土壌に含まれる放射性セシウム。東京、神奈川も高く、西日本が低い: ずくなしの冷や水

2012年02月04日

土壌に含まれる放射性セシウム。東京、神奈川も高く、西日本が低い

福島第一原発事故から10ヶ月以上経過し、土壌調査のデータが増えたが、一方で自然濃縮による極端な高濃度汚染土壌も発見され、実態がつかみづらくなってきた。2012/2/3には、横浜市瀬谷区二ツ橋町の廃止された水路敷の土壌から62900Bq/kgのセシウムが検出されている。東京都の6万ベクレルをしのぐ異常に高い値だ。

下の図は、各種調査によるデータを集めて県別に平均値を見たもの。データの出所は、次のとおり。
1 農林水産省「農地土壌中の放射性セシウムの分析値」
2 「放射能防御プロジェクト」およびそのリンク先。
3 新潟県総合生活協同組合「エコ米の水田土壌の放射性物質濃度」 
4 北海道農政部「農地(第七回)の放射性物質モニタリング調査結果」
5 自治体等が測定した結果で公表されているもの。
6 個人が測定した個別の調査結果でブログ等でデータが公開されているもの。
2012/1/20現在の集計件数は、1,048件。

上の表は、10,000ベクレル以上のサンプルを除外している。上に含まれるデータのほかに、1万ベクレル以上のものは次のとおり。
都府県 最大  最小 平均  件数
茨城県 19050 19050 19050  1
埼玉県 14140 14140 14140  1
東京都 61713 61713 61713  1
福島県 28957 10633 18729  17
神奈川県 62900 62900 62900 1

なお、中央値で見ると順序はかなり変わる。
福島県 1,140
茨城県 591
岩手県 438
埼玉県 288
宮城県 281
東京都 233
群馬県 216
神奈川県 203
千葉県 190
栃木県 181

各都県の最高値は次のとおり。

東京都・・・墨田区八広の植え込み4,254Bq/kg、採取日6/4。東京都豊島区巣鴨の道路脇の砂(5/14採取)で測定された61,713ベクレル/kgという飛びぬけて高い値があるが、自然濃縮の可能性もあり、除外した。墨田区八広も自然濃縮の可能性があるが、このレベルでは他の検出例もある。

茨城県・・・阿見町の畑5,640Bq/kg、取手市藤代の庭3,380Bq/kg、守谷市瓜代3,210Bq/kg、つくば市古来の庭1,881Bq/kg。農水省の資料による水田や畑の検出値はこれより一桁低い。

宮城県・・・名取市の庭5,600q/kg、8月上旬、丸森町の畑2,179Bq/kg、07/21。白石市の畑1,933Bq/kg、07/21。稲わら問題からしても、もっと汚染の激しいところがあるはずだが、宮城県もまだデータが不足している。宮城県が詳細なデータの把握と開示に後ろ向きなのは、県民の健康を守るという点からは有害だ。

岩手県・・・一関市千厩の庭土1771.6Bq/kg、10/13。岩手県もデータが不足。農水省資料にデータなし。

埼玉県・・・三郷市早稲田の植え込み14,140Bq/kg、採取日7/17。自然濃縮の可能性があり集計除外。次いで、八潮市上馬場の庭・畑2,251Bq/kg。6/5。

千葉県・・・松戸市紙敷の園庭7,013Bq/kg、6/28。次いで、松戸市松戸の庭3,179Bq/kg、6/5。松戸では最近公園等多数箇所の測定が行われ、さらに高い値が出ている。10/22、柏市の市有地で276,000Bq/kgとい卒倒しかねない高い値が出ている。上の各県の最高値と比べてもこの数値が極端であることが分かる。

栃木県・・・那須町の水田3,959Bq/kg、6/20。那須塩原市の水田1,826Bq/kg、4/1。これは農水省の資料によるデータ。いなわら問題からすると、もっと高い所もあると見込まれる。

