人口動態の悪化に自治体の動揺広がる 山梨県の事例が教えること: ずくなしの冷や水

2017年05月23日

人口動態の悪化に自治体の動揺広がる 山梨県の事例が教えること

自治体の公表する人口動態統計は、市町村が公表するものと都道府県が県内全市町村についてまとめて公表するものとがあり、県別には厚生労働省が全都道府県の数値をまとめて公表しています。

人口動態の悪化が強まると、自治体の中には統計の発表を遅らせたりする動きが出ます。

典型と言うべきか、早期にそのような動きが見られたのは我孫子市です。
最近では鎌倉市。人口動態を独自に公表している市町村の中で最も遅くなっており、2017/3月分が2017/5/8の公表、2017/4月分は2017/5/22現在未公表です。

県によるとりまとめ結果では、千葉県の公表が大きく遅れたことがありました。その後千葉県は人口の将来見通しを改定しています。

最近では、埼玉県。なんの断りもなく月が変わっても公表されませんでした。この月は埼玉9区の人口動態の悪化が顕著でした。

2017/4月分については、山梨県の公表が例月より1週間ほど遅れています。

人がより多く死ぬのは、行政レベルではあまり問題にされないのでしょう。高齢化の一言で済ませることができますし、病院、医院は繁盛し、葬儀に関連して潤う事業者もいます。

一方、生まれる子どもががた減りしているとなったら、危機感を覚える商工業者が増えます。

今すぐに影響は出なくとも、子供を対象とする幼児用品店は比較的短期間で影響が出るでしょうし、数年のスパンで見れば、保育園、幼稚園、学用品店、衣類販売店、オモチャ屋、学習塾などが軒並み影響を受けます。

年寄りは消費が固定化し、追加的な支出は医療費程度しかありませんが、子供は長ずるに従って消費支出が急増します。

そういう消費主体(実際にカネを出すのは親だとしても)が目減りしていくとなったら経営危機におびえる事業者も増えます。そのような商工業者は既成市街地に多く、郊外に住宅開発があったとしてもほとんどメリットはありません。

危機感を持った商工業者はどうするか? 議員に相談します。

「町の発展が停滞して活力が失われつつある」というとらえ方をすればローカルな政治問題です。

自治体の中には、なんとなく原因に気づいている職員もいるでしょう。ですが、自治体として公式に汚染に原因を求めることはできません。日本では、福島第一原発事故による健康被害はないことになっているのです。

中央政府の経済的格差拡大、貧困政策を批判することもできません。

中には、放射能汚染をまったく無視し、アグレッシブな否定にかかるところもあります。ですが、子供の数が減っているような地域はそれなりの理由があり、汚染を知る人は知っていますから、転入者減・転出者増で不動産価格が下がったりします。

子供の数の減は高齢化でごまかせても、不動産価格の下落はごまかすのが困難です。

ごみ焼却による汚染焼却灰とその処理、死亡数の増加に伴う斎場の混雑、医療費の増大による国民健康保険の収支悪化など、特別なことは何もない平穏な日々のはずなのに、自治体行政には難題が降りかかっています。

実際、汚染が生じた自治体には、やれることはほぼありません。除染は無意味です。自治体の首長が遭難した巨大旅客船の船長のように乗客を安全に避難させることを優先するか?

そんなことはありません。乗客を道連れに海面に沈むその瞬間まで楽しい日々を演出するしかないのが現実です。

鎌倉市が2017/5/17の日付で実際には5/25の午前2017/4分の人口動態を発表しています。苦しくなれば、こういう手も使わざるを得ない。大変な苦境にあるのではないでしょうか。2010/2以降で出生数が最低となっています。

・・・・・

2017/5/22の午後遅い時間に山梨県が2017/4分の人口動態を公表しました。

死亡数はそれほど増えていませんし、出生数もトレンドに沿った動きに見えますが12ヶ月移動平均で見ると、この半年間ほどの出生率が少し大きく低下しています。

この1年間で2人程度の低下と見れば、福島第一原発事故後の5年間で2人低下し、この1年でさらに2人低下したことになります。下げ方は速まっています。


2月は日数が少ないので全期間を通じて一日当りで見てみます。死亡数は緩やかに増加、出生数も緩やかに低下です。0.3人の低下は30日に直せば9人になります。山梨県の人口は82万人ですから30日で74人の減少になります。

2016/10 出生数445人、2016/11 508人、2016/12 482人、2017/1 525人、2017/2 431人、2017/3 531人、2017/4 432人。2017/4はやはり落ち込みが大きいと言わざるを得ません。



山梨県の出生数の減少傾向の強まりがこの先も続くか様子を見ないといけませんが、仮にこれが継続した場合、私達に重要なヒントを与えてくれます。

山梨県は、2011/3/15のプルームが盆地の上空を通過したと見られますし、土壌のセシウム汚染も関東各県に比べれば強くありません。

それでも、福島第一原発事故から5年経過後出生数の減が強まっているということは、この6年間に継続したなんらかの健康に悪い物質の体内取り込みが影響しているのではないかと疑わざるを得ません。

その筆頭候補は、飲食物を通じた内部被爆の継続です。

山梨県にお住まいの読者のコメントを拝見すると、土壌汚染が少ないから安心、被曝は心配するほどではないという警戒感の緩みを感じることがあります。

地元の土壌の汚染が少なくとも、関東産の野菜、太平洋産の水産物を食べ続ければ、内部被曝は関東居住者と同じように蓄積します。

福島第一原発事故直後のヨウ素による被曝がホルモンに影響して流産などをもたらした例もあるようです。ですが、山梨県では福島第一原発事故後、出生数はすぐには落ち込みを見せませんでした。

それが6年経過した今、出生数の減が強まっているということですから、その原因にはヨウ素やセシウムももちろんありうるでしょうが、セシウム以外の放射性物質が影響しているのではないかと考えられます。

特に半減期が長く、6年経過しても減衰が限定的な放射性物質です。

そのように考えると、福島第一原発事故後食品選択に特に意を用いてこなかった人達が今の食慣習を続ければ、時間の経過とともに影響が強まり、地域全体としての出生数の減が強まっていくと考えられます。

関東は、初期吸気被曝が強く、地場産の汚染食品も多いことから出生数の減は早くから見られました。

山梨県の動向は、おそらく管理人が想定するような要因で出生数の減が強まっていることを強く示唆することになるのではないかと考えています。
posted by ZUKUNASHI at 12:04| Comment(2) | 福島原発事故
この記事へのコメント
ずくなし様、ご無沙汰してます。
山梨に移住して3年目になります。
以前住んでいた神奈川との違いに少し戸惑っていましたが、大分慣れてきました。
何でも、山梨県民は、マグロの消費量が日本一だとか・・・。
ホの汚染度は、食物連鎖から見ると、小魚よりも、マグロの方が圧倒的に汚染されており、それを食するのですから、山梨県民の内部被ばくは当然と言えば当然でしょう。
内部被ばくの原因になる食べ物、本当に気をつけないといけないですよね!
産地偽装されていなければの話ですが・・・。

Posted by のーぬーくす at 2017年05月23日 16:06
のーぬーくすさん こんにちは
寿司の消費額は岐阜が一番だそうですが、山梨はマグロの消費日本一ですか。
今となると食習慣変更のインセンチブはほとんどなくなっているでしょうね。周りで何かおかしいと感じることも起きていない。そのうち茨城よりも悪化するかも知れませんね。
Posted by ずくなし at 2017年05月23日 16:43
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