アル・バクダーディは死んだらしい: ずくなしの冷や水

2017年06月20日

アル・バクダーディは死んだらしい

RTがロシア空軍の爆撃でアル・バグダーディが殺害された模様との情報を流したのは、2017/6/16の朝です。第一報が 07:15でこれは標準時ですから日本時間の16時過ぎ。既に72時間経過です。

RT20176/16Published time: 16 Jun, 2017 07:15
ISIS leader Al-Baghdadi reportedly killed in Russia-led airstrike – MoD

その後世界のメディアがロシア国防省発表をもとに一斉にアル・バグダーディ殺害情報を伝えています。

米国は、この情報を無視するような反応を示しています。

ですが、世界のメディアが一斉に流したこと、ロシア国防省が出した以上、フェイクではないとする見方が強いことからISISのテロリストに恐れと焦燥が強まっているとされています。

"after killing of a leader, the command structure of a formation will collapse too, the analyst predicted that the trend of ISIL's annihilation will be accelerated given the pressure that the terrorist group is bearing in Syria and Iraq"

このような場合には、兵士の戦意低下を防ぐために事実でなければしかるべきところから一刻も早く否定の声明が必要ですが、まだ出ていません。

@ 司令部がなくなったわけですから末端の部隊は状況の変化に対応できません。
A もともと爆撃されたラッカの会合は、ラッカからシリア南部へどうやって危険を避けて転進するかという戦略の会議でした。
B これまでは米軍からシリア軍の動向に関する情報も入っていたでしょうが、それが有効に使われないことになります。
C 自陣営の混乱の中、シリア軍が攻勢を強めていることは末端戦力はいやというほどに感じさせられています。
D 補給が来るのか、賃金が支払われるのか、不安は当然高まるでしょう。

ISISの中枢が機能していないのなら、米国が得意のマスメディアを使ったフェイクニュースでも大きな効果があります。それもありません。ロシアの発表に対する非難も見ていません。

シリアの公共放送がどのように伝えたのか分かりませんが、シリア政府なり軍の独自の見解は発表していないようです。

それはそうでしょう。アル・バグダーディと"high-ranking commanders of the terrorist groups who were part of the so-called IS [Daesh] military council"のメンバーが30人もまとめて消えたわけですから、指揮命令系統は消えたと同然です。

シリア軍は、これに乗じて大攻勢をかけます。当然です。そして、米国やサウジやイスラエルなどの介入を遅らせるためには、アル・バグダーディの死亡は伏せておいたほうが有利です。

ではなぜロシアが5/28の爆撃の成果を6/16になって公表したか?

ISISはシリアだけではありません。イラクはもちろんのこと、イランにもイエメンにもアフガニスタンにも各地でその傘下グループがテロを働いています。それらの勢いをくじくには早く知らしめたほうがよいとの判断があったでしょう。特に、フィリピンです。

ISIS、その後にいて戦略を握っていると見られる米国がどうやって体勢立て直しを図ってくるか、それが当面の注目点です。

米国の戦争屋は、アル・バグダーディかその側近と連絡網を持っているはずです。知っています。ですが、マケインなどもまだ反応を示していません。

動きは今週でしょう。これまでアル・バグダーディが空爆を受けたりした場合には米軍なり米国の情報機関でアル・バグダーディの救急搬送などを担っていたとされます。ですが、今回はその余地はありません。

万一、今回もアル・バグダーディが殺害を免れていたにしても、アル・バグダーディ殺害は戦略的に極めて有効なことが分かりました。必ずやります。シリアかロシアが。

(ここまで初出2017-06-18 20:58:18)

アル・バグダーディの消息に関する続報がありませんが少し振り返るといろいろなことが起きています。

2017/5/18 米国同盟軍がアル・タンフの近くでシリア政府同盟軍を攻撃
2017/5/28 ロシア空軍がISIS幹部の集会場所を爆撃、350人程度を殲滅。
2017/6/6 米国同盟軍がシリア政府同盟軍を攻撃、少なくとも2人のシリア軍兵士が死亡、15人以上が負傷
2017/6/8 米国同盟軍がアル・タンフの近くでシリア政府同盟軍を攻撃
2017/6/16 ロシア国防省がアル・バグダーディの殺害の可能性を公表。
2017/6/17 イラク軍が南部のシリア国境の支配を回復
      ロシア空軍がデリゾールでテロリスト180人を殺害
2017/6/18 米国同盟軍の戦闘機がラッカ南部でシリア軍戦闘機を撃墜
2017/6/18夕 イランがテヘランテロへの報復としてシリア・デリゾールのISISベースを弾道ミサイル攻撃 イラン側発表でテロリスト360人殺害と
2017/6/19 ロシア軍が米軍とのシリア空域事故防止相互通報を停止

イラク、シリア内でのISISの劣勢、大打撃が続く中で、米軍が自らシリア軍に対して攻撃を仕掛ける例が増えていることがわかります。2016/9/16のデリゾールでのシリア陸軍への攻撃もISIS側と連携し、ISISテロリストを援護する目的で行われました。

米国は、テロリストの人的損害が大きく、ISISの態勢建て直しのメドがつかない状況でしょう。そのため米軍のISIS管理部門の焦りが大きく時間を稼ぐためにシリア軍を攻撃しています。

米軍が、シリア軍戦闘機を撃墜したのは、クルド主体のSDFをシリア軍戦闘機が攻撃したからだと説明していますが、これは事実に反するようで、クルドに近い人のツイートでこれを否定する声が出てます。

シリア軍は、戦闘機撃墜事件が契機になったのかSDFと激しく衝突しています。この両者の戦闘が強まると対ISISの戦闘に支障が出ますから、米軍は望むところですが、SDFはISISに加えてトルコ、シリアとも闘わなければならなくなります。

ロシア軍が米軍とのシリア空域事故防止相互通報を停止しましたが、これは次にシリア戦闘機が撃墜されるようなことがあればミサイルによる撃墜も辞さないというロシア側の決意表明です。

軍事的な脅しに加えてラブロフが米国はシリアの主権を尊重すべしと米国を批判しています。このような場合、ラブロフは米国のカウンターパートと話をしているのが通常ですから、ただちに米国のシリア軍攻撃が激しくなるとは思いませんが、ティラーソンがトランプを説得して米軍の動きを抑え込めるかは疑問があります。

米国は、ISISを使ってアサド政権を転覆しようとしてきましたが、先行きは思わしくありません。しかし、シリアでロシアの軍事介入に負けたという形になることだけは避けたいと考えているはずですから、状況が悪化すればするほど本音を、本性を出してくるでしょう。

緊張状態が続くでしょう。
posted by ZUKUNASHI at 01:57| Comment(0) | 国際・政治
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