団地の通りから老人の姿が消えつつある と実感した日: ずくなしの冷や水

2019年05月10日

団地の通りから老人の姿が消えつつある と実感した日

2019/4/28は、連休2日目。肥満解消を目指して連続徘徊の2日目です。

少し早めに出て遠くまで行きました。風は昨日ほどは冷たくありません。天気もよく気持ちよく歩けます。最初に前から登ってみたかった丘に上ります。草が刈られ、木々に囲まれた広場があります。私有地なのでしょうか、人がいません。花木が何本か植えられて花をつけています。すっかり気に入りました。冬は見晴らしもよいはずです。




そこを出てさらに奥に行こうとしたとき、住宅が何軒かあるのに気づきました。こんなところにも水道来ているんだろうか。犬が吠えますが、ほどなく静かになりました。お住いの方にあの広場を使ってよいのかお尋ねしたかったのですが、人の影は見えませんでした。高台の縁を歩いていくと太陽光発電のパネルが丘の斜面を埋めています。雑木林のままにしておくよりもわずかなりとも収益が上がるでしょう。雑木を薪の原木で売ってもいくらにもなりません。木を伐採するのにカネもかかります。巻き割をするような元気な若い人も見えませんし。
この草原を評価してくれる方もおられるようです。この広場の管理には何らかの公的な関与があるのではないかと見ていましたが、市役所に確認した結果、純然たる民有地で公的な関与はないとの回答でした。再訪の機会があれば現地の方に伺って管理者・所有者と接触してみたいと思いますが、現時点では場所の開示を見送ります。

住宅が飛び飛びにある細い道を行きます。連れが田舎の風景だなあと! 私にはとても良い眺めに思われて今日の計画に満足していました。


でも、道路に人がいません。家の庭にも人の影が見えません。畑も無人。どうなっているの? こんなに天気が良い昼下がりなのに。人通りが少ないのはのんびりできてよいのですが、何か恐ろしいことでも起きているの? 放射能にニコチノイド農薬、太陽パネルの電磁波・・・。

連れが、敷地の広い家の前にいた太ったシャムネコ風の猫に声をかけていたらその家の主婦が道路近くに出てきたので、声を掛けます。若い人も含む男性数人が敷地内の雑多なものを片づけたり整備をやっていました。

「緑も多く静かでよいところですね。でもお宅以外はどなたもお見掛けしませんが、皆さんどうされているんですか?」

「この辺に住んでいる人は、みな70歳を超えているよ。だから家の外には出てこないよ。(えっ! この地域では70過ぎた老人は家から出ない決まりでもあるんですか?) 静かでよいけど、とにかく買い物が不便で困るよ。コンビニもつぶれてなくなったし。」

「買い物は〇〇のスーパーまで行かないといけないんですね。歩いたら30分近くかかりますから自転車で?」
(質問しながら、自転車に乗った人見ないなあ、坂がきついからかな。道も狭いし・・・)

「自転車は使わない。車でないと無理だよ。」

「畑で野菜をいくらでも作れますね。」

「その辺の畑で野菜作ったってどれだけ採れるか知れているよ。この辺は高台なので冬は気温が下がる。」
(このご婦人は家事が忙しいのか、畑仕事はあまりお好きではないようでした。)

その主婦は20年前からそこに住んでいるそうですが、ここを通る知らない人と話すことはまずないと。確かに私が話しかけたとき、かなり警戒していました。なんだこの爺さん、何しに来たんだ、強盗に入る家でも探しているのか? そんな感じ。この主婦の話からは、昔より今の買い物の不便さが強まっていることが感じられました。

道を確かめて次の目的地に向かいます。途中で少し回り道。木全体が白いものが遠くに見えたので向かいます。楓の一種でした。



途中道端にあった農薬の缶。土壌の線虫類を殺すための燻蒸剤ですね。


何年か前にスーパーが閉店し、バス便も大きく減ったという団地につきました。ここも人がいません。公園で腹拵え。爺さんが切り取った木を引きずっていきます。刃物砥ぎの爺さんが軽自動車で回っています。それ以外に人の姿が見えません。

みんな被ばくでやられて臥せっている??

