【台湾移住についての覚書】 投稿記事 : ずくなしの冷や水

2016年01月10日

【台湾移住についての覚書】 投稿記事

こんにちわ。台湾在住5+α年目に突入した椰子の樹。です。
すぐなし様より、
>台湾は日本語も通じることが多いと言いますし、移住する人
>がもっといても良いように思うのですが、日本人が働いて生計
>を維持するのは難しいでしょうか。
とのお尋ねですので、知っている限りのことを書こうと思います。

【1】 台湾移住に関する情報のサイト
ネットで調べたら、こんなサイトがありました。「家族で台湾へ海外移住」台湾の物価、日本語教師としての学校での勤務の話など、けっこう参考になる話が書いてあります。他には、台湾でラーメン屋さんを開いている日本人のブログ「0から始めるラーメン屋in台湾」も面白く、実戦的な情報が得られます。台湾移住を検討している方々は、先ずはこのようなサイトを熟読して基礎情報を勉強される方がいいと思います。

ただし、この二つとも、ブログ主の方は奥様(あるいは婚約者)が台湾人。つまり、もともと家族が「現地人」ですから、台湾社会に溶け込むきっかけを作り易い。「台湾に避難しようか」と考え始めたばかりの日本の一般人とは、スタートの条件が違います。以下でも書きますが、もしもご家族に台湾出身者がいない場合は、移住の下準備として先ずは現地でみっちりと2〜3ヵ月語学学校に通い、台湾の友人を何人かつくり、彼らの人脈を頼りに一歩一歩、具体的な生活体制の構築に向かったほうがいいかと思います。

また、台湾人はネットを使うのが大好きなので、facebookなどのSNSを使って人脈を広げる事は、日本社会以上に有効です。

なお、次は移住に直接関連するサイトではありませんが、「台北ナビ」現代の台湾に関する最新の知識がコンパクトにまとめてあり、私のような長期滞在者がみても「へぇ、そうだったんだ」と思う情報がたくさんあります。移住はしたいけど台湾のことは何もしらない…という方は、先ずこのサイトを熟読されたほうがいいかもしれません。

【2】 日本人は台湾でどのような仕事ができるか? 直ぐに思いつくのは、以下の3つの選択肢です。(1)「日本企業の現地採用社員」、(2)「日本語教師」、(3)「日本料理屋の板前さん」

先ず(1)「日本企業の現地採用社員」。もしも移住を希望される方が、現在の職場でのコネクションを利用して(1)の職をゲットできるのなら、これが最も理想的だと思います。日本人社会のネットワークに加わり易いので、現地の生活になじむ上で必要な諸情報が入手しやすいでしょう。ただし、中国語会話、文書作成について一定の能力がある事が前提条件となります。ですので、過去に中華文化圏への長期留学の経験がある限られた人を除き、きわめて「狭き門」だと言えます。(あ、でもIT方面で高度なスキルのある方なら、英語だけでも仕事が探せると思いますよ。)

続いて(2)「日本語教師」。台湾で日本人が仕事を探すのならば、これがもっとも手軽で、且つ間違いなく見つかる仕事です。私も一時期、少しだけやった事があります。ただし、一般の日本語専門学校での仕事は給料が安く、けっこう経済的には厳しいです。また、機会に恵まれれば大学で非常勤講師、という可能性もありますが、台湾の教育界は米国式の凄まじい学歴偏重社会。最低でも修士、場合によっては博士学位が要求される場合すらあります。ただし、これは法学であろうと薬学であろうと物理学であろうと、とにかく「学位」の証書さえあればいい、という意味です。教育学と何の関係もなくても、非常勤講師を申請する分には問題無し。考えようによっては低いハードルとも言えます。

このように、経済的にはなかなか厳しい語学教師ですが、見つけやすい仕事、というメリットもあります。ですので、移住直後の最初の数年は語学の教師として小銭を稼ぎ、貯金も取り崩しながらがんばり、そして次のステップを狙う、という人生設計も可能です。

そして(3)「日本料理屋の板前さん」。門外漢にとっては初期投資が少々高いものの、実はいちばん稼げる職業かもしれません。また、現在この時点で居酒屋や割烹料理屋で包丁を握っている、という方ならば、最優先で考えるべき選択肢です。

日本でも広く知られるように、台湾は世界に冠たる「親日国家」です。日本以外では、台湾人は世界でいちばん和食が好きな民族。このため、台湾でいちばん稼げる「外国料理」は、フランス料理でもイタ飯でもインド料理でもなく、和食なのです!

