ルポライター奥村岳志氏のサイトから: ずくなしの冷や水

2015年09月15日

ルポライター奥村岳志氏のサイトから

大熊町の避難状況を調べていてルポライター奥村岳志氏のサイト福島 フクシマ FUKUSHIMAに行き当たった。まだまだ知らない有益貴重なサイトがあることを今回も痛感。まだ、読み始めたところだが、気付いたところからコメントしていこう。このサイトは、転載・リンク自由とのことだから、重要な箇所を引用していく。

1 汚染の現状と防護を巡って ―木村真三氏、河田昌東氏が小高で講演

志田名と二本松の取り組みから(木村真三氏の講演から)
・除染の効果
 45ヘクタールの除染でフレコンバックが4万体です。丸2年で何億円もかけた効果が25%。何もしなくても59%は下がるのに。これが除染の実態です。
 しかも除染すれば終わりではないんですね。「先祖様がずっと作ってきた大事な養分の部分を全部除染で取っちまって、山砂を入れている。これが元の土に戻るのには何年かかるんだい?」と。これが現実です。
 住民がこうポツリと言いました。「俺ら、この地域を元に戻したいってここまでやったけど、結局、若い人は帰って来ないんだ。除染して本当にしてよかったのかは正直わかんない」。

・内部被ばくの実例
 二本松市のある高校生・・・が、1年にわたって内部被ばくが続きました。ずっと上昇傾向を示すのだけど、何でなのかが分かりませんでした。
 最初は夏に差し掛かる前です。若い大豆の枝豆を彼は多食していたということがわかりました。大豆は放射能を濃縮しやすいのです。しかも二本松では、大豆はあぜ道とか除染していないところで作っていました。
 で、枝豆をやめると線量が下がりました。でもまた上がってきました。また自宅に行って調べました。薪ストーブかと思ったのですがそれは違いました。よくよく調べたら、2011年度のコメが原因でした。捨てるのはもったいないと保存していたもの(事故前の収穫だが保存中に汚染)を食べていました。でも測ったら31.5ベクレルです。食品の基準値からいえば食べてもいいことになっています。ただ、この高校生は野球部で1日2升もコメを食べるそうです。これだけ食べると内部被ばくは出てきます。つまり、食品の基準値だけで見ていたら良くないということです。
・・・引用終わり・・・

@ 最初に疑問点。2011年度のコメとのことだが、コメについては年度を使わない。小麦年度とかが使われることがあるが、コメは「○○年産」だ。11年度産で収穫年は前年の秋ということはまずないと思う。
A 保存中に汚染とあるが、籾か玄米での保存が普通。31.5ベクレル/kgは精米ベースだと見られるが、えらく高い。自家飯米用でも紙袋に入れるだろう。保管中にこんなに汚染するなら保管方法を改善しなければならない。
B 中学生が、精米ベースで1日2升のコメを食べるとする。
コメ1合 =150 gとされるのでコメ2升なら3kg。精米ベースで31.5ベクレル/kgなら1日のコメからの摂取量94.5ベクレル。
C コメ以外にもセシウムの摂取源はあっただろうから1日当りのセシウム摂取量は100ベクレルを超えていた恐れ。これくらい体に入れると体外から測るガンマ線が増えていくということになる。

以上は、2015/8/2、南相馬市小高区内で行われた講演会の記録で興味深いところが多い。ただ、筆者は、南相馬ではまだこんな話をしているということが大きな驚きだった。

2 原発事故  そのとき病院が直面した現実   ――ある医療従事者の体験
富岡町の今村病院医療スタッフへのインタビュー。

――原発の深刻な事態を認識するのは?
佐藤:翌日12日の1号機の爆発。そういうことが起きたということを聞いたのは、3時半過ぎぐらいかな。
 「何やってんだ」という感じでタイベックを着た警官が跳びこんで来たのが、たぶん、初めての情報だったと思う。
 テレビなどの情報はなぜかなかった。東電からもなかった。役場からもなかった。
 タイベックを着てたら、異様だわね。いきなり雪崩込んできて、浴びせるように、「爆発したんだから、逃げろ」みたいなことをいきなり言うんだよ。
 「え〜?!」という感じ。ほんとに。

(『国会事故調報告書【本篇】』)
 「7病院中6病院は、県地域防災計画で原子力災害時に病院が独力で患者の避難を行わなければならないと定められていることを知らなかった。唯一、原発事故時の避難マニュアルを用意していた今村病院においても、全患者の避難や複合災害を想定したものとはなっておらず、同病院の関係者は『想定外で全く役に立たなかった』と述べている」

・・・引用終わり・・・

病院だけでなく、介護施設でも同じだろう。筆者が寝たきりになって施設に入れられる場合、筆者の家族には二つの選択肢がある。
@ 原発の近くにある施設に入れて、原発事故の際には放置する。
A 原発事故の影響がもっとも少ないと見られる最果ての地の施設に入れて、普段から顔を見せない。
筆者が郊外を歩いていると、介護施設が急増している。桜の季節、紅葉の季節にそういう施設の庭に入って写真を撮ったりするが、入居者が訪ねてきた家族と一緒に花見や紅葉鑑賞をしている光景は一度も見たことがない。