住宅の庭の木を眺めたりして坂を下って行きますと、少し下の角のところでおばさんが手を振ってくれました。誰に振っているの? 振り返りますが、それらしき人はいません。
その後近づいたら、人違いしましたと。

あなたかなり目悪くなっているよ。スマホ使い過ぎでは? 私のような体格の人、今は珍しいでしょう。みんな痩せちゃってデブは絶滅寸前なんだから。それとも、連れに手を振ったの? 連れは一応ハンサムだけど、あの距離では顔は見えないよね。連れのような貧相な体格の人を誰かと間違えることはあまりないと思うけど。(以前に行き会った女性とまた会うと、先方は私のことは忘れていて連れを覚えていることが多いのです。くそー。)

街に人影がないわけを尋ねます。今日はこの団地で特別な会合があるとのことでした。はーん自治会の総会か何かですね。

公民館に向かいますが、その途中に平屋の少し大きな建物がありました。これが元スーパー? 


回り込んでみますと洗濯物が干していました。階段の上にフェンスが張られています。


ちょうど成年男性が通りかかりましたので尋ねます。ここは?

「ここは前はスーパーでしたが、今は介護施設です。」
(食べ盛りの子供がいなくなったら、今度は介護施設ですか・・・。なるほど、地域のニーズが様変わりしたんですね)

「スーパーがなくなったら皆さんご不便なんじゃないですか。」

「ええ、私の両親がここに住んでいますが、買い物に大変苦労しています。鉄道の駅まで行かなければなりませんので。」

「どうぞ、ご両親をお大事にされてください。」

このスーパーに並んで商店街があります。ヘアーサロン、蕎麦屋さ、豆腐屋さん、NGOの事務所などとして使われているそうです。

1軒の店の前で大工さんが作業をしていました。

「私のところはリフォームが専門なのですが、注文が少なくなりました。皆さん金を使わないようにしています。」

(そうですよね。老人夫婦だけなら、台所・食堂と居間、寝室の3部屋があれば足りますからね。そんなに汚さないだろうし、汚物で汚し始めたらリフォームどころじゃない、ハウスクリーニングですよね、必要なのは。とても言えませんでしたが、その若い方もわかっています。)

「頑張ってください!」

公民館です。中に入ると自治会の定例総会に皆さんが参集していました。会場のほうを覗き込んでみると、受付の人も、参加者も、ジジ、ババばっかり。壮年の男性もいましたが、数は少ない。はーん、これじゃバスもスーパーも立ちいかなくなるはず。



そんなところに長居は無用。まるで老人ホームの入居者総会!(他人のことを言えた立場か!)

この団地の中央に広い道路があります。歩道付きなのです。使われていません。両脇に緑が茂り、とてもきれいです。後で考え込みました。あそこはどう使うんだろう。普通の道路はしっかり通っています。ケーブルカーでも作って観光客を呼ぶつもりだった? なかなかの傾斜です。冬にスキー場になる? まさかぁ。謎です。人に出会わなかったので尋ねることもできません。

最も下ったところに雨水流出調整を目的とするらしい大きな池があります。周りに細い道路。そしてその後ろの斜面に金属製の階段が山を登っています。ありゃなんだ? なかなかの高さまで連なっています。連れが行ってみようかと。面白そうだが、遠回りだよ。山の向こうに降りたら帰って来るのも大変だぞ。

先を急ぎます。道路わきで手斧と鋸で木を切っている老人がいました。昔道路が狭い時には、目印になっていたのだと。何の木かわかりませんでしたが、硬そうな木で根が張っています。


地元の人のためにやっていると。(少し崖になっているし木があったほうがいいのでは?)

