ウクライナ戦争は欧米の完敗になる可能性: ずくなしの冷や水

2022年06月23日

ウクライナ戦争は欧米の完敗になる可能性

ウクライナ戦争について、NATO事務総長から和平交渉は領土を含む妥協を伴うとの見解が出ており、ウクライナに和平、譲歩を促しているわけではありませんが、さらにテコ入れをしても形勢を変えることはできないとの判断が示されています。

2022年06月13日
NATO事務総長 「和平交渉には領土を含む妥協が伴う」

ウクライナは、過去に兵役に就いた女性を徴用し、18歳から60歳の女性ボランティアを募るとしています。男女平等のもとで特に問題はないということでしょうが、兵員不足でそこまで追い込まれているわけで、戦闘継続は困難です。

この戦争は、NATOがロシアを追い詰めて引き起こしたもので、米欧は多額の資金、資材を投入していますが、ウクライナの敗北で戦争が終わることになると、米欧は戦果がありません。イラク侵攻の時のように金塊を持ち帰ったり、石油権益を手に入れたりすることがない。

米国は巨額の商品ローンが残ります。その多くがすでにどこかに消えているわけですが、ウクライナに返済能力があるか疑問です。

米欧は自らが課した経済制裁の後遺症、ブーメラン効果による経済混乱が後を引くことになるでしょう。停戦に伴って経済制裁が解除されても戦争前の状況にすぐ戻ることは期待できないし、米欧は嫌がらせで経済的な手段を使い続けるでしょう。

この戦争は、世界の政治、経済の秩序を変える転換点です。ドル覇権の喪失は、米国経済の存立条件を根本的に変えます。それが少し時間をかけながら表面化してくるでしょう。

英国の没落は、目を覆いたくなるほど。国家運営の健全さは、その国の閣僚らの選び方に現れます。ウクライナの閣僚、英国の首相や外務大臣、ドイツの閣僚を見れば明らかです。EUの大統領はベルギーの元首相ですが、国連で虚偽情報をもとにロシアを非難し、批判を浴びています。

世界は多極化しています。今、私たちはその大きな変革に居合わせています。

欧米の株価が下げています。この程度の下げで金融不安ということにはなりませんが、先行きの企業業績の悪化見通しを示しており、これが続くと欧米の政府は何らかの対応を求められるでしょう。インフレ激化の原因は経済制裁ですから、経済制裁をどうするか。





報道やSNS情報によると欧州はウクライナ戦争の停戦に向けた検討を進めています。NATO事務総長ストルテンベルグの発言、EU外相ボレルのロシアとの話し合い継続の必要性に関する発言、さらにウクライナのクレバ外相は、ウクライナは欧州連合の代表者たちによってロシアとの条件交渉を強いられている、と述べています。

米・NATO・欧州諸国は、ウクライナ戦争を停戦に持ち込むための協議を始めており、ゼレンスキー政権の意向を尊重する形をとっていますが、カネのカンフル注射が絶たれれば、ウクライナ政府は崩壊です。ここでウクライナ政府は、ロシアに領土を譲る代わりにいろいろな条件を出しているでしょう。

欧州(そして米国)がここに来て停戦に向けた協議を開始したのは、人道的な配慮などというものでなく、自らが課した経済制裁のブーメラン効果でインフレが亢進、株式が下落するなどの経済面の影響が広がり、深刻になってきたからです。

影響が出るまでにタイムラグがある物価指数は、国により対前年同月比+7%、8%となっています。

インフレが収まる要因はありません。もともとコロナで金融緩和が行われてその影響が出ており、インフレが強まる基盤がありました。
今のインフレを抑える特効薬は一つ。経済制裁を撤廃することです。

ですが、それは米国も、欧州諸国も言い出せない。現指導部の失策になってしまいます。ここはあくまでも人道的な理由でお化粧して話を進めるでしょう。

米国は、今年の1月以来ウクライナに7兆円もの資金を供与したとされています。この金は全額がウクライナ政府に渡されたのか疑問がありますし、ウクライナに渡されてからもザルからこぼれるように流出しているはずです。ゼレンスキーの財布役とされる元軍人がセルビアで現金未申告で拘束されています。

米国は、バイデンが息子にかかる不正が暴かれるのを恐れて停戦に反対しているとされますが、民主党が支持率を落としていく状況になれば、そこはバイデンを切ってでもやるべきとの議論が出てくるでしょう。

