はぁー こうなっているんですか: ずくなしの冷や水

2018年09月09日

はぁー こうなっているんですか

大澤五住氏がこの説明を更新しています。URLは変わっていません。

※ Izumi Ohzawa 大澤五住 @izumiohzawa氏の2018/9/6のツイート
できるだけ平易に説明を書いてみました。FBですが→
【 Q: 1ヶ所の発電所が止まったくらいで、なぜ全北海道の送電が止まるのか?】
https://www.facebook.com/izumi.ohzawa/posts/1957733144285244

※ Izumi Ohzawa 大澤五住 @izumiohzawa氏の2018/9/6のツイート
神輿担ぎに加えて、もう一つ多くの発電機が繋がった交流送電網の例えをあげるとすれば、タンデム自転車が良いですね。
ペダルの回転数が周波数、ペダルのアームの角度が位相です。人よりペダルの角度を先に、つまり位相を進めようとすると、自分の負荷がより大きくなる。

・・・・・

同氏のFacebookの記事は大変わかりやすいです。多謝。
Izumi Ohzawa氏のFacebookの記事から全文引用。

【 Q: 1ヶ所の発電所が止まったくらいで、なぜ全北海道の送電が止まるのか?】

A1: 北海道電力の説明:
(9月6日6時現在)
 9月6日03時08分 胆振地方中部で地震が発生。その地震に伴い道内の火力発電所が緊急停止し、電気の使用量と発電量のバランスが崩れたことで、周波数が乱れ、北海道内の全域で停電が発生しました。

ーー
この北海道電力の説明は、まあ正しいのでしょうが、ちょっとよく分からないと思いませんか?

特に、周波数が乱れるとなぜいけないのか?悪いことのように聞こえますが、自明ではないと思います。最近の家電など、周波数がずれても別にほとんど影響がないものがほとんどです。

なので、一応「電子回路基礎」というのを教えている身としては、何か言いたいと思ったので以下。
最近、ちゃんとは調べていないし、工学部電気系の学生レベルの理解でしかないので、間違いがあれば指摘してください。

ーーー
A2: ぼくの説明:

電力会社は交流で発送電していますので、送電網で繋がった全部の発電所の全発電機は、全く同じ周波数の電気を作り(つまり、発電機が同型なら同じ回転数で回って)、同じタイミング(位相)で+,ー に変化しなければなりません。今回の広域停電の原因は、一つ(苫東厚真発電所、厚真町)の火力発電所が突然緊急停止して、この同期が乱れたからです。

直感的理解は、例えば、神輿を多人数で担いでいる様子をイメージしてください。一人が転んだり、足並みが一人だけずれたりすると、隣の人と足がもつれて、それが波及して全員が転ぶイメージで良いかと思います。

ですから、発電機を送電網に繋いだり、切り離したりするには、実は単にスイッチを入れたり切ったりする以上の、かなり複雑な手順が必要です。神輿で言えば、一人加わったり抜けたりする場合は、チームの足並みを見ながら合わせてやらないと、全員転倒の可能性があります。

実際、発電機を送電網に繋ぐためには、繋ぐ前に発電機の周波数(回転数)を送電網のそれに合わせ、次に位相を微調整で合わせてから、送電網に繋ぎます。この時点で、発電機と送電網の電圧、周波数、位相が完全に同期していれば、その発電機から電流は出て行かず、まだ負荷を受け持ちません。(神輿に触っていてみんなと歩調はあっていても、力を出していない状態。)

ここで、発電機に負荷を持たせるためには、発電機の位相を微調整でちょっとだけ、送電網のそれより進めてやります。すると、位相ずれに応じて、その発電機に負荷がかかってきます。(神輿で言えば、ちょっと肩を上げて力を徐々に出すとか前傾姿勢をとって力を出すことに相当します。)

こういう調整をやらずに、何も考えずに、回っている発電機を送電網に繋いだり、送電網から切り離したりすると、大変なことが起こります。

今回は、ある発電所が突然止まった場合です。通常、発電所が送電網から抜ける場合には、代わりに負荷をになう発電所(複数)と調整しながら徐々に負荷を他に移動させて、自分の負荷をゼロにしてから切り離します。今回のような緊急停止により、頼っていた発電所に突然予告なしに抜けられると、残った発電所たちが、慌ててできる範囲の調整をしたものの、負荷を負いきれなかった、ということでしょう。

