シリア問題で米国が路線修正か: ずくなしの冷や水

2015年12月16日

シリア問題で米国が路線修正か

2015/12/15、ケリーがモスクワを訪問し、プーチン、ラブロフと会談しています。会談内容の詳細は不明ですが、ケリーが会見で「我々はシリアを基本的に同様に見ている」と語っており、シリア問題で米国の路線修正があったことを窺わせます。

ケリーのカウンターパートは、ラブロフです。ケリーが改めてプーチンを表敬するようなタイミングではなく、ケリーはオバマの重要なメッセージを伝え、プーチンの反応を確認したのだと思います。

シリア問題に関して米国は窮地にあります。
@ ISISはじめ、反シリア政府勢力が軍事的に完全な劣勢に陥りガタガタになっています。自由シリア軍の中には、CIAの抑え込みが効かずロシア側に詳しいインテリジェンス情報を提供する一派も現れました。
A イラク政府内で、米国と手を切りロシアの支援を求めるべきとの声が高まっています。2015/12中旬には、ロシア製のタンクなどがイラクのバスラ港に到着しています。イラク政府は、公式にはロシアに軍事支援要請を行っていないはずですが、事実先行です。
B 欧州でも難民、テロは米国がその根源を作ったとの認識を前提とした発言が要人の間で増えています。米国の言いなりになっていたら大変なことになると言う認識が強まっています。
ドイツのメルケルは、大きな過ちを犯しました。トルコに大金を渡して難民をトルコ国内に留めさせようという対処は、トルコがISISを支援していること、そしてシリア難民を欧州に送り込んで政治的な道具に使おうとしていることを認識していればありえない選択です。


C 米国がISISを育成し、テロリストを壊滅させるといいながら今なお物資や資金で支援していることは、ネット上では早くから指摘されていましたが、ロシアの通信社がその実態を取り上げて報ずるまでになり、いずれ西側のメディアも取り上げざるを得なくなるでしょう。
米国は、ISISの幹部を個別に殺害し始めています。米国の空爆は格好だけでした。なぜピンポイントで殺害できるのでしょう。都合の悪い人物から消しているのです。
D 2015/12/15、サウジが主導してテロリズムに対抗するための34のメンバーからなる同盟を作りました。米国の戦争屋が提唱した10万人の地上軍シリア派遣案の変形でしょうが、そんなものが勝手に動き出せば米国もどうしようもなくなり、米国、欧州、中東の混乱はさらに強まりますから、米国非難の声はさらに高まります。
E 米国は、サウジを初めとする産油国に武器を買わせ、傭兵も雇わせて自らの陰謀を実現しようとして来ましたが、世界の人々はイラク、シリアの混乱や不幸は、米国がもたらしたことに気付き始めています。日本人は、知らない、気付かないふりをしている、あるいは自らに当面火の粉は飛んでこないと高をくくって米国の言うままに信じているのです。
F ISISの首領バクダーディがリビアに逃げたと伝えられています。テロリストがイラク、シリアで敗北すれば、トルコやアフガニスタン、リビアなどに逃れて活動を続けようとするでしょう。欧州や米国国内に潜伏してテロを続けるおそれもあります。
テロリストを殲滅するには、イラク、シリアで徹底的に掃討するのが戦略としてはベストです。
ロシアは、シリア政府軍に続いて自由シリア軍の一部に武器を渡し、イラクにも武器弾薬の供与を増やしています。イランも地対空ミサイルをロシアから導入しています。イエメンはイランから支援を受けてサウジと戦っています。アフガニスタンの一部勢力はロシアに武器の供与を依頼しています。
ロシアを主軸とする反ISIS連合は、テロリストに対する攻撃を強めます。フランスは、ロシアに接近していますが、ロシアのその戦略を理解しています。インテリジェンス情報もなく空爆しても効果は上がらず、市民に犠牲が出たりすれば非難されます。
G 今、ISISの直接的な「後方支援」を担うのは、トルコです。エルドアン政権に関しては、その即死をもたらす内容を含む文書が流出し出番を窺っているとされます。
トルコの石油密輸加担については、ロシアの曝露作戦が効果をあげ、米国がプレイダウンしようとしましたが、むしろ不信を招くだけでした。
H 2015/9末ロシア空爆開始以降の経緯を追って強く感じたのは、ロシアの情報開示作戦が極めて有効だったことです。何度か西側のメディアが中傷デマを流しましたが、無益に終わりその後はこれと言った有効な情報操作はないようです。トルコによるロシア機撃墜も事実関係が動かしがたいためでしょうNATOなどは抑制の効いた反応に終始しました。中には、NATOからトルコを蹴り出せとの論調も出ています。
砂漠の町からもネットでリアルタイムに情報が、画像が流れるのです。ウソはすぐバレます。
I シリア問題に関しては、ロシアとイランの通信社が活躍しました。戦況を中心とした一次情報はFARSNEWSが詳しかったです。RT(ロシアテレビ)の米国支社は、嫌がらせを受けたと聞きます。
筆者はテレビも見ず、新聞も取っていないので日本のマスコミを論じる資格はありません。原発問題にしても、シリア問題にしても、日本のマスコミ報道をもとに考え、行動する人とは共通の基盤がほとんどなくなっています。

2015/12/16、PRESSTVが次の見出しの記事を配信しています。
US Secretary of State John Kerry has visited Russia for talks on the issue of Syria because the United States is “desperately looking for a way out of a failed regime change operation,” in the country, an American geopolitical analyst says.
posted by ZUKUNASHI at 12:49| Comment(0) | 福島原発事故
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