筆者は、福島第一原発事故後、急性放射能障害(急性放射線障害)で多くの方が亡くなったと考えています。以下は、既出記事で整理した知見を踏まえ、筆者の見解をまとめたものです。
福島第一原発近傍のMPで事故直後のデータが得られているものは限られます。ここでは次の7箇所を取り上げます。これ以外に浪江町幾世橋のデータもありますが、地図には表示していません。

全7箇所の線量率の推移です。高線量用電離箱方式の測定器のデータを使い、そのデータが切れた後低線量用のデータがある場合はこれも使っています。

まず、福島第一原発の南にある夫沢と南台のMPは、3/14昼までの間には10から13μSv/h程度までしか線量率が上がりませんでした。その後3/15の未明には福島第二原発で155μSv/hまで線量率が上昇しており、夫沢も100μSv/hを超えています。南台はデータ修復期間が短く分かりません。

最も早く、しかも高い値を示したのは、相対的に遠いところにある上羽鳥です。3/12の午後3時(2時台?)に1,594μSv/hを記録しています。約1.6ミリシーベルトです。

新山も2時間ほどの遅れで904μSv/hを記録しています。郡山は場所的には福島第一原発により近いのですが、新山ほどには上がらず北に離れた幾世橋と同程度にとどまっています。
より遠く離れた場所で最も高い値が出たのはなぜでしょう。これは、1号機でドライベントが行われ、排気塔から放出された際に南風が吹いていたからです。
2011/3/12午後2時に1号機と2号機共用の煙突から煙が出ています。1号機のベントによるものです。
ふくいちを裁くの記事から画像の一部を切り出し。

東電のライブカメラ、2011/3/12午後3時の画像です。

福島第一原発の西にあるMPでは、上羽鳥の南にある山田のMPが早い時点から上昇を示していますが、3/13までは数十μSv/hの値にとどまりました。
これらのMPの値が大きく動いたのは、2011/3/14の深夜からです。3/14の午前11時には3号機が爆発、その深夜には2号機格納容器圧力が異常に上昇し、福島第一原発、第二原発で高い線量率が観測されています。

大野は3/14の日付が変わる直前に40μSv/h、3/15の11時に390μSv/hを記録しています。山田は3/15午前1時に230μSv/h、3/16の0時には1.018ミリシーベルトを記録しています。
大野は大野MPと双葉病院は福島第一原発からはほぼ同じ距離です。大野のMPがピークをつけていたとき、双葉病院では最後まで残されていた患者等90名が自衛隊の救援で避難しているところでした。
そして、残念なことに、この方々の中からは、亡くなる方が相次いだのです。それ以前に避難できた第一陣、第二陣合計約340名の方についてはそのようなことはありませんでした。

第二陣が避難した3/14の日中は、大野MPは1μSv/hにも達していなかったのです。
福島県警が被曝した遺体を確認した場所は、大野MPのある原子力センターを中間において双葉病院とほぼ反対方向にあります。距離はともに約1kmです。
ここで亡くなった方は、3/15に車両の回収に来て濃厚なプルームに遭遇したのではないかと筆者は考えます。双葉病院の患者さんたちが亡くなったのと同じ原因です。
住民の方について、個別に調べれば、他にも急性放射能障害で亡くなった方は少なくないはずだと筆者は考えます。
原発の近くに住むということは、そういう非日常的な死に方を受け入れることに他ならないのだと、改めて原発の非人間性、そして核の怖さを感じます。
グラフの「ナノ」と文中の「マイクロ」関係を教えてください。
nはマイナス何乗で、μはマイナス何乗かで、理解できます。
うろ覚えで、ミリがー3乗、μが―6乗なので、ナノは―9乗だったかしら。
1,000μSv/h=1mSv/h(ミリ)
1,000,000nSv/h=1mSv/h
違っていますか?
院長の独り言に換算表があります。
http://onodekita.sblo.jp/article/58542839.html
このような便利なツールは、ブックマークするなどですぐ見つかるようにして置くと便利です。
ミリオンが百万
百万分の一がマイクロ
マイクロの千倍がミリ
マイクロの千分の一がナノですね。