フィナンシャルタイムスのプーチンインタビュー 報道ぶり: ずくなしの冷や水

2019年07月11日

フィナンシャルタイムスのプーチンインタビュー 報道ぶり

2019/7/6のみゆうさんからの投稿

■FT紙(電子版)に掲載された関連記事タイトル一覧
(目視で拾ってますので、見落としがあったらごめんなさい)
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6/28
 Transcript: ‘All this fuss about spies ... it is not worth serious interstate relations’
  ↑この記事が、90分のインタビューの文字起こし(全文)でした。
   タイトルはご覧の通り、スクリパル事件です。タイトルだけ見て、油断してたらこれが全文でした(笑)。
   そうですよね、FT紙は英国の新聞ですもんね。
 May lambasts Russia’s ‘despicable’ behaviour at Putin meeting
 Vladimir Putin says liberalism has ‘become obsolete’
 Vladimir Putin: liberalism has ‘outlived its purpose'

6/29
 No, Mr Putin, western liberalism is not obsolete
   「the editional board」…社説、でしょうか?
   大統領が指摘した、圧倒的多数とエリートが分断されているのが欧米の問題という点には触れず、リベラリズムは時代遅れじゃない! ポピュリズムやナショナリズムとまだ戦わなきゃいけないんだ!と言っているようです。いや、その考え方をプーチンさんは問題だと言ってるんだよ、と誰か教えてあげてください…。

7/2
 Putin's heartfelt rejection of 'liberal elites'(音声のみ)
   これは、「the editional board」の反動??

7/5
 Vladimir Putin: the Full Interview(動画)

■日経新聞(電子版)に掲載された関連記事タイトル一覧
(これも目視で拾ってます)
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6/28
 [FT]プーチン氏単独会見 「自由主義はもう古い」
   日経(電子版)は、どうもこれだけのような…

■その他の国内紙(全国紙も含む)は分かりません。

すごい、本当に、今回のインタビューの(中立的な)内容が日本語で読める、貴重なブログかも知れないです(笑)?!

・・・そのとおりですよ。読者の協力があればこそです。

2019/7/11、みゆうさんから寄せられた投稿。引用開始。

7/10 Financial Times 電子版記事
Martin Wolf: why Vladimir Putin is wrong to claim liberalism is dead
Western liberal democracies are the most successful societies in history - but many are still a work in progress
マーチン・ウルフ:ウラジーミル・プーチンの「リベラリズム(自由主義思想)は死んでいる」という主張は、なぜ間違っているか
〜西側のリベラル・デモクラシー(自由民主主義)は、歴史上最も成功した社会形態である ーただし、多くはまだ発展途上である

フィナンシャル・タイムズ紙(電子版)(以下「FT紙」)に、プーチンインタビュー関連の追加記事が出ました。
マーチン・ウルフ氏は、FT紙のchief economics commentator の方とのことです。
題と副題が、長くて説明的なので、そういうことが言いたいのですね・・・ということは分かりやすく伝わると思います。
しかし、非常に誘導的な表現だと思います。

@プーチン大統領がどういう意味のロシア語を使ったのかは分からないが、少なくとも英訳では「obsolete(陳腐な、時代遅れの)」という単語が現在完了形で使われており(「時代遅れになってしまっている」)、「dead(死んでいる)」とは言っていない。別の箇所で、「the so-called liberal idea, which has outlived its purpose(いわゆるリベラルな思想、目的を失って生き長らえているところの)」という表現はあるので、それの意訳かも知れない。いずれにせよ、「dead」ではない。
A90分のインタビューは、現在の世界情勢についてプーチン大統領の見解を聞くという内容で、「アメリカは/中国は/北朝鮮は/ベネズエラは/シリアは/ロシアは」・・・といった具合にほとんどは個別のケースとして語られる。「西側/東側」という分断的な表現は、ほとんど出てこない。

そもそも、この「リベラリズムが〜」というやり取りは、90分のインタビューの終わりの方に出てきます。(イランFNAの記事では、順番が入れ替えられています。)

FT紙のインタビュアーが、「最初の話に戻りますが、現在の世界の『分断』について、総合的にどうお考えですか? 現代社会においては、エリートやエスタブリッシュメント(規制権力)への大衆の反発、ブレグジット、トランプのアメリカ、ドイツ、トルコ、アラブ世界、至る所に分断があります。ロシア自体も(特にソ連邦崩壊以降)、分断の問題に直面していますよね・・・」のようなことを質問します。

プーチン大統領は、「個別の『分断』には個別の理由や歴史があるので、総合的に答えることは難しい」としつつ、ソ連邦崩壊以降にロシアと旧ソ連各国が経験した、悲劇的とも言える苦難について語ります。そして、「問題は依然多くあるが、それはロシア(と旧ソ連各国)の個別の問題で、現在我々は政府の安定維持と国民生活の向上を目指して、努力を継続している。」ここまででロシアの話を終えて、アメリカやヨーロッパの国々の話に移行します。「欧米各国にも個別の問題(ブレグジット、ドイツの移民政策など)があるが、それらはエリートたちが快適なオフィスで『Liberalism(リベラリズム/自由主義思想)』や『Multiculturalism(多文化主義)』」を語っているだけで、大衆と乖離(分断)していることに原因がある。」

・・・という流れで、欧米の「分断」について説明します。この「分断」の存在自体は、インタビュアーも認識しており、質問の中で自ら言及しているとおりです。プーチン大統領は質問に答える形で、欧米でなぜ「分断」が起こっているかの説明として、「エリートたちが信じている『リベラリズム』が、現実問題を解決できていない、つまり『時代に即していない=時代遅れ』」と言っているのであって、「リベラリズムは死んだ」と言っているわけではないと思います。(繰り返しになりますが、元のロシア語の単語が分からないので、断定はできません。)

なのですが、7/10のFT紙記事の題と副題は、上のようになっていて。

更に言えば、6/28の日経新聞記事「プーチン氏単独会見 『自由主義はもう古い』(https://r.nikkei.com/article/DGXMZO46695310Y9A620C1I00000?s=3)」のリード文には、「ロシアのプーチン大統領は、欧米で国家主義的なポピュリズム(大衆迎合主義)が勢力を伸ばしていることを強調し、自由主義はもはやイデオロギーとしての力を失ったと勝ち誇った。」なんて書かれています。
・・・プーチン大統領はむしろ、トランプ大統領が「アメリカ・ファースト」なのは当たり前で、ロシアだって「ロシア・ファースト」だよ〜と言っていますし・・・強調してるのはそこじゃないし・・・「イデオロギーとしての力を失った」とか言ってないし(90分のインタビューの中で、ideologyもその類義語も一回も出てきません)・・・「勝ち誇った」とか・・・ほんとに元記事読んで書いたんでしょうか・・・。


全体を見ずに、部分だけを取り上げて、違う印象に誘導する。
「今回がたまたま」かも知れませんが、大手新聞であってもふだんから普通に行われている可能性もありますので、気をつけましょう。


ちなみに、イランFNAの報道では、ベネズエラ・シリアについての内容が記事の多くの部分を占めていますが、それは彼らの関心領域であるためで、実際のインタビューでは中国や北朝鮮の情勢についてかなりの時間が割かれています。全文は、PDFにして40ページ以上になりますので、仕方ないです。

・・・引用終わり・・・

よくわかりました。ありがとうございます。インタビューといえば、日本の総理によるイランのハメネイインタビューを見つけました。これも面白いです。
posted by ZUKUNASHI at 22:57| Comment(0) | 国際・政治
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