福島原発から風の定期便: ずくなしの冷や水

2011年07月30日

福島原発から風の定期便

自治体の測定した空間線量率のデータを毎日少しずつ追加しているうちに、福島原発からより遠く離れた茨城県南部や千葉県北西部の空間線量率が広い範囲で高いことに気づいた。

東葛飾地域の高線量率は、放射能雲の到来と降雨のタイミングがたまたま一致して特異的に生じたホットスポトで再現性は薄いのではないかと当初は考えていたが、福島の浜通りから南南西の方向にこれだけ明確にホットスポットが形成されていることからすると、単発性の事象ではないのではないかとの疑問が湧く。

まず、福島原発の西側にある阿武隈山地は、茨城県常陸太田市から福島県を貫き,宮城県丸森町付近まで続く、東西最大約50km,南北約150kmの山脈だ。せいぜい高さ1000mとはいえ、風を遮る効果がある。

この先、福島第一原発からは大爆発による高層への放射性物質の大量放出でなくて、プスプスと恒常的に放射性物質が漏れ続けるならば、それは南か北に向かうだろうという見込みは、福島第一原発からの放射能雲は海沿いに流れるに書いた。

そして、放射性物質を含んだ大気が海沿いに南に流れた場合は、その後どのように動いていくだろうか。

少しくらい放射性物質を含んだ大気が頭の上を通り過ぎたからといって、環境放射能に対する影響は微々たるものと考えるかもしれないが、甘く見るのは禁物だ。7/30の茨城県常陸大宮市根本の空間線量率は降雨の影響で20nGy/hも変動している。特段、福島第一原発で事故があって放射性物質の追加的な放出があったわけでもないようなのに、これだけ上昇する。

この図では、降雨が終わった後に空間線量率は元に戻っているが、一時、空間線量率を上昇させた放射性物質は雨とともに地上に落ち、近くにとどまらないで流出したのだろう。モニタリングポストは、地上3.5m。

今なお、放射性物質の大気中への供給が続いていることが一番の問題であり、原因者には即刻停止措置をとってもらいたいのだが、福島第一原発の収束作業は高線量などに阻まれて進行が遅いし、そもそも1号機から3号機までの原子炉、格納容器の状態がどうなっているかさえ、的確に把握できていない状況だ。

この先もプスプスと、あるいはブワーと放射性物質が大気中へ出てくると見ておかなければならない。そして、その放射性物質は、追加的に土壌に沈着し、地上の空間線量率を上げる、あるいは低下を阻むことになる。

浜通りを南に抜けた放射能雲はまず茨城県に入る。この先数ヶ月、茨城県北部で優勢な風向きを見てみると、東北東の風だ。海沿いを流れてきた放射能雲は茨城県北部で内陸方向に向かう。

出所:水戸市の風配図

次に千葉市の風配図を見ると、ここでは北東ないし北北東の風だ。茨城県北部で内陸に入った放射能雲は、南南西に流れ、千葉県北西部に向かうことが分かる。

出所:千葉市の風配図

千葉市の東側は、どうだろう。銚子では、より北北東の風が優勢で、海から海へ風が通り抜けるだけだから、茨城県北部で内陸に入った放射能雲の影響は少ないだろう。千葉県北西部の風は、この風に同調する形で東京湾に向かって吹き込むことになる。

出所:銚子の風配図

東京の風配図。なんと東京は、南風かさもなければ北寄りの風だ。千葉県北西部に達した放射能雲を時には取り込むことはあっても、北に押し返したり、東にそらせることが多い。

出所:東京の風配図

結論は、明らかだ。8月、9月の関東東部の卓越風から判断すると、茨城県の南部と千葉県北西部は、福島第一原発から追加的に放出された放射性物質が流れ込んでくる可能性が高い。そして、降雨があれば、また放射性物質が地上に降下して土壌の汚染度を上げることもありうるということになる。

8月、9月は、樹木も作物も繁茂している。こちらへの影響も懸念される。
posted by ZUKUNASHI at 11:21| Comment(0) | 福島原発事故
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