ジョンソン英首相は、与党の不信任投票を切り抜けましたが、威信は大きく低下です。彼は国内の不満、危機を外に向けようと躍起です。

停戦に至る道は遠いのかもしれません。この先、経済悪化がくすぶり続け、インフレも続き、金融市場は波乱が続くのではないでしょうか。

Vedomosti: Paris, Berlin and Rome to convince Kiev of inevitable concessions
Ukraine will inevitably have to make territorial concessions, NATO Secretary General Jens Stoltenberg said at a meeting with Finnish President Sauli Niinisto on June 12. According to a number of experts, Prime Ministers of Germany and Italy, Olaf Scholz and Mario Draghi, and French President Emmanuel Macron are going to convey the same message to the Kiev authorities during their trip to Ukraine scheduled for June 15 (though Scholz’s visit has not been confirmed officially yet), Vedomosti notes.

"The West, first and foremost Europe, can see that efforts to support Kiev in the current conflict through weapons supplies and economic assistance are failing to produce the result that was expected in the spring," Head of the European Political Research Department at the Institute of World Economy and International Relations Pavel Timofeyev pointed out. It’s unclear how long the European Union will be able to ensure the pressure coming from rising military spending and financial injections into Ukraine, which are adding to the food security issues, the analyst added.

"It’s possible that the Europeans will come up with their own anti-crisis plan stipulating that Kiev will have to abandon some of its territories in return for further financial support," said Artem Sokolov, a researcher at the Moscow State Institute of International Relations’ Center for European Studies. According to him, the talks will to a large extent depend on the situation in the combat zone.

The Americans are unlikely to be unaware of European peace initiatives, former Director of the Franklin D. Roosevelt Foundation for United States Studies at Moscow State University Yury Rogulev emphasized. If things go wrong, it’s Germany, France and Italy that will be to blame for "betraying" Ukraine, while Washington and London will be able to wash their hands of it, the expert noted.
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は6月12日、フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領との会談で、ウクライナは必然的に領土を譲歩しなければならない、と述べた。多くの専門家によれば、ドイツとイタリアのオラフ・ショルツ首相とマリオ・ドラギ首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、6月15日に予定されているウクライナ訪問の際に、キエフ当局に同じメッセージを伝えるつもりだという(ただしショルツ首相の訪問はまだ公式に決定されていない)。

世界経済国際関係研究所のパベル・ティモフェエフ欧州政治研究部長は、「西側、とりわけ欧州は、武器供給や経済支援を通じて現在の紛争でキエフを支援する努力が、春に期待されたような結果を生んでいないことがわかる」と指摘した。軍事費の増加やウクライナへの資金注入が食糧安全保障の問題に拍車をかけていることから来る圧力を、欧州連合がいつまで担保できるかは不明だ、と同アナリストは付け加えた。

モスクワ国立国際関係大学ヨーロッパ研究センターのアルテム・ソコロフ研究員は、「ヨーロッパ諸国が独自の危機回避策を打ち出し、キエフがさらなる財政支援の見返りに領土の一部を放棄しなければならないことを定める可能性がある」と述べた。ソコロフ氏によると、会談は戦闘地域の状況に大きく左右されるという。

モスクワ国立大学フランクリン・ルーズベルト米国研究財団のユーリー・ログレフ元所長は、米国側が欧州の平和構想を知らないということはないだろうと強調する。うまくいかなければ、ウクライナを「裏切った」として非難されるのはドイツ、フランス、イタリアであり、ワシントンやロンドンはその手を洗うことができるだろうと専門家は指摘する。

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ここでは独仏伊首脳のウクライナ訪問は6/15とされています。





Russia explains its view of US goals in Ukraine
Washington is supplying Kiev with arms to force Moscow into playing by American rules, Russia’s foreign minister believes
The real goal of the US in providing military aid to Ukraine is to deprive Russia of its independent status on the international stage, Foreign Minister Sergey Lavrov told national television Sunday. Washington wants Moscow to have no say on global issues, but it will not succeed, he added.

The conflict in Ukraine is being used by the US and its allies as just another way to weaken Russia, Lavrov said when asked what America’s real goals in Ukraine are.

“They [the US] are pursuing a goal they have long made public: Russia must know its place; Russia [must] have no voice in international affairs; Russia must abide by the rules set by the US,” the minister stated, adding that Washington is apparently “well aware” of the fact that it would not succeed.

スコットリッターのインタビューを太陽のいびき氏が翻訳してくれています。次のスレッドで全文が見られます。特に注目点を引用。

https://twitter.com/taiyonoibiki/status/1539613519988916225








posted by ZUKUNASHI at 17:33| Comment(0) | 国際・政治
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