次は、その結果だが、参考として新潟市や豊橋市も載っている。葉タバコは、乾燥すると重量が10分の1になるので、生葉1kg当りに換算した値を計算し、併記した。
市町村 乾燥kg当り 生kg当り
鹿嶋市 217 _ 21.7
美浦村 198 _ 19.8
阿見町 141 _ 14.1
行方市 125 _ 12.5
旭市 114 _ 11.4
東庄町 114 _ 11.4
小美玉市 102 _ 10.2
那須烏山市 95 _ 9.5
益子町 95 _ 9.5
筑西市 91 _ 9.1
鉾田市 90 _ 9
土浦市 89 _ 8.9
長生村 89 _ 8.9
潮来市 82 _ 8.2
栄町 79 _ 7.9
つくば市 77 _ 7.7
茨城町 74 _ 7.4
山武市 67 _ 6.7
石岡市 50 _ 5
東金市 46 _ 4.6
大網白里町 46 _ 4.6
神栖市 45 _ 4.5
稲敷市 42 _ 4.2
かすみがうら市 34 _ 3.4
香取市 33 _ 3.3
笠間市 28 _ 2.8
真岡市 28 _ 2.8
多古町 27 _ 2.7
勝浦市 22 _ 2.2
いすみ市 22 _ 2.2
睦沢町 22 _ 2.2
桜川市 21 _ 2.1
常陸大宮市 ND _ ND
茂原市 ND _ ND
印西市 ND _ ND
匝瑳市 ND _ ND
横芝光町 ND _ ND
白子町 ND _ ND
磐田市 ND _ ND
御前崎市 ND _ ND
牧之原市 ND _ ND
湖西市 ND _ ND
新潟市 ND _ ND
豊橋市 ND _ ND
生葉1kg当たりでの最高値は、鹿嶋市の21.7ベクレル。野田市や成田市で小麦から検出された値よりも低い。
今、千葉県や茨城県から出荷されている野菜には、この程度のセシウムを含むものが少なくないだろう。県などの検査では検出限界がセシウム134とセシウム137のそれぞれについて10ベクレル(コメについては20ベクレル)とされている場合が多いから、この検査を県が代行したなら、ほぼすべてでND、不検出となったはずだ。
精密な検査の結果という面では貴重な資料だ。このデータを地図に落とすと次のグラフになる。

市区町村が測定した空間線量率の最高値のグラフと比べると、空間線量率が0.4を越す印西市でNDなのに、空間線量率が0.3に届かない旭市で114ベクレル検出。空間線量率が0.1に満たない勝浦市で22ベクレル検出だが、同じく空間線量率が0.1に満たない茂原市はNDとなっており、空間線量率が土壌の汚染を示すとの前提に立つと、齟齬が生じている。

ただ、茨城県については、霞ヶ浦を取り巻く市町村で相対的に高い放射能が検出されており、大きな不整合はない。
印西市を含む千葉県西部の放射性物質の沈着は、降雨の影響が強く、一つの市町村の中でもムラがあるのかもしれない。これに対し、房総半島の太平洋側は、降雨による急速な沈着ではなく、より長い時間をかけてきわめて細かい放射性物質の粒子が満遍なく降り注いだと見るべきなのかもしれない。
それがゆえに、空間線量率は高くないが、地表に降り積もった放射性物質を植物が吸収し、場合によって作物が高い放射能値を示すことがある、との仮説を設けないと全体を理解するのが難しい。
勝浦市産の荒茶からは、2,300ベクレルのセシウムが検出された例もあり、今回のタバコでも同様な植物の吸収現象が見られたのではないかと考える。お茶に比してタバコは行き届いた施肥や肥培管理が行われるから、セシウムの吸収が抑制された面もありうるだろう。
福島県下の濃厚汚染地帯でも、数十年にわたって有機農業を続けてきた畑では、きゅうりのセシウム含有量は10ベクレル程度だとも言う。
JTでは、9月中旬以降も他品種の収穫に合わせて検査を実施するとのことだ。今回と同様な精密な検査結果が公表されれば、地域別の野菜の汚染度の推定に役立つと期待される。