日本の通信社の流す海外記事はこんなにユニーク イラン大使が「俺は呼ばれていない」と報道を一蹴: ずくなしの冷や水

2018年01月10日

日本の通信社の流す海外記事はこんなにユニーク イラン大使が「俺は呼ばれていない」と報道を一蹴

次の共同通信の記事は、一見しておかしいと感じて記録に残しました。

共同2018/1/10 07:04
ロシアとイランの大使呼び抗議
トルコ、シリア情勢巡り
 【イスタンブール共同】トルコのチャブシオール外相は9日、シリアのアサド政権軍がシリア北西部イドリブ県で過激派との戦いを口実に穏健な反体制派を狙って攻撃していると批判。トルコ外務省はアサド政権の後ろ盾のロシアとイランの駐トルコ大使を呼び出して抗議、不快感を伝えた。地元メディアが報じた。
 ロシアとトルコ、イランは今月29〜30日、ロシア南部ソチで「シリア国民対話会議」を開く方針。チャブシオール氏は、会議参加者が「こうしたことをしてはいけない」と記者団に述べ、政権軍の攻撃は内戦の政治的解決を妨げると批判した。
・・・引用終わり・・・
なぜおかしいかというと
@ 「イドリブ県で過激派との戦いを口実に穏健な反体制派を狙って攻撃していると批判」とありますが、過激なテロリストが結果的に集まった形となっているイドリブで「穏健な反体制派」の影は薄く、それを主対象としてシリア軍が攻撃を仕掛けることは考えられません。シリア軍は、過激なテロリストに掃討作戦を始めようとしているところです。
A イドリブには、トルコが支援するテロリストがいます。SFAですが、彼らはトルコ軍の指揮のもとに動いており、シリア軍は今の時点ではSFAやトルコ軍を攻撃していません。
B 上のトルコ外相の動きとして伝えられた情報発信者の狙いは、シリア軍にイドリブのテロリスト攻撃の手を緩めさせたい、シリアには直接言えないのでロシアとイランに言ったということにして、イランとロシアをけん制したいというものです。あまりに迂遠だと思いませんか? トルコとロシア、イランの外相はアスタナの和平協議などのため頻繁に連絡を取り合っています。
C 「ロシアとイランの駐トルコ大使を呼び出して抗議、不快感を伝えた」とありますが、「穏健な反体制派」がSFAのことであれば、不快感どころではなく、和平協議の推進主体からの脱退をほのめかすでしょうし、本格戦闘への発展を警告するでしょう。トルコ外相のこれまでの発言から見て、「不快感」で済ませるはずがありません。

というわけで、これは現地の新聞記者か外交筋のねつ造の可能性が高いです。

このニュースはツイッターで共同通信のニュース短信として流れたものですが、これを収録した約10時間後、FARSNEWSに次の記事が流れました。イランの大使が、「シリアの件でトルコ外務省には呼ばれていない」と明言しています。

FARSNEWS2018/1/10
Iranian Envoy Says Not Summoned by Turkish Foreign Minister over Syria
TEHRAN (FNA)- Iranian Ambassador to Ankara Mohammad Ebrahim Taherianfard rejected claims by some Turkish media that he has been summoned by Turkey’s Foreign Ministry over Idlib, Syria.
"The claims by some Turkish media about my summoning were false," Taherianfard said.
Taherianfard's remarks came after Turkish newspaper Daily Sabah and the country's news agency Anadolu agency quoted diplomatic sources as saying that the Turkish Foreign Ministry on Tuesday summoned the ambassadors of Russia and Iran to protest the Syrian government's violations of de-escalation zone borders in Idlib.
The Turkish media added that the ministry had asked the envoys to urge the Syrian government to end the border violations.
Moreover, the official website of Turkish Foreign Ministry did not mention anything about the summoning of the Iranian ambassador.

nadolu agencyはトルコの公式通信社でトルコ国内最大の通信社です。ですからサウジやイスラエルの外交官の造り話をそのまま伝えるとは考え難く、トルコ国内のある勢力がそういう話を流すのに一役買っている可能性も大きいです。

ですが、事実と異なる情報であることははっきりしました。共同はそんなにシリア関係の情報を流していないのになんでこれだけツイッターに流したのでしょう。情報入手の借りがあって付き合ったか、それとも何か便宜が与えられたのか。日本国内の通信社が流す情報に依存していては、世界の動きを読み間違えてしまいます。

FARSNEWS2018/1/9
Turkish Military Vehicle Destroyed in Rocket Attack in Northern Syria
TEHRAN (FNA)- A military vehicle of the Turkish Army was destroyed by a rocket-propelled grenade (RPG) fired by an unknown party after Ankara dispatched another military column to areas near the positions of the Syrian Democratic Forces (SDF) in Northern Aleppo on Tuesday.

The Turkish army has sent a new military column, including several armored vehicles and equipment, to the town of Kilis at the border with Syria.

In the meantime, the al-Itehad press website reported that a vehicle belonging to the forces affiliated to the Turkish army was damaged in an RPG attack by unknown militants West of the town of Dar al-Izzah in Northern Aleppo.

It added that the vehicle was moving in the Turkish military column that crossed into Syria via Kafr Loseen border-crossing.

The Arabic-language website of Russia's state news agency, Sputnik, quoted a security source as saying on Sunday that the Turkish Army set up a field hospital in Qomlo region in Hatay province at the border with Syria.

Sputnik further said that the Turkish army was preparing for an imminent operation in a region between Idlib province and the town of Afrin, adding that security officials in Qomlo region adopted severe security measures, deploying a large number of policemen in the region.

A military source, meantime, said that more than 15,000 Turkish soldiers deployed in Kilis at border with Afrin, adding that the army dispatched a large volume of military hardware, including heavy cannon and personnel carriers to border checkpoints in Kilis region.
posted by ZUKUNASHI at 22:30| Comment(1) | 国際・政治
この記事へのコメント
おはようございます。
共同通信は日本国内では信頼が厚いかもしれませんが、海外では"誤報の多い共同通信"として知られ、冷戦時代からタス通信より信頼・重要度は低かったと聞いています。
N○Kの海外向け放送、ラジオジャパンのロシア語は冷戦時代にあっても、ソ連からのジャミングがかからない西側からの数少ない放送でした。しかし今思うといろいろな意味でユニーク(?)な話が出るためにジャミングがなかったのかもしれません。
Posted by S at 2018年01月11日 10:39
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