さて、この先の地震をどう待ち構えるか: ずくなしの冷や水

2012年03月05日

さて、この先の地震をどう待ち構えるか

3/1朝の地震後、福島第一原発周辺の空間線量率が上がり、ほぼ終日上昇が続いた。この先、地震で揺れるたびにこのようなことが起きる。地震で直接の被害に加え、放射能汚染・被曝被害が加わる。

次のグラフは、1/30以降3/5朝までの東日本の太平洋側(千葉県内陸・東方沖から岩手県内陸・東方沖)の地震を取り出し、マグニチウドと最大震度を時系列で並べたもの。傾向としては、2月に入って、M、震度ともに大きくなっていたが、下旬になって小さくなり、2月末からまた大きくなってこのところ少し小さくなったかと読める。3/1朝の地震はかなり大きかった。

頻繁に地震が発生しており、沈静化の兆しは見られない。

現在、地震予測に関心を持つ人たちの間で、近い将来起こりうる大きな地震と目されているものには次のようなものがある。
1 本州中部以北の巨大地震
2 房総半島南東沖(八丈島東方沖)M9予想地震
3 石狩沖・十勝沖地震(アウターライズ)
4 東北地方日本海側から北海道南西沖に至る地域の地震
5 東京直下型地震
6 富士山噴火に伴う地震
7 東海・南海地震
このうち、2は、北海道大学地震火山研究観測センターの森谷武男氏がサイトで警告を発した地震の震源予想位置が南にずれたものだ。森谷氏は、2012/1/8のサンデースクランブルに出演しその時点での見通しを述べたが、その後情報がない。

北大の方針で予測は公表しないことになったとしており、それはそれでいいのだが、本当に国民を危険から救う気構えがあれば、職を辞しても警告を発するだろうと思っていたが、3月初め、森谷氏が周辺にエコーが収束し、スタンバイ状況になったと告げたとの情報が流れた。

2012/2/14には、サンケイが次のように、福島第1原発の地下で地震が起きやすくなっているとの専門家の分析を伝えた。

福島第1原発の地下は、2011/4に東日本大震災の余震とみられる震度6弱の地震が起きたいわき市の地下と、水が供給されているなどの点が似ており、近くの活断層が滑って直下型地震が起こりやすくなっているとの調査結果を、東北大の趙大鵬教授(地震学)らが2/14日発行の欧州の専門誌で発表した。

いわき市の場合、「活断層の摩擦が水によって小さくなり、滑りやすくなった」(趙教授)と判断、同様に太平洋プレートから水が供給されている双葉断層などが活動しやすくなって強い直下型地震に見舞われる危険性が高まったとの分析だ。ただ、同教授は「地震がいつ起こるかまでは分からない」としており、これも一般的な警告にとどまっている。

短期の予想では、「World Earthquakes」というサイトが、「Next 48 hours earthquake predictions (based on real-time statistics)」というデータを掲載している。毎日警戒度合いが変わる。

大地震が来て自分の家がつぶれる恐れもあるが、完全崩壊でもしなければなんとか生き延びられるだろう。生きていさえすれば、家が無くなっても、片田舎でひっそりと余生を送ることもできる。

だが、一番の問題は、大きな地震によって新たに原発事故が発生したり、福島第一原発の収束作業が不能になるような事態が生じて、さらに放射能の汚染が強まることだ。

2/27、福島第一原発の作業員の方からコメントをいただいたが、「現場作業員として、4号機プールは、崩壊は避けられない」と記されている。

この匿名作業員氏が、どの分野をご担当なのか不明だが、リクルートに応じた方のほかに、勤務先の会社が業務を受注したことなどによって思いがけず、福島第一原発で働くことになった方も多く、そういう方が、客観的に4号機の建物の構造的な強度を評価した場合、大地震でなくとも崩壊は避けられないという見立てなのだろうと私は受け止めている。

既に、相次ぐ小さな地震で少しずつ原発のガタが拡大し、異常が生じている。4号機のオペレーションフロアには作業員の姿が見えるが、建屋の内部は線量が高く補強工事もままならないとされている。
(ANNのニュース画像から切り出し)

4号機使用済み燃料プールから燃料棒を取り出すには困難が多く、時間もかかる。
A 4号機の構造。クレーン、作業台は撤去されている。これで5階より上の重量物が減り、圧力容器の蓋も撤去すれば荷重はかなり減るのだろうが。
(ANNのニュース画像から切り出し)

B 燃料プールの深さは約10m程度か。ここにキャスクと呼ばれる輸送容器を沈め、水中で燃料を移し替える。上の構造図で、燃料プールの中に"CASK STORE AREA"と示されているところがある。

C 5階オペレーションフロアーの平面図。


D 次がキャスクの構造と諸元の例。全長5m程度だからプールの中にすっぽりと入る。画像は、関西電力のサイトから拝借している。キャスクとは、樽のこと。これを埋めれば、荷重はまた増える。


F 小出裕章氏は、「使用済燃料は空気中に釣り上げたら周辺の人達、死んでしまうほどの被曝になってしまうので、必ずプールの底で作業をしなければいけない。移動させるための巨大な容器(キャスク)をプールの底に沈めて。プールの底でその巨大な容器の中に使用済みの燃料を移して、その上で、巨大な容器を空気中に釣り上げるというようなことをやるわけですが、すでに釣り上げるためのクレーンも壊れてしまってるわけですし、使用済燃料プールの中にもガレキが山積みになっているという状態ですので、大変な作業になると思います」と述べている。

G 120トンもの重量物をどうやって燃料プールに沈めるか? 沈めるだけならクローラークレーンでもやれるかもしれないが、燃料棒を移し替える作業は精密さが要求される。やはり、正確な位置決めのできるクレーンの設置が必要だろう。しかも吊り上げ荷重120トン超。

H 4号機の建屋カバーを作る前にこのクレーを設置しなければならない。建屋カバーの設置前に使用済み燃料棒をすべて搬出するか?

I クレーン設置を終えて燃料棒の取り出しができたとして、キャスクはどこに持って行く? 福島第一原発の共用燃料プールは、地震で壊れている。プールの空き容量も乏しいはずだ。福島第二原発か? それとも六ヶ所村か?

J 燃料取り出しの終了前に地震で水が抜けるようなことがあれば、作業は中断。万一、プールの底が抜ける、建物が崩壊する事態になれば、手のつけようがない。

K 原子力委員会の近藤駿介委員長が作成した「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」では、「最終手段として、砂と水の混合物による遮へいが最も有効(必要量1100トン/基)」とある。

ドシロウトの私が「もし、1,535本の燃料棒が大気中に露出し、燃え始めるという事態になったら、自衛隊も、消防も誰も手をつけられない。強烈な放射能で現場に接近することはもうできなくなる。最後に原始的な手段として、土砂交じりの水をコンクリートポンプ車で燃料棒の上に振りかけるようなことが効果があるのかないのか分からないが、そんなことすらできなくなるだう。」と書いたのは、2012/1/11だ。

近藤駿介氏は、1基当たり1100トンもの砂と水の混合物を燃料にかける作業をご自分が先頭に立ってやる覚悟がおありなのか、問うて見たい。

東日本大震災の津波による多大な人的被害について、宮城県気仙沼市出身の衆議院議員小野寺五典氏がその原因を語っている。必見だ。新党日本のサイトで。

(2/14、改訂追記 見出し変更 最終改訂3/5)
posted by ZUKUNASHI at 09:50| Comment(0) | 福島原発事故
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