「ほかにやることもないんだよ。」
「ええ、やることがないのは私も同じですよ。」



田んぼの中の道を歩きます。イノシシ除けの電撃柵が道の両側に伸びています。

橋の欄干に腰かけて休んだりしながら歩きます。行違った一人の年配男性が話しかけてきました。

「散歩ですか?」

「ええ、徘徊です。この腹を凹ませないといけないのでウォーキングのつもりですけど。」

「どちらを回って?」

「〇〇駅から歩いて△△団地を通ってきました。この向こうに少し珍しい木があるのでその花を見に来たんです。でも、△△団地もそうですが、この南も不便になっていますね。□□の交差点はバス停がなくなりました。」

「えーっ、バスなくなったんですか。××行きのバスも? 」

「ええ、あそこを経由して☆☆団地に行くバスもなくなって、もうあの交差点にはバス停の柱がありません。」
(××は鉄道から遠く離れていて一度行ってみたいと思っていました。しかし、朝早い時間しか駅始発のバスがなく、実行できない間にバス路線が廃止されてしまいました。)
「今日は、電電公社の古い建物の近くから丘の下を通る細い道を通って駅に近い団地を抜けるつもりです。」

「最後の坂がきついですね。」

「ええ、いつもあの竹やぶの中の坂を死力を尽くして上るんですよ。」

この方はこの辺の地理や地形をよくご存じです。その方がたばこを吸いました。そしてぱっと道路わきに寄ったので何か来たのかと振り返りますが、何も来ません。たばこの煙が私のほうに流れてくるのを気にされたようです。

「私もタバコ吸いです。」

「イノシシなどの害が増えているようですね。来るたびに電気防護柵が整っています。なぜこんなに増えたんですか。」

「市原市はイノシシの狩猟駆除をやっているが、こっちではやっていないからみなこっちに逃げてきます。」

「檻で捕まえているんじゃありませんか。よく見かけますが。」

「檻を仕掛けても捕れるものは知れたものです。」

「イノシシなどを食べなくなっていることが原因ですか?」

「この時期のイノシシや野鳥は臭いんです。秋は穀物などを食べるが今はいろんな動物を食べるから臭いがある。」

「野山も変わってきていますね。」

「今の野山の管理は私らの代で終わりになるでしょう。荒れるでしょう。」

「自然が勢いを盛り返すのは、私にはよい面もあると思えるのですが、農業をやる方には困ったことでしょうけど。」

この方は、農業が主ではなくて他の仕事をされていたはずです。

「もう現役を引退されて今は農業とそのほかに何かなさっていますか。」

「自分で商売をして、農業とその他に公職を。」

「それはいいですね。でも忙しいですね。体形が健康的でうらやましいです。」

「胃を全摘しています。」

「商売をされていると、そういうこともありますよね。」

連れが少し離れたところで待っていましたので、その方が連れのことを気にして送り出してくれました。私一人の単独ならもう少し話し込んだでしょう。

バス停がなくなった□□の交差点。


長い徘徊歴ですが、年配男性から話しかけられたのはこれが2回目です。

共通点があります。私とそんなに変わらない年齢(と言っても大体が少し若い)で、何らかの仕事をしています。そうそう、お二人ともやせた方でした。お一人は太っていてうらやましいとも。

話しかけるときの言葉が丁寧で、だいたい私の歩行の目的から尋ねてきます。
ただ立ち入ったことは聞きません。長く勤めなどをやってきた方は、その辺は心得ています。心得ている方が、主体的に話しかけてきます。

変わった爺さんを見て、何しているんだろうという興味からなのですが、世の中の人に対する関心と感度が高い人です。

私が、安物でも普通の爺さんとは違う服装をしていることもあると思います。デブ体形にゆったりしたLLの服、色がされた藤色のリュック、全般的に新品でもないし、高級品でもないが、自分で工夫していることはわかるでしょう。まあ、畑泥棒や悪人には見えないはずなのです。

タブレットを手に歩いていると、それに目をやる年配男性は時にいますが、この日はタブレットを手にしていませんでした。

この前はにわか雨にあって若い女性から傘をもらいました。今、私は、デブ体形とヨボヨボ歩き爺さんのメリットを満喫しているところと言っていいでしょうか。

個性全開、下流老人全開です。

初出 2019-04-29 15:22:06  5/10追記
posted by ZUKUNASHI at 12:47| Comment(0) | 福島原発事故
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