷市より高いのにも驚く。これらの地域を新港クリーン・エネルギーセンターの排煙が直撃しているとすれば、この先ガレキ焼却で健康被害が顕著となってもおかしくない。
なお、浦安市、市川市は市の南部に焼却場があるから夏場は南風で市の中心部に排煙が流れる可能性がある。松戸市は、比較的人口の集中した地域に焼却場があり、これも影響が懸念される。
東京都は、特別区、武蔵野市、西東京市と並ぶ。都内での幼児の突然死が増えているとされるし、三多摩地区からも健康障害の情報があることと符合する。
上の試算は、いろいろな前提、仮定の条件を置いた上でのものだからどこまで正しいか保証の限りではない。だが、茨城県南部からの健康被害の情報が比較的少ないこととも符合する。
ゴミ焼却場所在地の卓越風の風下にお住まい方は、十二分に警戒を! 今でも時には、ぺっぺっと放射性物質を吐き出したくなるほどに飛んでいることもあるようなのに、そこに加えて被災地の汚染瓦礫を燃やされたら、狸のいぶりだし以上に悲惨なことになる。