内外の科学者が被曝による健康被害を強く警告し始めた: ずくなしの冷や水

2011年08月20日

内外の科学者が被曝による健康被害を強く警告し始めた

被曝による健康被害に関し、小出裕章氏の発言が次第に厳しく、よりはっきりした言い方に変わってきている。

福島の子どもたちが住んでいる土地そのものが汚れているし、食べ物もみんな汚れてるわけですから、子供たちの体が汚れることも避けられないし、オシッコにセシウムが入ってくるということももちろん避けられない、わけです。えーそのことによって子供たちは被曝をしているわけで、10年後20年後30年後になって彼等の中に癌で死んでいくという人たちが増えるということ自体はもう避けることはできません。」(2011/8/4、オランダの報道番組のインタビュー)

小出裕章氏は、自身の発言がとみに注目されており、今の日本では、刺激的な発言が運動としての反原発にマイナスになることをよく理解しているから、健康問題に関しては抑制のきいたものの言い方になっている。

一方、外国の科学者の中には、その活動の背景や基盤がしっかりしているためか、歯に衣をきせずに解説してくれる方もおられる。郡山市の保護者や、児童・生徒の「集団疎開」を求める市民団体の招きで7月17日に来日したクリストファー・バズビー氏は、もともと低線量被曝による健康被害の第一人者であることから、日本の被曝による被害についても、その見解は明快だ。

バズビー博士は、福島県に足を踏み入れた後、離日前にジャーナリストの松元千枝氏のインタビューを受けており、その様子を記録した動画がネットで閲覧できる。「カレイドスコープ」が、その文字起こしと解説を掲載しており、必見だ。

この中で、バズビー博士は、松元氏から「郡山での裁判に呼ばれたとしたら、何を証言しますか」と問われ、

専門家の証人として、証言をしたり報告書を書くのは喜んでしますが、来日はせずビデオで証言します。なぜなら、放射線量が高すぎて私自身怖いからです。100キロ圏内に行きたくありませんし、100キロ圏外でも心配です。私は会津若松に行きましたが、土壌が非常に汚染されていました。持参した機器で計測した値は想像以上で衝撃的でした」と述べている。

バズビー博士は、来日後福島入りする際にも新潟経由で入っており、離日時の空港では衣類を着替え、日本で着ていた衣類は廃棄したという。日本の汚染の実態は、それほどに深刻なのだ。

週刊朝日の「談」が2011/8/5、「週刊朝日記者が体験、体内から「まさかの」セシウム」と題する記事を配信している。驚くべき内容だ。

福島で現地取材をしてきた記者が7/8、広島大学でWBC検査を受けたところ、セシウム137が1,642ベクレル、134が462ベクレル、合わせて2,104ベクレル検出されたという。

通算の滞在日数は40日ほどで、福島第一原発から20キロ圏内の警戒区域には入っていないそうだが、5月に入って、計画的避難区域で採れた山菜の天ぷら食べたという。

広島大学の教授は、まったく問題ない数字だと言ったようだが、私はそうは思わない。福島の山菜のてんぷらは名物だが、5月にそのてんぷらを食べるなどというのは、私には到底考えられない危険な行為だ。

週刊朝日のこの記者は、放射能の危険性や被曝回避の基礎的知識もないまま福島入りし40日も現地で動き回った。WBC検査後も、セシウム合計2,104ベクレルの意味がわかっていないようだ。

内部被曝の怖さについては、研究者、専門家の中に議論があるのだから、それを知っていれば、広島大学の教授が「まったく問題ない」と言ったとしても、別の専門家にセカンドオピニオンを求めるだろう。

長崎大学の医師チームが福島で行っている健康リスク管理プロジェクトには、強い批判があり、関係者の刑事告発もなされている。

内部被曝の推定値は、72マイクロシーベルト、0.072ミリシーベルトだという。7/14、二本松市が発表した市民の内部被曝に関する独自調査の結果では、預託実効線量(70 歳までに受ける被ばく線量の総和)の最高は63歳男性の0.252ミリシーベルト、最低は子供で0.0257ミリシーベルトだったというから、現地で暮らしながら食べ物に気をつけた人より高い。

当局の発表だけを信じていると、こんなこともありうるという格好の例かもしれない。この記者が信頼できる専門家の指導を受けて、さらなる内部被曝を防ぐよう願わずにはいられない。

岩手県の陸前高田市では、避難所で1mほど離れた場所を報道関係者が通ったら、ガイガーカウンターの警報音がなったという事例が報告されている

体の中に入ったのは、セシウムだけではない可能もある。少なからざる報道関係者が低線量被曝症状で苦しむことになるかもしれない。案じられる。

「木下黄太のブログ」に8/16、原発近接エリアから車の運び出し業務に従事していた福島県の30、40代男性3人が相次いで心筋梗塞で亡くなったという情報が掲載された。8/9に田村市内で2名が、8/10に本宮市内で1名の方が亡くなったという。

原発近接の危険区域からの自動車の運び出しは、住民による依頼が多かったという。もし、十分な放射能防護策を講じていないと、内外で濃厚に汚染した可能性がある。いわき市内で目撃された、荷台で「毎時1ミリシーベルト超」の高い放射線量率を出す軽トラックも、より原発に近いところから運び出されたのではないかと見る人もいて、このような超濃厚汚染された車を整備し、運転していたとするなら、外部被曝だけでも相当危険な水準に達していただろう。

ブレス関係者や自動車の運び出し業務などに従事している方々の健康障害が改めて懸念される。

福島原発地域の犬猫を引き取り、里親探しなどの活動をしていた方が、8/9、急性白血病で亡くなった。7月31日に体調を崩したと知人に報告していた。福島産野菜の販売などにも携わっていと言う。ソースは、こちら


2011/8/10、朝日新聞報道2件。

○ 東京電力福島第一原発の事故をめぐり、米ニューヨーク・タイムズ紙は9日付紙面で、日本政府が緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI)のデータを事故直後に公表することを怠ったために、福島県浪江町など原発周辺自治体の住民らが被曝(ひばく)している可能性が高いと伝えた。

長文の記事は、菅政権との対立で4月に内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘・東大大学院教授が、事故直後にSPEEDIのデータ公表を政府に進言したが、避難コストがかさむことを恐れた政府が公表を避けたと指摘。「原発事故の規模や健康被害のリスクを過小評価しようとする政府に対し、社会の怒りが増大している」と論評した。

○ 福島県内で公立の小中学校に通う約1万4千人の児童・生徒が、既に県内外に転校したか、夏休み中の転校を希望していることが同県教育委員会のまとめで分かった。全児童・生徒の1割近くにあたる。多くは「放射線への不安」を理由に挙げたという。

県教委によると、7月15日時点で県外に転校した児童・生徒が7672人、県内の転校が4575人いた。さらに、夏休み中に転校を希望している児童・生徒は、県外が1081人、県内が755人だった。
posted by ZUKUNASHI at 10:18| Comment(0) | 原発事故健康被害
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