長者原は 4年4ヶ月で累積約580ミリシーベルト: ずくなしの冷や水

2015年07月23日

長者原は 4年4ヶ月で累積約580ミリシーベルト

長者原定点カメラで福島第一原発の方向に見える耕作放棄田の草が枯れてきているように筆者には見えます。

最寄のMPは、大熊町夫沢二区地区集会所です。敷地入り口右手に新しいMPがあります。駐車場の左端に排水溝が設けられており、排水は良好と見られます。2013/6現在の画像です。



このMPは、2012/3末に設置されたようです。

この1ヶ月間の線量率の推移。


設置直後の線量率、27μSv/hもありました。


このMPはその後、調整工事を行っています。次のグラフの途中で水準が上がっています。


福島第一原発に特に近い場所については、無人ヘリコプターによる空中測定の結果と走行サーベイの結果が参照できますが、次は2012/10/20現在の無人ヘリコプターによるモニタリング結果です。



セシウム134と137の合計で平米300万ベクレルですと、筆者の早見表で空間線量率は10.87μSv/h程度と推定できます。

ですが、上のグラフで2012/12にはこのMPでは20μSv/hありました。平米600万ベクレルです。

仮にこの4年4ヶ月間の平均線量率が15μSv/hであったと仮定して累積線量を計算すると、1年で131.4ミリシーベルト、4年4ヶ月で約580ミリシーベルトになります。

草木もよく頑張ったものです。それにもかかわらずここに来て枯れているように見える原因が分かりません。

米国土壌調査から降下した放射性物質の構成を推定したいのですが、詳細な核種分析結果があるのは、F1にもっとも近いところで楢葉町のJビレッジです。

もつと空間線量率が高いところの分析結果を参照します。
福島県相馬郡飯舘村八木沢、サンプル採取時の空間線量率は 0.7 mR/hr とのことですから、7μSv/hです。

このサンプルの核種構成です。


4年4ヶ月経過後には、ヨウ素131がなくなり、セシウム134も4分の1以下、ストロンチウム89などもなくなっています。残るのはストロンチウムとセシウムになっているでしょう。


詳細分析が行われた他のサンプルでは、プルトニウム、アメリシウム、ストロンチウム、ウランとその娘核種が検出されています。

当然、この夫沢二区にも降下しています。おそらくは、より濃厚に。

核種構成が確認できませんが、草が枯れた原因は何でしょう。筆者の推定は次のとおりです。

@ 今注目されるトリチウムの影響。最近になってF1の構内で霞が立つことが増えています。筆者は、構内の放射線が増しているのだろうと見ていますが、トリチウムとの関係は分かりません。半減期 12.3年。

A セシウムが降り続き、土壌のアルカリ性が増している。

B ベータ線源であるストロンチウムが降下しており、次々にイッリウムに変わって強いベータ線を発している。Sr90の半減期は28.79年、イットリウム90は半減期64時間。

C ウランから生ずる娘核種が増え、放射線が何倍にもなっている。

長者原から見える耕作放棄田の広い範囲で今年になって草の生育異常、枯れ上がりが見られるようになったのはなぜなのか。説明がつきにくいのですが、そんなことしか思いつきません。

小入野の定点カメラから見える範囲も長者原とほぼ同じ線量率を示しています。ここでも草木が枯れればこれまでに降り積もった放射性物質の影響と見ることができますが、小入野で草木が枯れる現象が見られなければ、より福島第一原発に近い長者原に固有の要因によると考えられることになります。

小入野交差点付近では、まだ枯れ上がりは見られません。



なお、この推計は見直した。最新推計は2011/3/15を起算日として2015/7/25までで、約800ミリシーベルト。
posted by ZUKUNASHI at 14:12| Comment(0) | 福島原発事故
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。