群馬県・・・山間部を中心に空間線量率が高い濃厚汚染地域があるのに、県は常住人口が少ないと述べている。自治体が調べていないなら、温泉も景勝地も危険極まりない。この秋は、群馬の観光地は避けたほうが良い。住民でもない観光客は、いくら被曝しても知らないという姿勢だ。

神奈川県・・・2012/2/3になって横浜市瀬谷区二ツ橋町の旧水路敷で62,900Bq/kg検出。横須賀市港が丘の庭2,236Bq/kg、6/1。横浜市鶴見区の公園985Bq/kg、5/18。横浜市の中区、磯子区、南区にまたがる根岸米軍住宅地域は、住人が避難してもぬけの殻状態だという。

長野県・・・軽井沢町の土壌で1,592Bq/kgが検出されている。

山梨県以下は、濃度がさらに一桁低下している。新潟県は生協の資料があるが、魚沼地域のデータが不足だ。

上のデータによると、愛知県から西の地域の土壌汚染が低いことに驚かされる。まさにポジティブサプライズ。高知、宮崎、広島、熊本、兵庫、大分、福岡で微量のセシウムが検出されているが、ごくわずかにとどまり、他の府県はNDが並ぶ。関西にも福島第一原発起源のごく細かい放射性物質が浮遊しているとされてきたが、土壌を調べた限りではこれまでのところ大きな蓄積は見られない。

関東や東北で低線量被曝の症状に苦しむ人は、西日本に逃れれば、症状が緩和する期待が持てる。福島の子供も、西日本で静養させれば、被曝継続の中断を図ることができそうだ。これは福音だ、本当に良かったと思う。

一方、北海道が西日本を上回る汚染で落胆させられる。もっとも、泊原発の稼動を強行したりしているから、いずれ放射能漏れで北海道の農業も壊滅的な打撃を受けることは避けられないと思うが。

この結果を見て、やはり野菜などを買うのは西日本産に限ると思った人も多いだろう。冬季には、高知や熊本、宮崎産の野菜がスーパーの店頭に並ぶ。学校給食もそれらの野菜を使うしかなくなる。正直なところ、私にとってはそれが大きな救いだ。

次の画像は、独立行政法人日本原子力開発機構が作成した「福島第一原子力発電所事故に伴うCs137の大気降下状況の試算−世界版SPEEDI(WSPEEDI)を用いたシミュレーション」からとった3月12日5時から5月1日0時までのセシウム137の積算沈着量予測図。


資料の中に「宮城県南部から中部、福島県会津地域での明らかな過大評価や、栃木県での過少評価が見られるなど、量的に一致しているわけではなく、この解析結果はあくまでも分布傾向を概観する上での参考とするレベル」との記述があるように、実測値との相違もあるが、一番外側の100Bq/m^2の外縁は、これまでの断片的な情報と照らし合わせても大体こんなところかなという感がある。静岡県の土壌調査によるセシウム計の最高値が1276ベクレルで愛知はさらに低い。

2011/11/15の米国科学アカデミー紀要電子版に、名古屋大学などの国際研究チームが行った、福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質の拡散、沈着シミュレーションの結果が載っている。

対象期間は、2011/3/20から1ヶ月間となっており、事故後1週間の大規模放出の影響は含まれていないようだ。これによると、放射性物質は、北海道や中国・四国地方にまで拡散し、土壌に沈着した可能性があるとしている。

土1kg当たりの濃度は、高いところで、北海道東部の一部で250ベクレル、中国・四国地方の山岳部で25ベクレル程度とみられるとのこと。土壌調査では、高知で10ベクレル、広島で9ベクレル検出されている。

シミュレーションの結果に実測値を当てはめているようだから、北海道や中国・四国の土壌中のセシウム濃度は、それほど外れていないのだろう。
posted by ZUKUNASHI at 22:33| Comment(0) | 福島原発事故
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