福島第一原発事故と健康被害に関するクリスバズビーの最近の認識: ずくなしの冷や水

2016年03月20日

福島第一原発事故と健康被害に関するクリスバズビーの最近の認識

管理人は、現代の核利用とその健康影響などに関して発言する世界の専門家の中で、クリス・バズビーを最も評価し、信頼しています。実地の研究も摩擦を恐れずに敢行し、歯に衣を着せない辛らつな発言にたじろぐこともありますが、いろいろな疑問を解いてくれるのもやはり彼です。管理人がウランの大量降下の影響について懸念を強めていたときに、そのリスクを明快に指摘したのは彼でした。angama氏の質問が的を突いていたという点もあります。

BBCがなんと言おうと 福島の災害は人々を殺しつつある クリスバスビーに引用した #原子力発電_原爆の子の「inoue toshio 子どもを守れ! ‏@yuima21c」氏による日本語訳に即して、福島第一原発事故と核の利用に関するクリスバズビーの最近の認識を見てみます。

以下、inoue氏の邦訳を段落ごとに1パラ、2パラと引用します。

1パラは、ECOLOGISTによる前書きです。「BBCは破局的なフクシマ核惨事の意図的な過小評価に拍車をかけてきた」、「科学を無視している」、クリス・バズビーの見解のポイントです。

2パラは、バスビーの見解、主張の要が彼の言葉で書かれています。
3〜4パラはBBCの報道内容の要点紹介。番組に出てくる女性が核産業PRの新星、ジェラルディン・トーマス[インペリアル・カレッジ・ロンドンの分子病理学者]であること、男性がBBCのルパート・ウィングフィールド=ヘイズ特派員です。

5〜8パラは現地の空間線量率測定値に関して論じています。「1時間あたり3マイクロシーベルト」、これをジェラルディン・トーマスは「年間1ミリシーベルほど高くなる程度です。バックグラウンド放射線を2ミリシーベルトほど浴びていることを考えると、たいしたことありません。あなたの健康に対する長期的な影響はまったくありません」と評価します。

バックグラウンド年間2ミリシーベルト、それに上乗せ年間1ミリシーベルトで3ミリシーベルトとの見解ですが、3μSv/hで24時間、365日なら26 mSvですから、とんでもないインチキ計算です。バズビーはここを突いてジェラルディン・トーマスを番組に出すべきなのかと批判します。

BBCもこの内容に批判が集中することを懸念したと見え、日本語版には訳注をつけています。
(訳注・ビデオ内で「年間1ミリシーベルトほど高くなる程度」との発言がありますが、記者が独自計算したところ、年間13ミリシーベルトほどの増加ということです)
「記者が独自計算した」と簡単に書いてありますが、この計算方法も不明。根拠なしでこのような数字を出すべきではありません。

パラ9〜12は、英国のマスコミが原子力災害の影響を過小評価する専門家に肩入れしていることを批判します。パラ11にバスビーが日本訪問について言及していますが、関西の空港を使い、新潟経由で会津までしか立ち入らなかったようです。帰国前に衣類を取り替えて古い衣類は捨てていったようです。

ここでも車のフィルターが出てきますが、エアーフィルターはエアーサンプリングと同様な機能を持ちますから、フィルターを測定すれば大気中の放射性物質の濃度を推定できます。ガンダーセンもフィルターを測定しています。

パラ13で「日本における正常なバックグラウンド値は(わたしは日本で実測して知っているが)、約0.1μSv/hである。だから、外部放射線に関して言えば、ルパートの測定値は正常なバックグラウンド値の30倍だったのである」としています。ここで「外部放射線に関して言えば」と限定を付けているように、以下でも厳密に評価する姿勢です。

パラ14では、「地上高1メートルの3μSv/hは、地表1平方メートルあたり900,000 Bqのセシウム137汚染に相当するといえる。つまり、地表1平方メートルにつき、1秒あたり900,000回の崩壊である」としています。管理人が日本の当局の計算式を用いて計算した結果では、「汚染状況の物差し」に掲げてありますが、平米9万ベクレルで0.33μSv/h相当、90万ベクレルなら3.3μSv/h相当です。大差ありません。ここでバズビーが「1秒あたり900,000回の崩壊」と言っていますが、「ベクレル」より「崩壊」のほうが意味を理解しやすい場合が多いです。

パラ15、16では、問題は外部放射線だけではないと指摘しています。「粒子は、セシウム137だけではない。寿命の長い他の放射性物質が含まれ、そのリストは、ストロンチウム90、プルトニウム239、ウラニウム235、ラジウム226、ポロニウム210、鉛210、トリチウム、ロジウム同位体、ルテニウム、ヨウ素、セリウム、コバルト60と長くつづく。」

ウラニウム235は燃料そのものですし、ラジウム226、ポロニウム210、鉛210は、ウラン238の子孫核種です。ウランとその崩壊後の子孫核種に触れる専門家はごくわずかです。

パラ17は、放射線管理区域基準のことです。「放射能汚染地の国連定義は1平方メートルあたり37,000ベクレル」とありますが、これが1μCi、0.13μSv/h相当で、日本の法規でも厳しく規制されています。3μSv/hなら約23倍、90万ベクレルとの比較なら24倍ですから、ここでは丸めて20倍と言っています。

パラ18、19では、日本政府の汚染地への住民帰還策を批判します。BBCはこのような犯罪的に誤った指図に紙面を供したと非難しています。

これはICRPの放射線リスクモデルに基づくもので、バスビーらのグループは、ICRPモデルに1,000倍ないしそれ以上の誤差があると証明する論文を発表したと言います。

パラ21〜25では、福島第一原発の現状を論じています。

パラ26からは、「悪夢のシナリオ」として福島第一原発に今後生じうるリスクに言及します。地下水の管理、地盤沈下、建屋の崩壊、火災あるいは爆発、放射性物質放出の大量放出。パラ27は放射能汚染水の保管場所の飽和、太平洋への放出の不可避性。パラ28はフレコンの経年劣化による破損と放射性物質の飛散、パラ29は放射性廃棄物の構内での焼却。

パラ30、31は海洋生物への影響。「損傷した核反応炉から30キロ圏内の潮間帯の海洋生物がすべて消滅」とありますが、この情報の出所を管理人は知りません。

パラ32からは地球規模の汚染を取り上げて、米国西海岸での影響に言及、これに関する研究者は間違っているとの見解です。パラ33は外部被曝に比した内部被曝による身体被害の深刻さを指摘しています。パラ34、35では日本の野生生物に対する影響の問題では研究があるものの人間を対象とした研究はないと言います。

パラ36は、日本産食品の輸入制限を巡る問題。

パラ37からは、余剰癌、癌の上乗発生分を論じています。パラ38では岡山大学津田教授の研究成果を引用、パラ39では「われわれの新しい遺伝子研究論文の成果から、半径200キロ圏内の住民の先天性形成不全が100%増加すると間違いなく予測できる」と断言しています。100%の増加ですから2倍になるということです。

パラ40で、いま起こっていること、今後に起こることはわかっている。出産率の落ち込みと死亡率の上昇であると指摘しています。

パラ41でBBCの番組関係者を改めて批判、パラ42で「フクシマは収束からほど遠く、死は始まったばかりである」と結んでいます。

バズビーは日本の福島第一原発事故のその後の展開や健康被害の発生状況について、仔細にウォッチしていることが分かります。
posted by ZUKUNASHI at 18:15| Comment(0) | 福島原発事故
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