そんなわけで、台湾のある語学学校でも日本人の青年たちに向かい、「先ず台湾で中国語を覚えて、それから板前さんとして台湾で働きましょう!」とよびかけるHPまで開設するくらいです。「日本料理なら台湾でも開業出来ます

そんな訳で、もしもまだ20代・30代で、手元にいくらか軍資金がある方が台湾移住を考えているのなら、以下のような選択肢も有り得ると思います。
a. 先ず2〜3ヵ月あるいは半年間、日本で料理学校に通って和食の基礎をマスターする。同時に中国語の初歩も勉強。
b. 継いで日本脱出。台湾で数ヵ月語学学校に通いながら台湾の友人をつくりまくる。
c. 最後にbで作ったコネを使い、日本料理屋での仕事をゲット。あるいは自分で店を開く。

最後に、お年寄りならば、年金を日本から送金してもらいつつ、台湾でのんびり暮らす、という方法もあるようです。無論、信用できる司法書士などに日本での事務処理を頼むことができる、という大前提がつきますが。この方法がとれるのならば、下記のように台湾は物価が安いですし、なかなか良い選択肢だと思います。

【3】 生活費はどのくらいかかるのか。どこに住むのが良いか。(※以下に記す「元」は人民元ではなく、台湾元です。)

先ず、台湾は決して「発展途上国」ではなく、純然たる先進国であるという事をご理解頂きたいと思います。ですので(旅行ならともかく、)長期滞在すると物価は想像するほど安くない事がわかります。

以下に述べるように、いろいろと生活費はかかりますし、生活の再構築、そして基礎レベルの語学(北京語)の習得には、最低半年は必要です。もしも心機一転、人生をやり直すために台湾に来るのならば、それなりに現金を準備してからくるのが安全です。

手持ちの不動産・金融資産がある方は思い切って売却して資金を確保した方がいいと思います。(どうせ、あと10年したら首都圏の不動産なんか誰も買わなくなりますって…)

大雑把に言って、首都台北の物価は日本の40〜50%。台中や台南など、いわゆる地方都市だと日本の30%です。

また、当たり前ですが、台湾国産の農畜産物を買う限り放射能汚染の心配はありません。ですので一旦移住してしまえば、安全な食品の確保に毎日苦労している主婦の方々にとっては、金銭的・精神的負担が格段に低くなります。

ただし不動産の価格は別。家族タイプのマンション、アパートの床面積はどれも日本の平均サイズの倍。30〜40坪前後(3or4DK)が基本なので、坪単価が安くても、結果的に部屋代は高くなります。

どんなボロマンションでも、もしも家族タイプの複数部屋がある物件を探すとなれば、月額1万元(≒3万7千円)、台北ですと2万5千元(≒9万2千5百円)は覚悟するべきです。そんなわけで、もしも親子三人暮らすとなると、最低でも月に6万元(≒22万2千円)は必要になります(台北なら更に三割増しでしょう)。

逆に言うとこれだけで済むのですから、例えば多少現金がある方ならば、先ずこちらに一家で逃げてきて、1年間ほど家族全員で語学の習得だけに専念することも可能です。

住む都市について。やはり西部一帯が無難です。新幹線沿いの四大都市、台北・台中・台南・高雄のいずれかが最適だと思います。

台北は経済的にはダントツで便利な街です。英語が分かる人も多く、日本に一時帰国するにも至極便利。お金に余裕がある方には第一にお薦めします。ただし、物価の高さがネックです。日本並みの生活レベルを追求すると、油断すると東京と同等、あるいは更に高い生活費が必要となります。

加えて盆地の中心に位置する、日本の京都のような地理環境にある都市であるので、夏は蒸し暑く(南部の台南、高雄より暑い!)、冬は12月〜2月が毎日ほとんど雨が降り、ジメジメと寒い。もしも住むならば、覚悟した方がいいです。日本の太平洋岸で育った方には、耐え難い気候です。

車の運転が得意な方(台湾の荒っぽい運転マナーに対応できる、という意味で!)ならば、台中がお薦め。台北から新幹線で1時間かからず、物価は格安。しかも活気のある街ですので、若い方に向いています。ただし、現時点では市内に地下鉄・電車が一本もないので、車がないと買い物ひとつするだけで一苦労。

物価が安く、いちばん住み心地がよいのは古都台南。異国の文化に興味のある方には、たいへん魅力的な街です。気候は温暖で食事も美味しく(台湾国内で最もレベルが高いです)、地下鉄・電車が市内に無いのが玉にキズですが、街の規模があまり大きくないので、台中ほどは困らないと思います。ただし、日本人学校がないのがたいへん残念(他の三都市はそれぞれ日本人用の小学校・中学校があります)。お子さんが居ない家庭ならば、先ず最初に台南を候補とするべきでしょう。

高雄は工業都市なので、お世辞にも空気がきれいとはいえないですが、物価はそこそこ安く、気候も温暖。人口は台北に次いで国内第二位の規模であり、繁華街はたいへん賑やかです。市内に地下鉄も有って交通も便利ですし、隣の台南まで電車で30分で行けます。総合点でいえば、台中と高雄がいちばんいいのでは、と思います。

以上、知っている限り述べさせていただきました。このサイトには台湾在住の方々が他にも多数集っていらっしゃいますので、他の友人各位には、上記の覚書に間違いがあれば遠慮なく指摘していただけますよう。それでは。

平成28年1月10日 於台湾 椰子の樹
posted by ZUKUNASHI at 11:35| Comment(0) | 福島原発事故
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