それに、負荷の重さそのものが、周波数と位相の正確な同期とその上での微調整の上に成り立っているので、制御できない形でこの関係が乱れると全体が崩壊します。

全停電状態から復旧するのにも、すぐに全部の発電所を再起動して送電網に繋ぐことはできなくて、上のような手順で負荷の分担を調整しながら、発電所を順番に稼働させていかなければなりません。なので、完全な復旧までには時間がかかります。

ここまで、ウン十年前、大学の学部時代にいわゆる「強電」の授業と学生実験でやりました。結構迫力がある実験装置でした。

各家庭にあるソーラーパネルからの売電では、パネル本体は直流出力を出しますが、引き込み線を通して、送電網に繋がった発電機の一つになることに、変わりはありません。ですから、機械的に回転する発電機はどこにもありませんが、電子的に同じことを自動的にやります。

つまり、送電網の周波数と位相を装置が計測して、それに合わせるようにインバーター(直流→交流の変換を行う装置)出力の電圧、周波数、位相パラメーターを、売電量に応じて調整しているはずです。

オーストラリアで昨年末に、同様の火力発電所の緊急停止がありましたが、そのとき完成したばかりのTesla社の大規模バッテリーシステムが、ミリ秒(1000分の1秒)オーダーで立ち上がって、代わって負荷を受け持ち、今回のようなネットワークの撹乱による停電を防いだ、とニュースになったことがありました。ソーラーと同じように、瞬時に負荷を制御しながら短時間、発電所の代わりを受け持つシステムは、これからの傾向になると思います。

こんなシステムがあれば、今回の停電は防げたかもしれません。

【デマ アラート】
おバカな人が、泊原発が稼働していれば、今回のような停電にはならなかったと、デマを流したようです。ウソで、全く逆に危険が高まることになるので注意してください。

火力であろうと、原発であろうと、停電の原因は、単純な供給容量が足りないという問題ではなく、動的な微妙なバランスの上に成り立っている大規模な交流送電のバランスが崩壊したことにあるのですから、原発も真っ先に止まります。

全システムがブラックアウトした場合、他の発電所は特に問題を起こさないですが、原発だけが冷却のためだけのディーゼル発電機でポンプを回し続けなければなりません。さもなければメルトダウンです。

注:大澤五住氏は、大阪大学生命機能研究科 視覚神経科学講座教授

脳細胞1個が見るものを、定量的に調べる
私は「外界からの視覚刺激が、眼に、そして脳細胞に伝えられたときに、1個の脳細胞は何を見ているのか」を定量的に表すことをめざして研究に取り組んでいます。1個の細胞が見ているものは、情景の断片にすぎないのですが、それは写真をはさみで細かく切り刻むのとは違う、複雑な別のやり方で細分されたものです。これを「このようにばらばらにしている」と、コンピュータで再現できるほどに説明できれば、応用も利くわけです。
posted by ZUKUNASHI at 09:34| Comment(2) | 福島原発事故
この記事へのコメント
間違ってはいないのでしょうが難しく考えすぎですw
全域停電が起きた理由を簡単に説明すると需要に応じた供給ができなくなったためです。
1Kwのエンジン発電機に2Kwの負荷を接続すると安全装置が働いて発電機が自動停止する。それと
同じです。 止まるときには当然周波数も電圧も乱れるでしょうね。でもそれが原因ではない。
北海道電力の通常の電力供給量は360万キロワットくらいらしいのですが、地震で最大の火力発電所
が壊れて停止してしまった。この発電所は一箇所で160万キロワットを発電していたため、たちまち
需要と供給のバランスがくずれてしまった。ここで北海道電力が取るべき最良の方法は札幌市全域を強制停電させることだったのですがそれをしなかった。とっさの決断ができなかったのです。
なにせ札幌市全域停電ですから個人で判断するのは尻ごみするでしょう。
それでなにもせず呆然としていたらシステムの安全装置が作動して北海道全域が停電してしまった。
もし札幌市を強制停電させていたら需要と供給はだいたい釣り合うので全域停電は避けられたでしょうね。
Posted by @名無し at 2018年09月08日 19:55
最も端的に言えばお書きになったところでよいのでしょうが、そこまでは多くの人が理解している。なぜ送電再開に時間がかかるかとか、ソーラー発電はどうやつて送電しているかなど、わかりやすく教えてくれています。難しいことをやさしく説明するには単に知識だけでなく教え方、説明の仕方の技術というものもあることを感じさせられます。
Posted by ZUKUNASHI at 2018年09月08日 20:11
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