3 汚染水より深刻  使用済み核燃料の取り出し ――収束作業の現場からU
――7年後のオリンピック開催については。とくに福島で原発に直接かかわっている立場からすると。
草野:個人的には、嬉しいことは何もないですね。全然、関係のないことだから。オリンピックで日当があがるわけでもないですし。むしろ日当は下がる一方ですから。
 国としては、全体が、オリンピックにシフトしていきますね。だから、福島はなかったものにしたいと思っているでしょう。放射能汚染はないし、もう福島も終わったということにして、後は、住民を帰してしまえば、それで終わりということでしょう。オリンピックが7年後、その前に全部帰すことが目標ですね。そうしたら、安全宣言ができるわけだし、その先、健康被害とか出てくるかも知れないけれど、そういうことは全部隠蔽ということになるのでしょう。

4 誰かがやらなければ。で、誰がやるんだい?   ――収束作業の現場からV
――それはある種の安全神話ということでしょうか?
草野:そう、その通りですね。「コントロールされている」と安倍首相が言いましたが、それは、情報がコントロールされている、という意味だったんですね。

――全面マスクという現場に行く場合でも?
草野:関係ないですね。だから、他の仕事をした方がいいんじゃないかと私も考えましたよ。除染にいっちゃおうかなあとか。そっちで1万5千円もらえるなら。全面マスクして、1万1千円はやってられないなと思いますよ。
 でも、なんで除染に行かなかったかというと、除染では、放射線管理が杜撰ですからね。そうすると、ゆくゆくすごい損をしてしまいます。たとえ1万5千円だとしても、相当の内部被ばくをしているわけだから、除染をやった人はそのうちバタバタ行きますよ。
 サージカルマスクをしても、あんなものでは効果は知れてますね。だいたい暑くてマスクなんかしていらないですし。
 結局、除染の現場は、管理されていないから証拠が残らないわけです。私の場合、病気とかなんかあったときのために、証拠を残しておこうと思って、原発に残っているようなものですから。

――ホールボディカウンターの数値は?
草野:毎月、ホールボディカウンターを受けていますが、マックスでだいたい6,000cpm〔※〕です。事故前だったら、6,000なんて大変な騒ぎですね。事故前は800cpmぐらいでした。
 でも、今、6,000という数字が出ているからと言って、何にも問題にはなりません。東電さんがやっているのは、「自分らは、ちゃんとやっていますよ」といういわばパフォーマンスです。作業員の健康を守るため、ではなくてね。企業を守るため、ただそれだけでしょう。現場作業員は使い捨てですから。

――ご自身の健康状態については?
草野:個人的な感想ですけど、ある程度、線量を浴びた日は、つらい。だるいし、倦怠感が出ます。
 それから、この間、内臓をやられています。医者は酒だと言いますがね。因果関係を証明はできないですから。

――そうすると、現場は必死という感じですか?
草野:いや、それが、現場は意外と必死ではないんです。まともに考えるともう目も当てられないですから、日々をたんたんと過ごすしかないわけです。

――溶融した核燃料の取り出し開始を前倒しにするという工程表の発表〔今年6月〕もありましたが。
草野:あれは工程表ではなくて、全くの希望ですから。工程表と呼べる代物ではありません。
 収束作業は、実質的には、まだ、始まってないという状況でしょう。
 燃料が溶けたり、再臨界したりしないように、冷やすしかないわけです。それ以外は何もできない状態です。だから、周りを片づけたり、環境を整える作業をしているしかないのです。 
 ところが、そうしていたら、汚染水が管理できなくなって、水で冷やすというやり方自体が、限界にきていしまったわけです。
 それから、溶けた核燃料を取り出すという話ですが、それ自体、ほとんど無理ではないでしょうか。鉛で固めてしまう方がまだいいのではないかと私は思っています。

――作業員の確保の問題もあります。
草野:そうですね。個人的には、これだけのクレーン作業を扱える技術者が集まるだろうかと思っています。
 遠隔操作はできないでしょう。この間のプールのガレキ撤去作業で、1日の被ばくが2ミリシーベルトとかいっていますね。すごい被ばくです。線量の高いところに、クレーンで行かなければなりません。作業時間が限られます。そうすると、ものすごい人数がかかるわけです。しかも技術がないといけません。
 だから、作業員の確保というところで、限界にぶつかるかも知れないと私は思っています。

――参院選では福島でも多くの人が自民党に投票しました。
草野:個人的な見方だけど、未だに、面倒を見てもらっているという感覚があるのではないでしょうか。被害者なんだけど、賠償なり、復興なりで、面倒を見てもらっているという感覚です。もともと自民党が原発をやってきたことは分かっているはずなのに、目先のことしか見えていないんです。

・・・引用終わり・・・

3、4のインタビューに答えている草野さんという方は、すごい見識の持ち主です。ぜひお読みになることをお勧めします。
奥村岳志氏の著作に触れるのは初めてだが、インタビューの結果をここまで整理するのは大変な手間がかかったと思う。一つ一つの記事の中身はとても濃く、重い。

(追記予定)
posted by ZUKUNASHI at 11:13| Comment(0) | 福島原発事故
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